傲慢な皇子と看病日和
ついにギルの正体が明らかに――!?
熱にうなされながらも生意気な皇子と、世話焼きなヨウコの距離が縮まる看病生活。
しかし、その平穏は突然訪れた帝国兵によって破られます。
皇子の正体バレ、そしてまさかの……!?
ぜひ最後までお楽しみください♪
数日間にわたる看病生活が続いていた。
イザークの家の一室で、ギルは布団に横たわり、まだ完全に回復していない体を休めている。
「……おい、ヨウコ」
かすれた声と、わずかに熱のこもった瞳。ギルヴァントは微熱にうなされながらも、どこか生意気な口調でヨウコを呼んだ。
ヨウコは少し疲れた表情を見せながらも、手際よく水を運び、薬を渡す。
「もー、そんな生意気なこと言わないでよ。あなたが怪我して寝てるから、仕方なくお世話してるんだからね!」
「怪我じゃない、戦いの勲章だ」
誇らしげな響きに、ヨウコは思わず眉をひそめた。
「ほんとにもう! 戦場に戻ったらまた命がけなんでしょ? あなた、本当に無茶ばかりね」
夜、ギルが熱にうなされて苦しむと、ヨウコはそっと額に手を当て、優しく汗をぬぐった。
「……こんなに熱いのに、まだ戦場のこと考えてるの?」
小声でつぶやくと、ギルは眠りながらも弱々しくヨウコの手を握った。その体温が、妙に心に残る。
数日間の看病で、二人の距離は少しずつ近づいていった。
ある朝、ギルはふと微笑み、こう言った。
「ヨウコ、お前は面白い女だな」
ヨウコは冗談だと思って笑い飛ばしたが、胸の奥がほんのり熱くなるのを誤魔化した。
――そんな日々も、唐突に終わりを告げる。
数日後。
村の入口から砂煙をあげて、帝国兵士たちが駆け込んできた。鎧には土埃がこびりつき、その顔には疲労が色濃く刻まれている。
「殿下! ようやくお見つけしました!」
その必死な声色に、村人たちは騒然となった。どうやら彼らは、行方不明になっていた皇子を捜索していたらしい。
兵士がギルの前に跪くと、ヨウコは驚きと困惑が入り混じった表情でギルを見つめた。
ギルは静かに立ち上がり、堂々と正体を明かす。
「名を偽ってすまなかった。俺はギルヴァント=アレクセイ。帝国第一皇子だ」
そして、まっすぐにヨウコを見据えて言い放った。
「ヨウコ、お前を俺の妃にする!」
「待ってください! 彼女は渡り人です! しかも村の恩人なのです!」
イザークが慌てて割り込むが、ギルヴァントは意にも介さない。
彼はゆっくりとヨウコに歩み寄り、その顎を優しく持ち上げた。
驚くヨウコの視線を逃さぬまま、熱を帯びた瞳で見つめ――唇を重ねる。
反射的にヨウコはビンタをお見舞いした。
頬が赤く火照り、心臓は早鐘のように打ち続ける。怒りと困惑、そしてどうしようもない高鳴り。……何気にファーストキスだし!!
ギルヴァントは指で彼女の頬をなぞり、艶やかに笑った。
「そうでなくちゃな。簡単には手に入らない。だからこれからは、本気で口説くぞ」
ヨウコは慌てて顔を背けるが、耳まで熱くなっているのを隠しきれない。
イザークは真っ青になり、村人たちはざわつく。
夕陽に照らされたギルヴァントの不敵な笑みが、物語の新たな幕開けを告げていた。
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ギルの正体、思っていた通りでしたか? それとも意外でしたか?
そしてファーストキス(?)にビンタ……ヨウコの反応もぜひ感想で聞かせてください!
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