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「王宮のパーティーで突然の落下事故!?守られる私と、抱き上げられる私」

王宮で開かれた歓迎パーティー。

煌びやかな空間の中、予想もしなかった危険が降りかかる――。

そして、なぜか私はギルヴァントに抱き上げられて連れ出されることに!?

事の顛末を見ていたイザークとギルヴァントは、すぐに私のもとへ駆け寄ってきた。

イザークさんは息を切らしながら、

「俺がついていながら……すまん! ケガはないか!」

と、ものすごく心配そうに私を覗き込む。


一方ギルヴァントは、低く唸るような声で怒鳴った。

「無事か、ヨウコ! ……クソッ、王宮の整備はどうなっている!? まさか陰謀か……!」


「私は大丈夫だから、落ち着いて。それよりナディアさんをお願い。破片でケガしてるかもしれないから」

私がそう促すと、ナディアさんは小さく首を振り、はにかむように笑った。


「私は大丈夫です。本当に……助けていただき、ありがとうございます」


……か、可愛いっ♡

ナディアさんは私よりは大きいけれど、巨人たちの世界では小柄なほうだろう。二メートル近い長身に、ほとんど筋肉のついていない華奢な体つき。

小動物を思わせるくりくりとした茶色の瞳、淡いピンク色のふわふわの髪。通った鼻筋に、ぷるんとしたピンク色の唇。

現代にいたらアイドルかモデル間違いなし――まるで「これぞヒロイン!」って感じだ。


だが、そんな私の心の感想などお構いなしに、ギルヴァントは短く告げる。

「ナディアは大丈夫そうだ。宮廷医に見させる。……お前はこっちに来い」


えっ――と思った瞬間、彼は私の腰に手を回し、そのまま軽々と抱き上げた。

「ちょ、ちょっと!? ほんとに私は平気だってば!」

「俺の専属医に見せる。……拒否権はない」


スタスタと会場を後にするギルヴァント。イザークさんも心配そうにすぐ後ろをついてくる。

ああ、スキルがあるの忘れてるんじゃないの!? それより、こんな目立ち方したくないのに!

案の定、視線を向ければ――アレクサンドラがメラメラと嫉妬の炎を燃やしていた。……ああ、絶対後で絡まれるやつだ。


結局、私の抗議も虚しく、きらびやかなパーティー会場を後にしたのだった。


---



王宮の長い回廊を抜け、ギルヴァントは私を抱えたまま専用の客間へと直行した。

「降ろしてってば! 歩けるから!」

「駄目だ。……お前の“無事”は、俺が確認する」


部屋に着くなり、専属医と呼ばれた年配の男性が入ってきた。

「これは……特に外傷は見当たりませんが」

「見落としがあっては困る。細かい検査も全部やれ」

「は、はい」


私はため息をつきながら、隣で腕を組むギルヴァントを見上げた。

「……ねえ、そんなに心配するほどじゃないんだけど」

「お前がそう思っていても、俺はそうじゃない」


その目はいつも通り感情を隠しているようで、ほんの少しだけ震えているようにも見えた。

……あれ、これ、もしかして本気で怖かったのかな?


「……ありがと、ギルヴァント」

そう呟くと、彼はわずかに視線を逸らし、「礼など要らん」と小さく答えた。


――ただ、その耳がほんのり赤く染まっているのを、私は見逃さなかった。



今回の話は少しアクション多めでした。

ヨウコのスキル発動シーン、そしてギルヴァントの過保護っぷり……どちらもお楽しみいただけましたでしょうか。

次回は、この落下事故の裏にある“陰謀”について少しずつ明らかになります!

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