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Godspeed 星継ぎ物語 勇者のつもりだったのに編  作者: まとあし
プロローグ
1/15

勇者になる

初めて小説を書きます。

プロローグで勇者や異世界の背景を小出しに説明をしています。

書いてる途中で辻褄が合わなくなることも多々あり、勇者や異世界の背景修正が多くなっています。

しばらくの間、ご容赦をお願いします。

※設定を大きく変えました。書き直します。ごめんなさい。


ミノル自身は認めたくないが、彼はかなりの小心者もののようだ。


友達や家族の前では大きな口を叩いているが、いつもはビクビクしながら生きている。

車の運転中に後ろから煽られると、すぐに脇に避難する。

確かな事を言っている自信があっても、自己主張できず一歩引いてしまう。

それに大きな街の繁華街に遊びに行って絡まれるのも怖いし、人から見られている気分になるとそれが気になって楽しめない。

性格も内気で内向的だ。


そんなミノルだがじつはやる時にはやる。

プライベートは弱気ミノルが、仕事では責任感からかしっかり交渉するし意見も通す。

取引相手とWin-Winの取引になることを心がけ、誠意を持って日々の仕事に励んでいる。

仕事の時だけ小心者のミノルが消えるのがちょっと面白い。


彼は独身ってこともあり、休日出勤や辺鄙な田舎への出張商談などを良く押し付けられる。同僚もとより若い世代の後輩にも、頼まれれば断れないヤツと甘く見られてるようだ。そのせいなのか、仕事での評価も頑張りに比べいまひとつパッとしない。貧乏くじを引いてるからか?


そんなミノルは空想が大好きだ。

周りの人から注目されミノルが中心の世界に浸れるからだそうだ。世界で活躍するヒーローになることが特に好きな空想で、いつでもどんな時でも空想できることが彼の特技だ。


道を歩いているときも空想する。

例えば、困った人を発見したとしよう。

助けてみるとセレブな人で、感謝をされて、その後の人生が大きく変わって。

セレブな人の紹介や後押しで仕事順調。

世界の人々が幸せになる仕事をバリバリして、今世紀の偉人100名に入っちゃう。

とか。


最近、株を買った。そんなときは。

買った株がうなぎ上り、売って得た金を更に投資、そして資金が20倍にも30倍にも。

数年したら、資金が10億くらいになってって、知人も増えテレビ出演、そして人生が大きく変わった。

とか。

いやいや、実際に彼がテレビに出演なんて無理だよ。めっちゃ緊張するから。

緊張すると失敗しないようにすることばかり考えちゃって、周りが見えてなくて失敗することが多い。

しかし、彼は空想の中ではテレビにも出ちゃって、医療や環境、エネルギー、インフラなどの各分野の基礎研究や開発技術に投資をガンガン行い、世界を変えた100人に選ばれている。

ともかく偉人とかヒーローって呼ばれたい願望の持ち主だ。



空想好きの彼はもちろん空想しながら眠りにつく。

大金持ちになる空想が多い。金の力で世界を動かしたりするのもカッコ良くて憧れるそうだ。フィクサーとして権力者にも恐れられる存在もカッコ良いと思っている。


そんな彼だが愛する妻と息子を失ってからは、ウハウハ人生空想よりも人々の笑顔が絶えない空想を見たくなっている。

彼は『おれと同じ悲しみ、同じ理不尽な……悲しみをして欲しくない。』ととても強く思っている。だから空想の結末は「笑顔」と「世界平和」と「平和に貢献した有名人で大金持ちの凄い人」ってのが定番だ。

家族を失ってからの彼は、時間があれば空想の世界への引きこもが酷くなっている。



さてさて、こんなミノルがある日「勇者」になることになった。

小心者で飛び抜けた能力もなく悲しみに暮れる日々を送る彼を哀れに思った神様が選んでくれたのだろうか。あっ、実際には神様ではなくて、超越者なる人々によって勇者になったんだけどね。


そうそれは、切っ掛けも経緯もなにもなく、突然、普通のサラリーマン風の男性が家に訪れて「勇者として別の惑星に行かないか」と誘われた。

彼も最初は何が目的で?詐欺にでもある?などと思ったが、不思議と違和感なくこの提案を受け入れられた。そもそも空想好きの彼にとっては、別の惑星で勇者になることは非常に魅力を感じた。


今更だが彼にとってこの世にそんなに未練もない、心機一転、生まれ変わるのも良いと感じた。

それも勇者でヒーローだ。むしろ夢のような話で、喜しいばかりだと。


ミノルの唯一の気がかりは彼が突然居なることで、両親を悲しませてしまわないか心配になったことぐらいだ。それに関しては「あなたのアバターを残して行ける」とのことだった。アバターとはおれの分身で全く同じ考え方や行動をするそうだ。要はおれが居なくなってもアバターが居れば誰も気が付かない。そのように調整準備をして送り出してくれるらしい。

