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終焉の詩姫  作者: 立川マナ
第五章
248/365

祭りの前に -5-

「結局、マルドゥクは答えを出さなかったね」


 カヤは今まさに目を覚ましたかのようにハッとして振り返った。いつのまに歩み寄っていたのだろうか。気配を感じなかったことが不思議なほど、ユリィはすぐ背後に佇んでいた。

 その深みのある茶色い瞳は自分を通り越して、玄関の扉へと向けられている。


「仕方ないよ」とつぶやいて、カヤは諦めたような笑みを漏らした。「いきなり言われても、困るもんね。リストくんにだって、使命を終えてからの生活があるもの」


 カヤは自分でも驚いていた。いきなり、リストにあんなことを頼むだなんてどうかしている。

 しかし、今のうちに、確認しておきたかった。文化祭が始まれば、話す時間もないかもしれない。今が最後のチャンスのように思えた。なんとしても、知っておきたかったのだ。自分が消えても和幸は大丈夫だ、と。自分が去った世界で、彼を助けてくれる誰かがいる、と。――和幸に全てを打ち明ける前に。


「ユリィのおかげで、気づけたんだ」


 自然とため息がもれた。諦めのため息なのか、安堵のため息なのか。すっと力が抜けた。

 色とりどりのネオンが差し込む暗いタクシーの車内。そこで、ユリィは言ってくれた。信じてみよう、と。パンドラとしてではない未来。それを望んでもいいのだと思わせてくれた。その可能性に賭けたいと思った。

 和幸の傍にいたい。その気持ちから逃れることはできない、と悟ったから。

 慰めにも思える些細な希望を抱いていた。――はずだった。


――もう君は彼との別れを覚悟している。


 ユリィの言葉がよみがえり、カヤは憂いを帯びた表情を浮かべた。

 ついさっき、ユリィにそう言われるまで自覚もしていなかった。

 自分がすっかり諦めていたこと。いや、諦めることさえしていなかったのかもしれない。変えようの無い理を前に、自分は無力。従うしかないのだ、とカヤはいつのまにか『思い出していた』。

 希望など無い。選択肢は二つしかない。揺らぎの無い確信を抱いていた。それはまた、自分が『災いの人形』だという証でもあるのだ、と漠然と気づいた。


「そうなんだよ」とカヤは力なく微笑んで、誰に言うわけでもなくつぶやいた。「私は自分勝手。彼に事実を伝えようともせず、勝手に別れを覚悟して……。彼は私との未来を信じてくれてるのに」


 喉が締め付けられる。胸が引き裂かれる。そんな息苦しさと痛みを感じて、カヤは固く瞼を閉じた。


「だから、言わなきゃって思った」覚悟からなのか、悔しさからなのか、きゅっと自然と手に力がはいった。「私、また彼に甘えてたんだよ。何も知らない彼が見せてくれる笑顔に夢を見てたんだ。その夢が決して叶うことなどないと知りながら」


 ユリィの言葉が返ってくることはなかった。ただ、こちらをじっと見つめる視線だけはしっかりと感じる。

 彼がなにを考えているのか。カヤには予想もつかない。そもそも、ユリィの狙いが何なのか。なぜ、ニヌルタの血をひく彼がリストや自分と行動を共にしているのか。そういえば、カヤは彼のことを何も知らない。

 それでも、彼を信じてしまう自分がいる。理由もつけられない信頼感。家族に対するそれに似ていると思った。


「本当に……ユリィには感謝してるの」カヤは柔らかな口調でそうつぶやいて、顔を上げた。「この一週間、私のわがままにも付き合ってくれて……婚約者のふりまでしてもらっちゃった」


