意思の疎通は正確に
とある学校の、放課後。
男子生徒が三人集まって、くだらない話をしていた。
短髪黒髪で、無愛想な感じの男子A。
完全にヤンキーな見た目の男子B。
ちょっと髪が茶色くて、制服を着崩してる男子C。
机に座って盛り上がっている話題は、下ネタや悪巧みではなく、なぜか可愛く食べ物の話。
「苺って名前に付いてるけどさ、殆ど砂糖だよな」
男子Aが言うと、男子Bが「え?」と声を上げた。
「いやいや、それはメーカーによるでしょ。むしろ、牛乳メインじゃね?」
男子Bが反論する。
「え? 最近は贅沢なのが流行ってるから、苺がゴロッとしてるの多くない?」
男子Cが更に意見を述べる。
三人でお互いの顔を見て、怪訝な表情になった。
「いちごみるくの話だよな?」
男子Aが確認をする。
「あぁ、いちごミルクの話だよ」
男子Bが頷きながら、同意する。
「苺ミルクでしょ?」
男子Cは、二人の顔を見て眉間に皺を寄せる。
なぜここまで話が通じないのか、納得がいかないのだろう。
「そもそもいちごみるくって、一つのメーカーしか出してないだろ?」
男子Aが強い口調で言う。
「はぁ?! お前、どこの田舎の店で買ってんだよ。色んなメーカーが出してるよ」
男子Bの台詞に、男子Cもうんうんと頷く。
「コンビニとかで手軽に買えるぜ」
男子Bが更に続けて言うと、男子Cは凄い勢いでその顔を見た。
「あ? コンビニなんがじゃ売ってねえよ」
完全に喧嘩腰である。
「ちょっと男子! 何してんのよ。真面目に掃除しなさいよね!」
いかにも委員長という感じの女子生徒が三人を注意する。
「ほら、机から降りなさい! まったく、またくだらないエロ話とかしてたんでしょ」
女子は箒と雑巾二枚を差し出す。
「ちげぇよ。食べ物の話だよ」
「そうだよ、くだらなくないし」
「いちごミルクの話だし」
女子から掃除道具を受け取った三人は、口々に言い訳をする。
「ふーん。ところで、どの苺ミルクの話?」
掃除を始めていた三人は、女子の言葉に顔を向けた。
「飴のいちごみるくでしょ、ドリンクのいちごミルク。それから、デザートの苺ミルク。どれの話をしてたの?」
三人の顔が呆ける。
「私はね、コンビニスイーツの苺ミルクが一番好き。でも、瓶に入ってる自分で牛乳と混ぜる苺ミルクも捨て難いよね。電車の中とかで手軽に食べられる飴も、実は常備してるよ! ここの学校の自販機、紙パックのいちごミルク売ってないのが残念だよね。ペットボトルのは有るけどさ」
どうやらこの女子も、かなりの苺ミルク好きだったようである。
終
今回のお題
イチゴミルク
実は、いちごみるくでは無いが、似たような会話を友人とした事がある(笑)