表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神無月の守護者  作者: なまこ
文月
20/53

文月(4)

山葉高校で美術部交流会があった日、華代は家にいた。雲行きの怪しい中、庭のししおどしの音が鳴る。照明をつける彼女の近くには少年が座っていた。


「こうやって家で会うのは久しぶりやねぇ。高校入ってからは初めてなんやない?」

「……だな。お互い色々あって、会えてもすぐ帰らないと行けないこととか多かったもんな」

華代は部屋に飾ってある写真を見る。二人が幼い頃の写真である。


「なぁ華代、最近学校どんな感じだ? 新年に入ってから新しい友達ができたとは聞いてたけど」

「あぁ、兎夜くんとひなみちゃん? ほんといい子たちよ。兎夜くんは優しくてさ、ひなみちゃんは明るくてめっちゃ面白いんよ。やけん最近は学校バリ楽しっちゃんねぇ」

「そうか、楽しいならよかったよ」

「そっちはどんな感じなん?」

「あー……俺は別に。いつも通りかな?」

「えー、なんよいつも通りって」

華代が笑っている。

しかし、華代の目にカレンダーが映り込み、笑顔が少し歪んだ。


「……辛いよな」

「いや、いいんよ。だってみんな順番やもん。今回は私ってだけよ。雷斗ん所だってさ……」

雷斗は苦い顔をした。

「……いや、()()()絶対守ってやる。俺の命に変えてでも、絶対」

「……出来ん。いいとよ、もう。自分のこと大切にしぃ」

静かな空間の中、降り出した雨の音だけが響いていた。







暗い空間の中、サナは奥へ進む。

「あっ、サンサンじゃーん! おっかえりー!」

暗闇の奥にいるなにかは、笑っているのだろうが、その笑顔は少々気味が悪い。

「……とりあえず、絵谷冬樹君をちゃんと送り届けて来たよ」

「あっ、彼戻っちゃったか〜。そうだよね〜、だって彼に与えた力が一番弱いやつだもんなぁ。なっかなか力の適正なくてね? 根っこが綺麗なのかねぇ」

「さぁね。人間に私たちみたいな力を使わせること自体難しいんだからさ」

「まぁ、それもそっか!」


「そういえばもう七月だね」

「あ〜、七月ねぇ。まぁまだ彼岸花は咲いてないね」

「邪神様……ほんとに彼岸花好きだね」

「いやまぁ、そりゃぁ……」

そこで言葉が止まる。


「……あーそうそう。ふと思い出したんだけど、この間のやつ、()()()()()()()()()()()()

「んぇっ、この間のって……」

「うーん、まぁそういうことなんだけどさ。彼、多分ここには戻ってこないかもしれないけど、まだ使える」

サナの表情が少し曇る。それを邪神は見逃さなかった。


「んー? サンサン? どうした?」

「いいや、なんでもないよ」

「……俺がしたいのは、この町の人間への復讐。……わかるだろ?」

「……わかるよ。私も、異論はないよ」

一瞬凍りついた空気が元に戻る。サナはその場を去り、雨が降る暗い夜に消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