「巨人の世界で“可憐”扱いされました」
異世界転移したばかりのヨウコに、さっそく“事件”が……!?
森の中で出会ったのは、なんと推定3メートル超のガチムチイケメン。
熊と間違えて死んだふりするところから、物語は急展開です(笑)
音のした方を見た瞬間、私は叫んだ。
「ぎゃっ!! 熊ぁーーっ!!!」
条件反射でその場に倒れ込み、死んだふりをかましながら目をギュッとつぶる。
(来ないで来ないで来ないで……!!)
やがて、重くて大きな足音が、すぐそばでピタリと止まった。
……え、近い。めっちゃ近い。てか、息づかい、近っ!!
恐る恐る、そ〜っと片目を開けてみると――
そこには、金髪・茶色の瞳・浅黒い肌のガチムチイケメンが、
明らかに驚いた顔で私を見下ろしていた。
(……え、人!? 熊じゃない!!)
ホッとしたのも束の間、
その人(?)の体長がどう見ても3メートル超えの大男で、私は思わずガクガク震える。
そんな私に、そのイケメンは壊れ物でも扱うような優しい声で言った。
「……君は、どこかの子供かい? ……いや、子供には見えないな。
こんな場所で、どうしたんだい?」
その声音に安心して、私は思わず勢いでしゃべり出す。
「私は怪しい者じゃありません! ちなみに成人女性です!
なんか、女神様にいきなり連れてこられて……えっと、どこから話せばいいのか、ていうか何説明すればいいのかわからなくて、あわわわわ……!!」
完全にパニックで早口になっていたのに、
そのガチムチイケメンは、目をまん丸に見開いて驚いたように言った。
「……君、渡り人なのか!? しかも、成人女性!?
そんな、こんなにも小さくて可憐な成人女性が存在するなんて……!!」
……ん? かれん?
可憐て……私のことですか?
「と、とりあえず、助けてくださいぃ……!」
私は思わず、涙目で上目遣いになってしまった。
すると彼は、ビクンと肩を揺らし、口元を押さえて――
「ぐはっ……!! かっ……可愛いっ……!!」
――鼻血、吹いた。
……何この世界、コワい。けど、ちょっと、悪くないかも。
いかがでしたか?
まさかの「可憐」「小さくてかわいい」と言われるヨウコ。
完全に逆転した価値観に、本人も読者も困惑してる頃かと思います(笑)
次回は、この筋肉イケメンと、もうちょっとだけ踏み込んだやり取りになります◎
引き続きゆるっとお付き合いください!