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双青の都  作者: 吾瑠多萬
11/19

♪ elegante(エレガンテ)【優雅に】


「さて、そんじゃ訓練始めっか」

「お願いですから、壊さないでください」

「わかった、わかった。ちゃんと手加減するからよ」

副隊長は何度も念押して、訓練用装備を隊長に渡した。隊長はそれを身につけると、消えた



副隊長は念話で兵士全員に伝達する

「今から訓練を始める。敵は1名だが、威力は一個大隊と思え。何が来るか全くわからない。各自持ち場にて奮闘せよ。以上」


「兵長、副隊長殿の仰ることはどういう意味ですか?」

新兵は横にいた兵長に尋ねた

「要するに威力以外は不明、頑張れよって言う意味だ。隊長殿だから手加減なしだぞ。吹っ飛ばされるな。死ぬからな」

「はっ」

新兵は不安そうな顔でゴーグルをつけた。そりゃそうだよな、あのバトルジャンキーが来るんだ。どうなるかなんて誰にも分からない。お願いですから新兵は傷つけないでくださいよ隊長殿、と兵長は心の中で祈りながらゴーグルをつけた


それから1時間、絶え間なく続く戦闘音は360度全方位で鳴り止むことはなかった。どうやって一人で360度の同時攻撃が出来るのか誰も分からなかったが、容赦無く降り注ぐ模擬弾の嵐は新兵だけなく古参の兵士もペイント弾が身体中についた


「どうだ、楽しかったか?」

1時間後、隊長は念話で皆に話しかけるが誰も答えなかった。いや、答えられなかった

「なんだ、どうした。まだ足りないのか?」

「終わりです隊長。こちらへ引き上げてきてください」

副隊長から連絡が入る

「だって誰も返事してくんないだもん」

「返事ができる余力が残っているとでも思うのですか?手加減してくださいって言いましたのよね」

副隊長の愚痴が爆発する。全員その通り!と声を揃えて返事をしたかったが、そんな体力すら残っていなかった

「わかった、わかった。今そっちへ行くから」

隊長は渋々、副隊長のところへ戻る。副隊長からは総員休み食事を取るように指示を出したが、動けるものは少数だった。あとは力尽きてその場で眠りについた


「一体何を考えているのですか、あんなに模擬弾持っていなかったですよね」

「数が足りないからさ、複製したんだよ。そしたらちょっと多めに出来たから、折角なんで全部使おうと思って」

ツッコミどころが多すぎて何から突っ込めがいいのか分からない、と副隊長は思った

「もういいです。取り敢えず全員休みにしてあります」

「まあ、これに慣れてれば敵さんが来ても対処できるだろうさ」

副隊長は呆れて何も言えなかった


その夜、兵士や神殿で留守を預かるもの達が十数名集まってきた。彼らは誰にも見つからないように東側にある祠の中で話し合いを始めた

「どうやら今夜が襲撃の日のようだ」

一人が話し始める

「えっ、12日後ではないのか。先日そのように通達があったが」

「それが変更になったらしい。連絡員だった同志が二人捕まったのだが、そいつらが今夜襲撃だと話していたようだ」

「それは確かか?」

「間違いない。隊長殿が会議で話したそうだ」


皆、驚いている。同志二人が捕まった事は皆知っていた。だが、誰も接触できず何処にいるのかもわかっていなかった

「本当なのか?誰か他に連絡できるものはいないのか」

「駄目だ。念話が使えるのは同志しかいない。我らには無理だ」

命あるこの島の出身者は念話ができた。ただし素質と訓練をしないと無理だった。それは一種のステータスで、素質のあるものは島で一番人気の就職先である守備隊を目指す為か(入隊の必須条件だった)、一般人で出来るものは殆どいなかった。念話を使っていると体が光るので、あまり秘密の通話に使えない欠点もあった


「なら手筈通り誘導するのだな」

「そうだ。この東側の祠から誘導を行う」

「なるほど、そうやって誘い込む訳だな」

集まった集団の一番後ろにいた一人が話した。その途端、そこにいた全員がバタバタと倒れて眠り出した

「そのやり方とやらを教えて貰おうかね」

ラズワード隊長は一人ずつ催眠誘導を掛けながら起こし、それぞれの役割を聞き出した

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