第4話:ママの内緒(後)
いつもより少々長めかもしれません。
では、どうぞ。
料理を食べ終わって皿も片付け終わると、いよいよ皆さんお待ちかね、ケーキの登場だあ!
俺はケーキにロウソクを立ててライターで火をつける。
「写真、撮るか」
俺は兄ちゃんのデジカメを持ち言った。つまり、最初から撮る気マンマンってことだ。
俺は、早乙女に空をだっこさせ、その横に晴香が立つように指示をだす。
ケーキも見えるしバッチリだな。
「じゃあ撮るぞお。ハイ チーズ!」
おっ、なかなか上手く撮れたな。
全国のカメラ好きのお父さんの気持ちが少しわかったぞ。
「つぎ、はるかがとる!パパとママならんで?」
満足気な俺に向けられた晴香の言葉。
「お、俺はいいよ!撮るの専門だから」
「だぁめ!パパもママととるのっ!!」
なんてこった。ああ、でもはやくしないと、ロウソクのろうがケーキに落ちる。
晴香は引き下がらなそうだし、俺は仕方なく早乙女の横に並んだ。
そう、仕方なく。
なんか、文句あるか?
「ちゃんと笑えよ」
「そっちこそ」
「えへへ、ハイ チーズ!」
まぁ何だ?晴香の写真はよく撮れていた。とだけ、記しておこう。
というわけで、
「さあ、早乙女。火を吹き消せ!!」
「ママがんばれー!」
早乙女は晴香に笑いかけると、ロウソクの火を吹き消した。
俺はそのシーンをカメラで撮ってみた。
たくさん写真撮って、早乙女の親にも渡したいし。
だからケーキを食べてるときも結構な枚数撮ったと思う。
そして、ケーキを食べ終わると晴香が動いた。
「あのね、はるか、ママにプレゼントがあるの」
「えっ!?本当に?」
「うん!はい、これ。ママ、おたんじょうびおめでとう!」
そう言って晴香が渡したのは絵だった。
間違いだらけの、でも一生懸命書いたことがわかる字で『おたんじょうびおめでとう ママだいすき』と書かれている。
ど真ん中には笑っている早乙女の顔。
やべえ、俺もああいうの欲しい。
「あり、がとっ……」
「ママ、泣いてるの?ごめんね、うれしくなかった?」
「ちがっ、ちがうよ……っ。うれしい、から、泣いてるのっ……」
……もちろん、このシーンを見逃す手はないよな。
「あっ!とらっ、とらないでよ!!こんなっ、かお!」
「なんで?かわいいじゃん」
早乙女の顔が真っ赤に染まった。
あれ?俺今かわいいとか言っちゃった?
ヤベッ、どうしよ!?
「空もママにプレゼントがあるんだよ」
今回の救世主は晴香だったか。
ん?空のプレゼント?ってことは、やっぱ空にもなんかさせてたんだな。
「たっ、あーい」
空も何か紙を渡している。やっぱり絵か?
