遅咲きのバッファー
高位支援職のはずなのに、普通以下のバフしか使えない俺は、幼馴染のパーティーを追放されてしまった。
新人の頃は、そんな俺でも役に立っていたのに……。
その後、色々なパーティーに入るが、メンバーのレベルが上がり一人前の冒険者と呼ばれるようになると、俺は役立たずになり、パーティーを追放される。
そんな事を繰り返していれば、当然俺の評価は下がり続け、今ではその日限りの仮加入しか出来なくなった。
仮加入の前に冒険者ギルドの職員から色々聞いているのか、顔合わせした新人パーティーからは、俺を見下す態度がありありと見て取れた。
最悪な日々。
それでも金が無ければ生きていけない。
役立たずと蔑まれようが、新人に馬鹿にされようが、割り切って俺はパーティーメンバーに攻撃力アップの魔法を使う。
今日も地方から出て来たばかりの新人パーティーに仮加入して、街の近くの平原でレベル上げの手伝いをする依頼を受けた。
もう、仮加入が俺への依頼なのだと、そう思い込む事にした。
ただし、今日のパーティーはいつもと違った。
今までは男だけのパーティーか、女性がいても一人か二人で、しかもメンバーの女だって感じだった。
が!
なんと今日は全員が女性!
新人なので当然若い!
職員から色々きいているだろうに、それでも「よろしくお願いします」と揃って頭を下げる素直な女の子達。
あぁ、久しぶりに本気で応援したい冒険者に会ったな。
こんな気持ちになったのは、幼馴染と組んだ初心の頃以来かもしれない。
「こここここ、怖っ」
前衛職のメンバーより、やはり臆病なのか後衛職の二人が俺の両腕にしがみついている。
「大丈夫。この平原のモンスターは弱いから」
安心させるように優しく言う。
実際に、戦闘前に俺がバフを掛けた前衛二人は、苦もなく敵を倒している。
「わた、わた、私も!エアショット!」
右側の娘が左手で俺の片腕を掴んだまま、右手の杖を前にかざした。
「え?」
驚いた声を出したのは、俺だけじゃ無かった。
とても新人とは思えない威力の魔法が敵を倒し、地面まで抉っていた。
そして驚いて動きを止めた前衛の一人が敵の攻撃を受ける。
冒険者としては大した事ない、太腿がスパッと切れただけで、回復職のいるこのパーティーなら問題の無い程度の怪我。
だが俺の左腕を掴んでいる娘には衝撃だったのだろう。
爪が食い込むほど俺の腕を強く掴み、大きな悲鳴をあげる。
「いやあぁぁぁ!ミカ!」
俺から離れ、走り出そうとした回復職の手を掴む。
「馬鹿か!まずは回復魔法だろう!」
俺に叱られ冷静になったのか、回復職は立ち止まった。
俺の手を握り返し、回復魔法を使う。
「ホーリー!」
呪文と共に、暖かい光に包まれる。
メンバー全員が。
なんだ、なんだ?
このパーティーは新人とはいえ、魔法職二人はとんでもない才能の持ち主だったのか?
つづ……かない(笑)
今回の設定
他の人と触れ合うと一時的に能力が上がる冒険者
同じ人とやっていると徐々に上昇量が減る
相手によって効果が違う




