「ナディアの正体バレ!?ギルヴァント殿下のまさかの条件」
パーティー事件から数日後――
すっかり私に懐いた“ナディア妃”ですが、その正体はまさかの……!?
命がけの(?)秘密暴露と、予想外すぎるギルヴァントの返答にご注目ください!
今回はドキドキ多め、ちょっとコメディ強めです✨
ノックのあと、ドアを開けたのはギルヴァントの義兄弟兼侍従のエレクだった。
「……殿下、お客様です」
その声に反応して、奥から長身の影がゆっくり近づいてくる。
扉の向こう側に現れたギルヴァントは、意外な訪問者に目を細め――そして、甘く色気のある声で笑った。
「どうした? お前から来るなんて。……俺に会いたかったのか?」
――いや、その言い方やめて。心臓に悪い。
私は慌てて手を振る。
「ち、違うわよ! あの、その……ちょっと相談があってね」
「相談?」とギルヴァントが首を傾げた。
視線が私から左右に流れ、イザークとナディア(実はナディール)を鋭く見やる。
「……そういえば、なぜイザークと“ナディア”が一緒にいる?」
ナディールはガクガク震え、イザークは剣の柄に手を添えたまま一触即発の空気。
――やだ、怖い。これ、完全に修羅場の空気じゃない?
私は必死に笑顔を作る。
「あー、えっと、そのね。この“ナディア”なんだけど、ナディアはナディアではなくて……。……ねぇ、これ言っても怒らないでくれる?」
わざとあざとく上目遣いしてみた。こういうときは媚び売り戦術が一番。
ギルヴァントは一瞬目を見開き、そして唇の端を上げる。
「ほう……お前がおねだりか。悪くない。言ってみろ?」
――よし、機嫌は良さそうだ!
私は一気に事の顛末を説明した。
話を聞き終えたギルヴァントは、驚くでも怒るでもなく「なるほど」と一言。
そして、色っぽい笑みを浮かべる。
「では許そう。ただし……貸しはひとつだ」
「殿下、ありがとうございます!」
ナディールは勢いよく床に手をつけ――完全なスライド土下座状態。
――あ、あるんだ、この世界にも土下座文化……。
「我が国もお許しいただけるでしょうか!?」と必死に頭を下げるナディールに、ギルヴァントは私の手をとった。
ギルヴァントが手の甲に唇を落とした瞬間、空気がふわりと微かに震えたような気がした。
自分の知らない力が、何かを守ってくれている――そんな感覚。
――ひゃっ……!? あれ、ビリビリ来ない。むしろ、さっきよりギルヴァントの顔色良い?
私が固まっているのを面白そうに見つめ、ギルヴァントはさらに囁いた。
「ナディールの国のことも許そう。その代わり――ヨウコ、明日は一日、俺と出かけるぞ。二人きりで」
「っ……!」
横でイザークが低く唸る。
「殿下、それは危険すぎる」
しかし涙目のナディールを見て、私は観念してうなずいた。
こうして、命がけ(?)の二人きりデートが決まってしまったのだった。
今回も最後まで読んでくださってありがとうございます!
ギルヴァント殿下、意外に懐が深い……のか、それとも計算高いだけなのか……
次回は「二人きりデート」回!
甘いのか、危険なのか、波乱なのか……お楽しみに!
 