ミノルは安心して別の惑星に行けることで憂いなくこの話に乗ることにした。



そうそう、気がかりと言えばもう一つあった、こんな自分でも大丈夫かってことだ。

ミノルは責任感がある方だと自負している。が、力も無いのに気軽に勇者になってしまって、その結果周りの人々を不幸にしてしまわないかって心配だ。


ミノルの勇者についの知識と言うかイメージは次の通りだ。

・勇者は死んでも教会で生き返える。

・レベルを上げるごとに身体能力も魔法能力も超人になる。

・魔王を倒せる()()の存在。


(この()()の勇者がおれで……大丈夫なのか?おれなんかより他の人に任せた方が上手くやってくれるんじゃないだろうか?)

いざ行くとなると、そんな疑問が出てきたミノルだった。


尻込みを始めたミノルに対し超越者の使いが追加で説明をした。

心配していると、勇者は大勢居るから大丈夫って?!。


え?

大勢居るんだ・・・。


そっか、ならおれがダメでも他の勇者が何とかしてくれるのなら心配ないかなぁ?。


いやいや、納得して勇者になる以上、どんなに辛く苦しい道のりでも耐えて進む積もりでは居るよ。

何度も言うが責任感は強い方だ。

みんなが笑顔で暮らせるように責任をもって勇者をやるつもりだよ。


おれはこの世界で理不尽な暴力で家族を失った。

だから魔王であろうと誰であろうと理不尽な暴力を振るうのなら、おれは許さない。

おれや家族と同じ思いをする人々が居るのが辛い。そんな思いで悲しむ顔を見たくない。

そこは何があっても譲れない、絶対にだ。


あ~しかし、絶対って思っても、絶対って無いから。

勇者が沢山居ることで2重3重の安全保障があることはみんなの安心に繋がるからね。

おれって小心者だから。。。



勇者になったら、内気で小心者の性格も変わるのかな?



現世の記憶は概ねそのままらしい。

別の人間にはなりたくないので、ありがたい。

記憶が消されらた、おれが()()じゃなくなるもんな。

でも、みんなの笑顔を守るためなら、悲しいけどおれ一人が犠牲になればってのもありだ。


記憶は概ねそのままと言うことは、性格もそのままってことだよね?

考え込んでいたら、性格もそのままって教えてくれた。

何気に超越者って親切。


内気で臆病で小心者・・・それがおれが思う、おれの性格だ。

生きていくのに良い性格か悪い性格かで言えば、悪い性格だけど、少しでも変わってたらおれじゃやない気がする。

やはり、今のままの性格でいいや。


勇者として成長していけば、自ずと自信に満ち社交的な性格に変われると思うし。

自分で変えていけるように努力するよ。

コツコツは得意だから、コツコツ頑張るよ。


希望は勇者として活躍し人々を笑顔にし、

名声を挙げ、

今まで言いたくても言えなかったこともズバッと言える。


今は希望だけど、それは空想や妄想じゃなく、きっと実現する。

そんな気がする。


ついでに魔王や魔人、魔物だけじゃない、

思い上がった傍若無人な嫌なヤローも正義の力でこらしめてやろう。あれ?これは法的に良くないことなのかな。まぁ、なるようになるよね。



期待と希望でワクワクが止まらない。



そうそう、勇者になるまえのおれについて。

名前は佐藤(サトウ) (ミノル)、34歳、男、鹿児島の小さな商社勤め。

独身・・・バツイチ。

趣味は空想、ゲーム、読書、ブログ、DIY、家庭菜園。


ゲームはジャンルを問わず面白そうならする。

でも、戦略ゲームが一番すきかな。

戦略ゲームは、一つ一つ計画的に地道にコツコツ積み上げ、一気にドン!って詰ませるのが楽しい。


読書は小説も好きだが、ブログの下調べやDIYに関する調査資料を読むのが好きだ。

地震に備えて太陽光発電や風力発電、自転車を改造した人力発電の施設構築整備がライフワークの一つにもなっている。

家庭菜園も好きで父の田舎の土地を借りて休みの日には農業もしている。

会社を退職したら、キャンピングカーで日本巡り、そのあとは自給自足の生活をしてみたいと思っている。

いや、もう、そう思っていた……だね。



別の惑星にいくことや勇者についての心配ごとや考えをいろいろ巡らせているうちに、別の惑星に行く準備の時間が来たようだ。

もうこれで現世へ戻ることはできない。

父さん、母さん、兄さん、姉さん、ありがとう。行ってきます。

家族への感謝の気持ち思っていると、眠らされてしまった。



寝ているおれはCTスキャンのような機器に掛けられた。アバター作成に必要らしい。そして無数のナノマシンやマイクロマシンが入った液を体の中に入れられ、脳からも情報を抽出された。DNA情報、脳の情報、生体反応情報など全てのありとあらゆる情報を抜き取られたおれは……とある惑星に届けられる予定になっているらしく、細胞を壊さぬよう冷凍されて保管された。




