表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神無月の守護者  作者: なまこ
卯月
1/53

卯月(1)

めっちゃくちゃ緊張する。


俺、歌田兎夜(うただ とや)はこの春、彼岸町(ひがんまち)という田舎の町に引っ越してきた高校二年生な訳だけど、今なかなか挙動不審をかましている気がする……。

いや、人見知りにとって最初ってドキドキするもんですよ!?

自分で言い訳をしながら、桜が散っている四月の通学路を少し早足で歩いていった。


教室に着くと、ほかの人たちは普通に話したりスマホしたりしてすごしていた。この辺の光景は前の高校と変わらない。誰もこちらに変な視線を送ってこないことに俺は安心した。


新学期始まりたてだし、席は出席番号順のはず。そう思って番号順の席に着こうとした……けど、誰かいる。

「あ、あの……ここ多分俺の席なんですけど……」

勇気を出して声を出してみた。

「んぇ? ここ俺の席だよ。お前あっち。」

指された席は窓側の一番後ろの席。内心めちゃめちゃガッツポーズ。隅っこの席とか安心でしかないじゃん最高。

とりあえず席に着いた。


時間が経ってホームルームがはじまる。案の定自己紹介をさせられた。

白城(しらしろ)高校から来ました、歌田兎夜です! えっと……好きなことは歌うことです、よろしくお願いします」

拍手がなる、一安心。あぁ、でももうちょっと明るいイメージで言えてたらなとか一人で反省会。どう思っても変わらないけどこういうこと考えちゃうじゃない?


あとは始業式に集会にと回されて、やっと最後の三限目。

教科書とか買って終わりらしい。


何となく周りの様子を見ながら教科書を買う。あとは配られた表に印つけたり名前書いたりの作業だけ。

転校早々早く帰りたい。


周りで騒ぐクラスメイトを横目に、騒がしい学校だなと思いながらカバンをあさる。ん? ペンケース忘れてきた!?

「うっわ、最悪じゃん」

小さい声で呟いてしまった。


「……ペンケース忘れたん? 借そうか?」

前の席の清楚な女の子が話しかけてきた。

「あっ、うん。ありがとう」

俺、今ちょっとキョドったかもしれない。遅れた作業を急ぎめで進める。おかげでなんとか作業を終えることができた。


「えっと、さっきはありがとう。たすかったよ。」

下校時間になって借りたペンを返す。

「あぁいやいいとよ、よかったよかった。歌田君やっけ、白城からきたっちゃろ?なかなか都会やん」

「いや〜、そうでもないよ? 俺が住んでた所は全然田舎だったし」

「そうなん? 白城とかある近くやったらいろいろ買い物できるけん都会のイメージあったわ。ここがド田舎すぎるけん」

「でもここいい町だよね、空気美味しいし自然は豊かだし」

あれ、意外と喋れてる?

「そう言ってもらえて嬉しいわ。私、塩月華代(しおつき はなよ)。よろしくね。そろそろ行かなやけん、私行くわ。じゃあね」

「う、うん。じゃあね」

優しそうな人がいてよかった。とりあえず1人で困るってことは無くなりそうだ。そう思いながら俺も帰路に着いた。


これから先、この町で過ごす日々があんなに非日常的になるなんて、この頃の俺はまだ考えてもなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