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神無月の守護者  作者: なまこ
皐月
11/53

皐月(5)

ところ代わり、とある空中にて。


「黒川、意外と早かったね」

白髪で、背中にコウモリのような羽が生えた少女が、青年のコートを引っ張って空を飛んでいた。

「いや、徹底的にあのウサギ野郎を潰そうとしたんっスけどね……。まさか自分も背後をつかれるとは……」


「あの緑髪の子は五年前の子でしょ? 大きくなったね」

「えぇ……五年前?」

「あぁそうだ。魔術師になったの三年前くらいだもんね。知らないか。」

「まぁ……俺もいろいろしてきたっスけど、お嬢さんに比べるとそうでも無いっスからねぇ……」

「そうだね。でも、あなたはそろそろ()()()()()()()()だね。彼の刀に刺されたことで、邪神様の呪いは消えてる。あなたはもう()()()()()なんだよ」

「…………」

「黒川がこれをどう思ってるのか、私にはわからないけど、私はこれでいいと思ってる。今度こそ、真っ当な道を歩んでね」


少女はそういうと、青年を道の端に降ろして飛び去って行った。


「真っ当な道……人間って、そんな簡単なもんじゃないっスよ」








また一方、翌日の放課後、海響高校では、二年生の少年二人が一年生の工学科を目指して歩いていた。


「そういえば君、なんでまた刀を壊すようなことしたのかね」

「別に。壊したかったわけじゃねぇよ。最終戦争(邪神様を倒す)の前にザコ潰ししただけだ」

「それ、結局彼を助けたって事なんじゃ?」

「うっせぇ」

「はいはい。すまなかったすまなかった」


一年生工学科教室前。

大輝(だいき)、ちょっといいか」

「おぉ、雷斗じゃん。どうした?」

「いや……ここで話せることじゃねぇから、ちょっと来てくれ」

「お?」


校舎の裏路地。倉庫の列のさらに間。そこで雷斗は話始めた。

「いや……先に謝る。お前に直して欲しいものがある」

「どうした? またゲームのコントローラーでも壊したか?」

「いや……そうじゃなくてな」

そういうと、雷斗はカバンから布で巻かれた短刀を取りだした。

「家宝、月明刀げつめいとう。神崎家に代々伝わる刀。本体は元から錆びていた」

短刀は刃先が欠けているどころか、多くのヒビが入っていた。


「え〜刀か……しかも家宝」

「頼む。天才と呼ばれるお前にしか頼めねぇ」

「あーまぁわかった。やってみるよ。でも、時間かかるかもよ?」

「あぁ、ありがとう。神無月にさえ間に合えばいいから。大丈夫」

そういうと、大輝は教室へ帰って行った。


「にしてもまぁ……前々から思っていたが、そのボロ短刀が、よくあぁ綺麗な刀になるよな。人間なのに不思議な力だねぇ。これも陰陽師の家柄だからかね」

「さぁ。俺にもわからねぇ。家宝が反応するのは本家の跡継ぎになる者だけ。刀が凄いのか家柄が凄いのか。俺はそこまで考えたことはないな」

「人間は大変だな。血筋とか家柄とか面倒くさい」

「……あぁそうだな。お前はどれだけ人間に化けていたとしても、結局は()()なんだもんな。お前にはわかんねぇか」


二人は帰路につく。



神無月まで、あと四ヶ月。

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