「帰りたいけど、帰りたくない？」
戦いの後、イザークさんから思わぬ言葉をもらってしまいました。
真剣なまなざしと、ちょっとした笑い――
この人、本当にずるいです。
戦いが終わり、村人たちの歓声が遠ざかる中、イザークさんは汗を拭いながら静かに話しかけてきた。
「ヨーコ、君のパンチもキックも予想以上だった。まるで、守られる側だけじゃなく、守る側になりつつあるように見えた」
その言葉に私は少し戸惑った。
「ありがとうございます。でも、私は……あくまで現代に帰るつもりでいますから」
イザークさんは少し間を置いてから、ゆっくりと口を開いた。
「そうだな。でも正直、俺は君にここにもう少しだけでもいてほしいと思っている」
私は驚き、思わず目を見開く。
「え……？ でも私、帰らないといけないんです。家族もいるし、現代の生活も」
彼は真剣な眼差しで続けた。
「わかっている。だが、村も、俺も、君の力を頼りにしている。お前がここにいてくれたら……俺は心強い」
その言葉に、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じたけれど、すぐに現実に引き戻された。
「それでも、私は帰らなければ……」
イザークさんは小さく笑いながらも、どこか切なそうに言った。
「それでも、俺は願っている。できるなら、ずっとここにいてほしいと」
私は顔を赤らめ、照れくさくて視線を逸らす。
「そんなこと言われると……どう反応したらいいかわからないです」
「無理に答えなくていい。だが、君が強くなった姿を、もう少しだけ見ていたいと思っている」
その時、遠くから子供の声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん、すごかった！今度は私も助けてほしい！」
イザークさんはくすっと笑いながら、「お前が守ってやれよ」と突っ込む。
私は思わず苦笑いしながら、「いやいや、まだ守るより守られる方が上手いんですけど！」と返す。
そんなやり取りに、イザークさんは軽く肩をすくめてから、ふっと真剣な顔で言った。
「それでも、君がここにいる意味は、村のためにも、俺のためにも大きい」
私は深呼吸をして、少しだけ笑顔を作った。
「ありがとう。まだ帰る日は変わらないけど……せっかくなので、もう少し頑張ってみます」
彼は微笑みながら頷いた。
「それでいい。それで十分だ」
夕暮れの風が穏やかに吹き、まだ始まったばかりの私たちの物語を優しく包み込んでいた。
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イザークさんの本音に、私もちょっとだけ揺れました。
……あ、でもまだ現代に帰る予定は変わりませんからね！？（笑）
次回はいよいよ、新キャラが動き出します！お楽しみに✨
