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Godspeed 星継ぎ物語 勇者のつもりだったのに編  作者: まとあし
勇者のつもりだったのに
2/15

召喚される


地球を離れたおれは、一瞬、ほんの一瞬だけ意識が途切れたように感じた。


どうやら仰向けで寝ているようだ。

異世界に召喚されて来たことは理解できているし、意識もしっかりしている。

先ほど立てた誓いも忘れていない。


手足の感覚を試しつつ周りを見渡すと、石造りの教会の壮大な吹き抜けと、ステンドグラス、壁画が見える。

中世ヨーロッパ……転生に付きものの世界観の想像通りのものだった。


起き上がろうとすると「そのまま、そのまま」と声を掛けられた。

聞きなれない言葉もスムーズに理解できる。

神様に貰った知識は完全におれのものになっているようで、パニックにならずに済みそうだ。


先ほど声を掛けてくれた人が、にっこり笑いかけてくれている。

おれも笑顔を返した。


無理に起き上がる理由もないので、仰向けのまましばらくこれからのおれの活躍の空想にふける。



まずは力を付けること。


魔王を倒すことができる力量がどの程度なのか、今は全く想像できない。

でも、剣と魔法で倒すのことはわかる。


であれば、体を鍛え、剣技と魔法を磨く。


剣でさらに大ダメージを与えるために、魔法を剣に乗せるのも有効だろう。

回復魔法も欲しい。

うん、魔力の増大と魔力制御も鍛えなければ。



苦しいであろう修行を経て、立派な勇者になったおれが想像できる。


剣を振り上げ、魔王と対峙する。

カッコいいおれ・・・顔が思わずニヤケてくるのがわかる。

にやけを我慢する、しかし、魔王を倒し英雄として凱旋するさまも想像してしまうと、ダメだニヤケが止まらない。

上から覗き込まないで……ニヤケ顔を見られたら恥ずかしいよ。



そんな妄想をしていると「ゆっくり起き上がってください」と、声を掛けられた。

先ほどから声を掛けてくれたのは神官と思われる。

背中を支え起き上がるのを手伝ってくれた。


周りを見ると、おれと同じく召喚された勇者達が見えた。

子供だ。

全員子供のようだ。

手術着のような格好だ。


続いて、「大丈夫ですか? 立ち上がれますか?」と聞かれた。


どこにも違和感が無かったので「はい」と答え、立ち上がり我が手や足を見る。

おれも他の勇者同様に子供だった。


前世の記憶はそのままあるので、体のみ若返ったようだ。

いや、きっと若返っただけでなく頑強にもなっているのだろう。

子供の体だが、手足を動かすと今までにないパワーを感じる……いや、気がするだけなのだが。

全力で走っても、脳と体のギャップでこけてしまうこともきっと無いのであろう。召喚とは、そして神様とはすごいものだと思ってしまう。



「勇者の皆様、ようこそ我がフランギル王国へ。

 皆様を歓迎いたします。

 そして、どうぞ我が世界をお救いください。

 お願いいたします。」


良く通る大きな声の歓待の言葉が聞こえた。


「今回も滞りなく勇者召喚が出来た。喜ばしいことだ。」


「これで平和な世界が維持される。神に感謝を。」


「神のご加護を。」


周りを取り巻く神官達から安堵と喜びの声が聞こえる。


おれもひと安心だ。神様のことは信じていたが、小心者のおれは実はとても心配していたのだ。

「よかった。。。」

ボソッとつぶやいてしまう。



先ほど立ち上がるのを手伝ってくれた神官から「こちらへどうぞ」と先へ進む案内をされた。

他の勇者たちも案内の指示に従って進み始めている。


召喚は無事に済んだ。

おれの体も頭も問題ない。

これからのスケジュールがわからないので若干の不安があるが、本当に勇者として召喚されという事実に胸が躍る。

「はい」と力強く返事をして、おれも歩き出した。


どこに行くのか、ちょっとは教えてくれると嬉しいのになぁ。と思いつつ皆に付いていった。


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