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エッセイ

かわるネクターの味

 子供の頃、ネクターが好きでした。不二家といえばミルキーでもルックチョコレートでも、千歳飴でもなく、私にとってはネクターでした。


 大人になってからカントリーマアムに変わったけど。


 とろっとした飲み口と、いかにも桃ジュースという味が大好きでした。そして親がたまにしか買ってくれないことがまた、これはプレミアムなものなのだというスペシャルな印象を私に与えていました。


 家の冷蔵庫にはいつも麦茶とカルピスソーダが入っていました。お中元とかになぜかいつもカルピスソーダを贈ってくれる方がいたようです。そればっかり交互に飲みながら、私の頭はネクターの夢を思い描いていました。


 どこかへお出かけして、親が自動販売機で飲み物を買ってくれることになると、いつもネクターがないか探していました。ネクターはなかなかなかったので、大抵は甘い缶コーヒーを買ってもらっていましたが……。





 いつの頃からかネクターをまったく飲まなくなりました。少なくとも中学高校の頃にネクターを飲んだ覚えがありません。

 あんなに好きだったネクターが、私から遠く離れたものになっていました。






 社会人になって、たまたま自動販売機にネクターを見つけました。


「おお……。そういえばネクター好きだったなぁ」


 そう思い、喉も乾いていたので、買って飲みました。

 久々に、ほんとうに久々に飲んだネクターの味は……こんなんだったっけ!?


「なんだこれ……。桃缶のシロップの味じゃん」


 そう、思いました。


 幻滅しました。


 そう思ってからは『ネクターは子供の飲み物』という印象がついてしまい、ネクターを買うことはしばらくありませんでした。





 それからたぶん6年ぐらい。

 昨日、仕事で立ち寄った先の自動販売機で、ネクターがあるのを見つけました。


 暑さと仕事疲れで喉が乾いていたのは確かですが、同じ自動販売機に並ぶどの飲み物よりも、なぜだか無性にネクターが飲みたくなりました。


 ゴロンと出てきた太い缶を取り、冷たい汗を浮かべたフルーティーなデザインのそれを握り、口に運ぶ。


 一口飲んで、声が出ました。


「……うまっ!」


 味を変えたんだな、と思います。子供の頃に飲んだとろんとした味の記憶とも、桃缶のシロップみたいだと思った時の記憶とも、違う味でした。

 確かに桃缶っぽい味ではあるけど、シロップだけじゃない、桃じたいも入ってる感じ。

 サラサラと桃の味が喉をくすぐって、飲んで気持ちいい。


 また飲みたい。


 べつにネクターにまつわる人情味溢れる物語とかありません。

 ネクター美味しいな、と小学生以来、久々に思っただけの話です。

 お帰り、私の大好きなネクターさん。

 味は変わったけど、また大好きになったよ。





 ところでネクターって不二家以外にもあるんでしょうか?

 あれはコーラみたいに飲み物の名前ではなく、不二家にしかない?


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― 新着の感想 ―
[良い点] これは美味しそう! ヒエヒエのやつを買って帰ります!
[良い点] 夏場に冷えたネクターは美味しいですよね (*´▽`*)
[一言] ネクター言えば連想するのは桃なんですが果肉毎ドリンクとしてすり潰したなら何でもネクターと定義付けられるとか 私が好きだったのは台湾製のペリカンマンゴー味でした 確か近所のスーパーで1㍑入りボ…
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