「空……ありがとう」
受け取った早乙女が、折りたたまれた紙を開くと、そこには……
「かわいい!!」
空の手形と何を書いたのかよくわからない絵が広がっていた。
まぁ、もうすぐ1歳とはいえ0歳児だもんな。
それにしても手形とは……考えたな。
さて、早乙女の嬉しそうな笑顔もカメラにおさめとくかね。
ついでに空と晴香抱きしめて幸せそうに笑ってる顔とかもな。
うむ、大量に撮れた。
そこでふと時計を見る。
「っと、もうすぐ10時だな。早乙女、帰る準備しろ。晴香は留守番よろしくな」
「えっ、ちょっ!なんで?」
戸惑う早乙女をひっぱって家をでる。
「門限は11時って言われたんじゃないの?」
はい。確かにそう言われましたよ。とりあえず答えずに歩き出す。
「ねえ、あたし聞いてんじゃん!」
無視されてなお聞いてくる早乙女。
俺は仕方なく理由を説明することにする。
「あのな、確かに11時までって言われたけど、それじゃ早乙女の誕生日は残り1時間だろうがっ!ママとしてならもう十分祝ってやったんだから、あとは娘として祝ってもらえ!」
わざわざ言わせるなよ。恥ずかしいんだから。
「1つだけ聞いていい?」
「なんだ?」
「あたしの誕生日、いつ知ったの?」
ああ、そのことか。
「今日だよ、今日!誠也に聞いてマジで焦ったんだぞ?前もって教えてくれりゃよかったものを」
「だって、迷惑かかるでしょ」
はあ。コイツは何を言ってるんだ?呆れてものも言えねえ。
「あんなぁ、迷惑なら俺らの方がかけまくってるっての!それに、ママの誕生日祝いたくない子どもはいないだろ?あと……」
ああ、もう早乙女の家の前だ。
ホント早乙女の家って近いよな。
あっ、だから早乙女もプリント頼まれたのか。なっとくだ。
って、現実逃避してる場合じゃないか。
「あと?」
「あと……、早乙女に面と向かってお礼できんのは、こんな日くらいだから。早乙女にはマジで感謝してる。早乙女に会ってから、晴香たちがよく笑うようになった。本当にありがとう」
「べ、別にあたしは晴香たちのママなんだから当たり前だもん」
今俺、メチャクチャ照れてんだけど、口ぶりから察するに早乙女も相当照れてんな。
そりゃそうか。俺が礼言うなんて思ってもみなかっただろうし。
でもな、もう1つサプライズがあるんだよ。
「そろとこれ、プレゼント。晴香と空にはかなわないけどな」
俺はポケットから細長い箱を取り出して、早乙女に渡す。
「えっ!えっ!? あ、開けてもいいの?」
「好きにしろ。そのかわり返品は受け付けないから」
中身は青色のガラスでつくられたロザリオのネックレス。ハート形の装飾品がひっかかってて、かわいいかなと思って買ったけど、女子の趣味なんつ知らねえからなぁ。
「何、これ。ガラスのネックレス?」
そう言って早乙女は笑い出した。
「笑うなよ!」
これでもがんばって考えたんだよ!少ない時間でっ!
瑠璃っていうのは青色のこというし、瑠ってのはガラスって意味もあるんだよ!
「だって、西条がこれ買ってる姿想像したら、笑えるんだもん」
「俺だって恥ずかしかったんだぞ?!いらないんだったら、俺が気づかないようにこっそり捨てろ!いいなっ!」
我ながらカッコ悪いセリフだ。
でも、目の前で堂々と捨てられたら、さすがにショックすぎて泣くだろ。
「捨てないよ。がんばった西条が可哀想だし大事にしてあげる。ありがとう」
そのときの早乙女の笑顔に不覚にもドキッとしてしまった。
「それじゃあ、ばいばい西条」
「ああ。……って、ちょっと待て!あの早乙女、誕生日おめでとう。そ、それじゃ、またな!」
逃げるが勝ち!!
ああ、マジで恥ずかしい。なんか今日恥ずかしいことばっかだな。
つぅか、なんでこんなにがんばったんだろうなあ、俺。
早乙女なんかのために……。
早乙女のためだから、か……?いやいやいや、それはないだろ。
ホントに、そうか?
じゃあなんで、早乙女のお母さんに頼みに行った?メ○スばりに走った?恥ずかしい思いしてまでプレゼントを買った?
誰かに頼まれたわけじゃない。全部俺がやりたくてやったことだ。
早乙女の……早乙女の笑顔が、見たかったから……。
え?なにこれ?ちょっ、おかしくない?
確かに早乙女といるとき、なんとなく幸せな気分になれるし、楽しいし、笑顔を見れたら嬉しいけど。
あっ!!これって、アレか?すでにアレじゃないか!?
もしかして俺、早乙女に恋しちゃったのかっ!?
ウソだろ?
いや、ウソじゃないか。
自分のことなのに、まさかここまで気づけないとは……。
自分の鈍さに呆れちまうな。
どうやら俺は、生まれて初めて恋をしてしまったらしい。
自分の文章力の低さに驚いていています。
読んでくださった方ありがとうございました。