 思えば、和幸のいない心の隙間を埋めてくれていたのはユリィだったような気がする。カヤは頬をゆるめ、ユリィをまっすぐに見つめた。


「ありがとう」


 心を込めた感謝の言葉。胸のつかえがほんの少し、取れたような気がした。

 しかし、ユリィの表情はこわばっていた。ありがとう、と言われた人物の顔ではない。まるで理不尽なことを言われて腹を立てているかのようだ。

 やはり、ユリィは謎だ。考えが全く読み取れない。

 カヤはつい苦笑をもらした。


「さて」と、気を取り直すように出した声は変に上擦った。「朝ごはんの準備しなきゃね」


 シャツの袖をまくり、ユリィの横を通り過ぎようか、というそのとき。


「君と彼には使命を乗り越えてほしかった」


 ユリィの苦しげな声がして、カヤは足を止めた。

 え、と振り返ると、苦痛にゆがむユリィの横顔が目に飛び込んだ。

 その表情に見覚えがあった。キラリと閃光が脳裏に走り、虹のようなネオンに照らされる彼の横顔が思い浮かんだ。


――兄さんだって、本当は愛したい人がいるんだ。


 声が聞こえた。記憶の海にぽつりと雫が落ちたように、静かに響きわたった。


「アナマリア……」


 カヤは無意識にその名をつぶやいていた。


   *   *   *


 ベランダに出て、俺は記憶に残るある番号を携帯電話に打ちつけた。

 『勘当』されて、俺は電話帳の一つのフォルダを丸々消した。携帯電話に愛着がわかず、便利な機能もガン無視していた俺を見かねて、カヤがつくってくれたフォルダだった。――家族、と名づけられたフォルダ。

 ケータイを耳にあててから、しばらくコール音が続いた。

 足元にぽっかり開いた大穴を見下ろして、俺は懐かしさに苦笑した。下のベランダが丸見えだ。確か、大学生くらいの女が住んでたな。迷惑に思っていることだろう。早いとこ、修理しなきゃならないんだが、そんな暇もなかった。

 ほんの数週間前なんだよな。あのころはまだ、俺はカインで、カヤは『黒幕の娘』(と疑われていた女)だった。俺は神を求めるただのクローンで、神は手の届かない存在だった。

 それが――あの夜から、全てが変わった。

 あの夜、俺は神の僕に出会った。ありがたいことに、呪いなんていう手土産までもらってな。そして……神の存在を知った。神の血がまだこの地上に残っていることを知った。


――オレは、神の血をひいている……といったら、笑う?

 

 あいつはいたずらっぽく笑ってそう言ったんだ。人の気も知らないで、よくもまあ軽々と打ち明けてくれたものだ。

 あれから……たった数週間で、俺の世界は変わった。

 今じゃ、神の子孫に私生活をひっかきまわされるし、天使に覗き見されることにも慣れた。カヤは俺の恋人で、世界を滅ぼす『災いの人形』。そして俺はただの高校生で、裏社会は幻になった。

 俺はカヤと生きる世界を選んだ。カヤの居る世界を欲した。だから、『無垢な殺し屋』を辞めた。カインの名を捨てた。家族を抜けた。広幸さんの形見の銃も手放した。

 地面も空も空気も、何もかも同じはずなのに、世界は変わった。

 そんなことを考えながら、いったい、何回コール音を聞いたことだろうか。ようやく、単調な電子音が途切れ、


『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』

「!」


 そんなアナウンスが始まって、俺はあっけに取られた。鼻にかかったような高い声だ。機械でつくった若い女の声――に思わせようと男が演じているというのは明らかだった。

 俺は呆れてため息をつく。


「分かってる。本当はもう連絡しちゃいけないんだよな。電話はこれで最後にする。答えなくていい。ただ、俺の話を聞いてくれ」

『……』


 アナウンスは切れた。無言が続く。了解した、と受け取っていいのだろう。


「三神さんに頼んで調べてほしい男がいるんだ」言いながら、痛みを感じて俺は喉をさすった。「お前も会ったことがあるよな。カヤのボディガード、椎名望」


 かすかだが、電話の向こうで呼吸が乱れたようだった。

 関心のないことはすぐ忘れてしまうこいつも、椎名のことは覚えていたか。よかった、話は早い。


「夕べ……いや、今朝か。あいつとちょっとモメてな、殺されかけた」


 その瞬間、何かが折れたような音が聞こえた。木の枝でも持っていたのだろうか。俺はあわてて「最後まで聞いてくれ」と注意する。


「俺は『手加減』なんてしてなかった。それでも、殺されかけたんだ。どういうことか分かるだろ?」って、訊ねちゃだめだよな。俺はすぐさま自分で結論づける。「あいつも俺たちと同じだ。商業用のクローン。だから……」

