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神無月の守護者  作者: なまこ
水無月
15/53

水無月(4)

放課後、俺たちはまた美術室に遊びに行った。前に来た時よりも、飾られてる作品の数が多くなっていた。


「やぁ、来たみたいだね」

柚希先輩も、この間とは違う絵を描いていた。今回は風景画……かな。

「こんにちは柚希先輩。また遊びに来ちゃいました」

華代が笑顔で挨拶した。

「今日は兎夜君もひなみちゃんも居て賑やかでいいね。この時期部員は作品作りに集中しちゃうからね。部室が少し静かなんだよ」

たしかに、いつもより静かだな……


「文化祭とかってまだですよね? なにかあるんですか?」

作品を人前に出す機会で思いつくのが文化祭くらいなんだけど、この高校の文化祭は確か秋のはず。他になにかあるのか疑問だった。


「あぁ、そうか。兎夜君転校生だから知らないか。美術部はこの時期になると、同じ町にある海響高校と年一回交流会するんだよ。お互いの感性を高めるとか、作品について語ったりするとかなんとか」

「そんなのあるんですね……山葉の美術部すごいなぁ」

周りを見ながら関心していた時だった。


「あっ! 兎夜先輩に華代先輩! ひなみ先輩まで! 来てたんですか!?」

少し遠くから旭飛が来た。

「旭飛ちゃん油絵の方の先輩たちの方から何も言われなかった? あっちの人達真面目ばっかりだからこっち来ることとかうるさくない?」

「大丈夫です! 息抜きしたいって言ったら休んでおいでって言われました!」

「よかった。旭飛ちゃんが怒られてないならいいよ」

旭飛がニコッと笑っていた。


「そうそう! 今日は私にもお客さんがいるんですよ! 小春〜!」

旭飛の影からもう一人でてきた。

「近場におるんやけん大声出さんどって……恥ずかしいやんか……」

消え入りそうな小さな声で確かに聞こえた。小春ちゃん、人見知りって言ってたもんなぁ。先輩に囲まれたら緊張するかな。


「えっと……文芸部の細流小春です!今日部活休みだったので来てみました……!」

「小春ちゃんね、よろしく」

柚希先輩が三年生感満載の落ち着いた口調で返した。

……あれ、華代なんか震えてる?


「小春ちゃん……ばりかわよい…!」

「っえ!!」

小春ちゃんの顔が真っ赤になった。

「わかる! 小春ちゃんハムスターみたいな感じがするー! 可愛い!」

「いやいやいやいやそんなことないですよー!!」

あたふたしながら言葉を返していた。それを見て、笑いが起こった。


「そう言えば、文芸部って普段何しよるとかね?」

華代が小春ちゃんに話題をふった。多分馴染ませようとしてるんだと思う。

「そうですね……基本的にはこの町のことについて調べて、自分でまとめて雑誌みたいにしてます。まだ人に見せれるようなものじゃないんですけど……」

「この町いいよね! 自然豊かで程よく静か! 過ごしやすいんだよなぁ〜」

ひなみが返答する。和ができる。


「はいっ! 中でも魅力的なのがこの町の昔話で、邪し……」

「あっ、そうそう! そういえばこの高校の近くに新しいかき氷屋さん出来たんですよ! なんでも都会レベルのオシャレなかき氷らしくて……」

「マッ!? それめっちゃ行きたい!!」

旭飛が明らかに話題をそらした。旭飛も柚希先輩に華代の前で怖い系の話しないように言われてたのかも。そんなに華代は怖い話苦手なのかな……。


それから色々なことを話しているうちに、いつの間にか日が落ちていた。そして下校時間のチャイムが鳴る。

「あっそうや、今日は柚希先輩と話したいことあるけんとやまる先帰っとって〜!」

「あー、おっけー! またね!」

「うん、またね〜」

話の途中のことといい、謎は深くなるばかりだった。







その日の帰り道、華代と柚希は、街灯が照らす道を二人で歩いていた。

「柚希先輩、ほんとにすみません気を使わせてしまって」

「いや、大丈夫だよ。華代ちゃんこそ怖くない?」

「……はい。今のところは大丈夫です」

声が少し小さくなる。


「本当に何とかしてあげたい。この町のこの訳分からない昔話。こんなののせいで……」

「いいんですよ。先輩の家からも()()()()()()()()()。今度は塩月の番ってだけですよ」

柚希は悲しそうな顔をした。


「そういえば、旭飛ちゃんや小春ちゃんも邪神様について知ってる見たいですけど……。これって基本的に私たち()()()の秘密みたいなものですよね……?」

「そうなんだけど……あの子達知ってるみたいだね。考えられるとしたら、小春ちゃんが町の昔のこと調べてる時に、このことの資料出てきちゃった……とかかな」

「だとしたら、なにかしらの運命ってやつかもしれないですね」


彼女たちは、外灯が照らす道をただ歩いていった。

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