村長 ドニーク
「とりあえず家に運ぼう!」「ゆっくりだぞゆっくり!!」
村人たちは慌てながらダランを家まで運ぶ。
「ひでえ怪我だ…」
「ダランは俺たちをかばって戦ったんだ。いくら力自慢のダランでもあの数じゃどうにもならなかった。」
「次あいつらが襲ってきたらもう終わりだ…」
村人たちからは焦りと悲しみが感じられた。
「あ、あんた。ありがとなあ。あんたがいなかったら村中皆殺しにされてた」
一人がお礼すると周りの村人も感謝の言葉を口にする。
「あんた魔法使いなんだろ?怪我を治したりはできないのか?」
村人たちは一縷の望みとノールに聞いたがそれは叶わなかった。
「ごめん…。俺は回復魔法は使えないんだ…。」
ノールがうつむくと慌てて村人たちが言葉を返す
「気にしないでくれ!ただでさえ命を救ってもらったんだ!何もない村だがゆっくりしていってくれよな」
「どうしちゃったのよ。黙り込んじゃって」
考え込むノールにエリュンが反応する
「村長にあわせてくれないか」
「お、おうこっちだ。」
急な申し出に驚きながらも村人は村長の家へと案内してくれた。
村の中でも一番大きなその家に村長はいた
「こちらの方が魔物から救ってくれた旅の方でさあ。村長と話してみたいとのことでしたのでお連れしました。
「いやはや、こちらから挨拶とお礼をせねばならなかったのに、申し訳ない。私はドニーク。このハベド村の村長だ。この村を救ってくれてありがとう。」
ドニークは深々と頭を下げた。
「そ、そんな!頭を上げてください!あんな襲撃にあったばかりなのですからすぐに動けないのも当然ですし。」
慌ててノールは頭を上げさせた。
「僕はアレオノールと申します。旅をしていてたまたまこの村に立ち寄ったんですが、ダランさんによくしていただいて・・・。」
「そうか。ダランに。あやつは図体のわりに心根の優しいやつでな。妻と子供がおったのじゃが、魔物にやられて亡くしてしまってな。旅人とはいえまだ若いアレオノール殿に姿を重ねてしまったのでしょう。」
(やはり以前にも魔物の襲撃はあったのか。そのわりには防衛への意識が低い気がするが・・)
「いつもあんな風に魔物がくるんですか?」
「時々は魔物がくることもありましたが、もっと弱いものや数も一体や二体で・・そこまで困ることもなかったのですが最近はあのブタリンという魔物が群れを成してやってくるようになりまして・・。」
(豚とゴブリン?でブタリンか・・? それはさておき、急に強くなった魔物たちに村の守りは追いついてなかったんだな・・。)
「俺に考えがあるんです。村の守りを手伝わせてもらえませんか?」
少し考えたあと、アレオノールは村長に問いかけた。