『だから、何?』

「!」


 まさか、返事がくるとは思ってもいなかった。ぎょっとして、言葉がすぐに出てこなかった。

 たとえ姿が見えなくても、そんな俺の様子が想像できたのだろう、くすりと笑う声が聞こえた。


『まだ抜け切れてないの?』と、からかうような声が続く。『かっちゃんはもうこっちの人間じゃあないんだから。余計なことを心配してる場合じゃないでしょう』

「余計なことって……」


 またか、と思った。そういえば前も、抜け切れてない、とこいつに叱られたことがあったな。


『別にあの人が俺たちと同類だとして、別に驚きはしないよ。俺たちが特別なんだから。俺たちは運がよかっただけ。『迎え』に来てもらえず、売られたクローンなんていくらでもいる』

「それはそうだが……」 

『そんなことより――もうこうして会話しちゃったわけだから、ついでにこっちの用も済ましちゃおうかな』


 そんなことって……それだけ? まさか、こんな軽くあしらわれるとは思ってもいなかった。戸惑いつつも、「ちょっと待て」となんとか言葉を絞り出す。


「気にならないのか?」

『カーヤのネックレス、もう取っていいよ』


 思わぬ言葉に遮られ、俺は目を丸くした。

 ネックレスって……あの十字架、だよな? カインがカヤを『裁く』ために渡した十字架。小型の爆弾が仕込まれていて、こいつがその起爆スイッチを持っている。カヤが『黒幕の娘』かどうか確かめるため、一週間、肌身離さずつけさせるって話だったはずだが。


「一週間、まだ経ってないだろ。あと一日あるはずだ」

『あれ?』とわざとらしくとぼける声が聞こえた。『喜ぶと思ったのに、実はカーヤとのラブラブを盗聴されるの快感だった?』


 一気に頭に血が上った。こんなときまで――と苛立ちと呆れが一緒くたになって膨れ上がって、「んなわけあるか!」と怒鳴っていた。


「怪しんでるだけだ!」

『ああ、そういうことなら安心して。実は父さんにバレちゃったみたい』

「親父に?」


 そういえば……最後に会った夜、砺波が言っていたな。ネックレスのことは親父は知らない、と。誰の指示というわけでもなく、どこからともなく、そんな話が出てきたのだ、と。

 

『今朝、静流(シーズン)から直々に電話があって、作戦を中止しろ、て言われたんだ。文化祭に忍びこんで、こっそりカーヤからネックレスを奪いとろうかな、て企んでたんだけど……もうその必要はなくなったね。かっちゃんが電話してきてくれてよかった。うまいこと言って取り上げといてよ』


 あまりのことに、俺はぽかんとしていた。考えなしに、「いいのか?」と訊ねていた。


『いいよ』と失笑混じりに慰めるような声が返ってくる。『よかったね』

「……」


 よかった……そうだよな。よかったんだよな。

 もう、いいんだ。カヤもこれで、ようやくカインから離れることができる。行動が監視されることはなくなるし、カヤが狙われることもない。これで俺たちと裏社会との接点は何一つなくなるんだ。

 なぜだろう。あのネックレスを憎んでいたはずなのに。カヤを怪しむカインの兄弟に怒りを感じていたはずなのに。ほっと安堵すべきなのに。心にぽっかり穴が開くような、寂しさが残る。


『それじゃ』と急に弾けたような声が聞こえてきた。『そろそろ、先生の視線が痛いから切るね』

「え?」切るって……そんなあっさり? 「いや、待て」


 あわてて、俺は何かを言いかけて――しかし、単語一つ出てこなかった。

 何を言おうとしたのか。自分でも分からない。

 ただ、虚しく無機質な音だけが残って、ひどく悔しい気持ちになった。きっとこれで最後だというのに、伝えなきゃならないことを言い忘れている気がした。それが何なのか、見当もつかないのに。

 俺は携帯電話を下ろし、履歴を消した。もうかけてはいけない番号。早いとこ、記憶からも消さなきゃならない。もう必要のない情報のはずなのだから。

 空を振り仰げば、晴れ晴れとした青空で、雲ひとつないことがひどく寂しく思えた。


「そういえば」ふと、俺は思い出したように小首をかしげた。「……『先生の視線』?」


***


「藤本曽良!」


 野太い声が教室に響いた。窓際に座る生徒は、特徴的なアヒル口をにぱっと開いて顔をあげる。


「どうかしましたか、先生?」

「どうかしましたか、じゃない!」初老の男は顔を真っ赤に染めて怒鳴ると、薄い黒髪を振り乱し、曽良の手から携帯電話を取り上げた。「授業中に堂々と電話する奴があるか! それも、補習なんだぞ。分かってるのか? 進級ギリギリだという自覚はないのか!?」


 すると、曽良は不思議そうな表情で辺りを見回す。


「そんな自覚がある人、どこにも見当たりませんけどねぇ」


 授業中とは思えない騒々しさの教室。どうせ割られるから、という理由で取り払われた窓。そのお陰でいい風が吹き込んで、あちらこちらで紙飛行機が飛び交っている。補習だというのに、ほぼ全ての席が埋まり、色とりどりの髪が視界を埋め尽くしている。その中で、大人しくイスに座っているのは曽良と、その隣に座る地味な見た目の少年くらいだ。電話くらいでなぜ注意されるのだ? と曽良が思っても不思議ではない。

 教師は罰が悪そうな表情を浮かべ、ふん、と鼻を鳴らした。


「とにかく、これは没収だ。授業が終わったら職員室に取りに来なさい」

「え!?」と思わず、曽良は立ち上がっていた。「いや、それはちょっとまずいんですけど」

「授業中に電話は必要ないはずだ」


 教師は胸を張って自信満々に言い放ち、携帯電話をポケットにつっこんだ。


「家庭の事情で……」と言いかけたが、自分は『孤児』という設定だったことを思い出し、曽良は口をつぐんだ。

 観念して腰を下ろすと、教師は満足そうに微笑んで身を翻し、黒板へと歩き出した。相変わらず誰も聞いていない状況の中、講義が再開される。


 曽良は「参ったな」とぼやいて、頬杖をついた。これから武器商人との取引があるというのに、リーダー代理の自分が連絡つかないというのは問題だろう。

 鬼の形相で睨みつけてくる姉の姿が脳裏にちらつき、曽良はぶるっと身震いをした。青白い顔で深いため息をつく。


「運が悪かったですね、藤本くん」


 遠慮がちな小さな声が隣から聞こえた。こんな騒がしい教室の中では大声を出しても目立たないというのに。

 ちらりと目をやれば、どこにでもいそうな顔立ちの純朴そうな少年が同情の眼差しでこちらを見ていた。


「仕方ないですよ」と彼は落胆した声で続ける。「たぶん、先生たちが注意できるのは俺たちくらいなんですから」


 曽良は「それもそうだねぇ」とため息交じりに肩をすくめた。

 確かに、この教室の中、真っ当な格好をしているのは、彼と曽良くらいだ。まともに学ランを着ている生徒さえ珍しい。未だにリーゼントやパンチパーマといった類の髪形を見れるのはこの高校くらいだろう。

 曽良が通うこの学校は、トーキョーでも有名な不良高校。素行の悪さがたたって、他の高校に受け入れられない生徒がたどり着く場所だった。

 もちろん、例外もある。曽良の隣に座る彼のように、単純に受験に失敗した生徒だ。

 しかし、曽良はまた特別だった。彼は自ら進んでここを選んだ。この高校以外、願書を出すこともしなかった。

 藤本が必死に止めようとしたときのことを、曽良は今でもはっきりと覚えている。

 それでも、この高校を選んだのは、表の世界での自分の未来を見出せなかったからだ。

 いつかはわたしの代わりに、皆を引っ張ってほしいと思っている――そう藤本に言われたのは、中学の頃だった。おそらく、父親代わりだった彼には曽良のリーダーとしての資質が見えていたのだろう。

 曽良はその日から、表の世界への関心を失った。『無垢な殺し屋』を辞め、『出稼ぎ』をする気もなくなった。だから、大学へ行く理由も思いつかなかったし、必死に勉強する必要性も感じられなくなった。

 とりあえず、高校だけは卒業してほしい、という藤本の頼みだけは聞き届けることにして、楽に卒業できそうなこの高校を選んだだけのこと。

 卒業したら、すぐに藤本の傍らで裏社会のノウハウを学ぼうと思っていた。いつ、藤本が引退してもいいように。そうして、自分は裏の世界で一生を終えるのだ、と覚悟していた。


――かっちゃんは家族の希望になる。


 夕べ、自分は和幸にそう言った。自分とは違い、表の世界で居場所を見出し、そこでの未来を望んだ兄弟に。

 クローンでも表の世界で生きられることを証明してほしいと思った。だから、たとえ何があってもこっち(・・)には戻ってこないでほしいと願った。そのためなら、自分は何でもする。何としても、彼にこっちの土は踏ませない。――そう誓った。

 机に視線を落とすと、真っ二つに折れたシャーペンが、流血したように芯をばらまき倒れている。


――俺は『手加減』なんてしてなかった。それでも、殺されかけたんだ。どういうことか分かるだろ?


 その問いに、曽良は「分かるさ」と今さらながらに答える。神妙な面持ちで、枠しかない窓から外をねめつけた。


「あっちも、かっちゃんの正体に気づいてるってことだ」


 問題は……と、口許に手を置き、眉をひそめる。

 和幸が『手加減』せずに抵抗したのに、殺されかけた。つまり、向こうも『手加減』していなかったということだ。果たしてそれが、本気で殺そうと思って『手加減』しなかったのか。それとも……


「元から、『手加減』せずともかっちゃんが死なないことを知っていたのか」 


 どちらにしろ、危険なことに変わりはない。――それだけはっきりしていれば、十分だった。

 曽良はちらりと隣の席に座るクラスメイトに視線を向ける。

 この学校では珍しい黒髪の、中肉中背の少年。

 彼とは同じ中学に通っていた。知り合ったのは、中学を卒業する数日前だったのだが、それ以来ずっと、彼は曽良にとって表の世界での一番の友人だった。

 殿、とあだ名をつけた彼の本名は鈴木。どうやって、そのあだ名になったのか、曽良自身、もう覚えてはいなかった。

 一緒に卒業したかったのだが……と、心の奥でぽつりともらす。

 椎名望は、あれでも国務大臣の護衛人だ。さすがに、うまくいっても(・・・・・・・)、ただではすまないだろう。思ったよりも早く、裏の世界にこもることになりそうだ。

 ふと、残念に思っている自分に気づいて、曽良は苦笑した。開き直るようにため息をつき、黒ずんだ天井を振り仰ぐ。


――家族の脅威は全て取り除く。俺がしているのはそれだけだよ。


 まるで自分自身を説得するかのように、その言葉が頭の中に響いた。

人気投票の中間発表を小説にして公開しております。(http://manahmia.anime-movie.net/Entry/15/)


これからもいい作品になるように心がけていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします!

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