別の惑星の周回軌道上の宇宙コロニーでおれの情報が受け取られた。そう、先ほど抜き取られた情報の全てを。

おれの新しい体を作るのに2か月ほど掛かるようだ。培養液の中で一からおれが作られていく。そして物理的な単純構成だけでなく、おれの感情を司るメッセージング物質の出方まで丸っと再構築してくれる。地球に居たおれと全くの同一人物として構築している。超越者はやり神様なのかと思う。


朦朧としているおれに情報が送り込まれてきた。これも脳にナノマシンがアクセスし自然に学習をさせてくれる。頭が痛いとか苦しいとかはない。


この別の惑星の世界について。

・この世界の環境は地球に似ている

・時間の進みは同じ

・魔法が使える世界

・科学は発達していない

・転生勇者が多いことから受け入れ体制は良い

・言葉も含め困ることはほぼ無い


勇者に関して。

・身体の寿命が来るまでは、病死や事故死はほぼ無い

・平均で100歳くらいまで寿命がある

・健康で頑強な体を持つ

・90年・60年・30年前に来た勇者が今も多数いる

・ギフト(加護)としてスキルが一つ貰える




突然、目の前に悲惨な光景が表れた。


燃え上がり大きく崩れている街。

叫び、泣き、逃げ惑う人々。

大怪我で倒れている人々。

数えきれないほどの魔物に魔人。

そして凄まじい威圧感の魔王。

スライド写真を見るように次々変わる。


「あなたに神の能力の一部を授けます。

 あなたが最も望む力を想像してください」


おれが最も望むもの?!

悩むことはない。

そんなの決まってる。


理不尽な暴力は許さない。それに対抗できる力は欲しい。


でも、本当に欲しいのは「人々の笑顔」だ!!

おれが人々を守る、永遠に守る!!


感情が映像で大きく揺さぶられる中、強く強く強く「人々を笑顔に、おれが永遠に守る・・・」、おれは朦朧とする意識の中で、おれ自身に誓いを立てた。



□□□□□



この惑星は超越者が支配する惑星の原生人の標本を作ったり超越者の成長を促す試練を与える世界として利用されている。


この惑星を支配する超越者の代理人が居並ぶ空間。

彼らはこの惑星で神々として崇められている超越者達の神々を模したアバターだ。



おれを管理していた担当者から神々に一言添えられる。

「この者は、例の双子の妹が管理していた原生人が地球と呼称する惑星の住人の一人、調査対象RECV120-HV-0001「佐藤 実」です。ちなみに無作為に選ばれて居ますので双子とは何の関与もなく、DNA確認済ですので安心ください」


「しかし、こやつ朦朧としておったとは言え、力を望まず()()を立ておったぞ」

「今の精神状態は本心を語るように調整されている。この者は本心から望んだことだ」

「根っからの平和主義者が居たとは驚きだ」

「永遠とも言いおって、平和のために人柱にでも成るつもりか」


「永遠とはことわりを外れた道に進むこと。そのことを理解しておらぬ」

「望む力と言っておるのに、なぜ誓いをておる。バカなのか?」


彼らとは異なる機械音が発言した。

『皆様、お話し中失礼します。このケースは数万年ぶりの事ですね。連邦法に則り対応をお願いします』


「「「誰ぞ……」」」

とても珍しい対応に、皆が口々に誰かを求める。



われわれことわりに従い、われことわりの内に。」

若い一柱が進み出て、自分が面倒をみると告げる。


「うむ。では、いにしえの約定に則り」

「「「そのように」」」

残りの神々は、若い神に任せることを同意する。


進み出た一柱の神から何らかのシステムに何らかの命令が出される。

「古き友よ。

 いにしえの約定に従い、かの者の輪廻を解き放せ」


(かの者は輪廻から放たれた・・・)

システムから告げられる。


「最も古き我が友よ。

 いにしえの約定に従い、かの者にわれことわりへの道を。」

 

(かの者の道は拓かれた・・・)

異なるシステムから告げられる。


おのことわりを持つ友よ。

 いにしえの約定が開かれた。

 かの者、誓い諦めし時、滅せられる。

 かの者、久遠を経ても誓い望みし時、かの者に新たなことわりを認めよ」

若い一柱の神から形式に則った言葉で、他の神々に告げられる。

おれは永遠の命を貰ったが、この惑星の人々の笑顔と平和を守ることを諦めた時は死ぬこと。そして人々の笑顔と平和を守ることが久遠の時を経ても守られた時、新たな支配者の一人として認められることを神々に告げられた。


「「「そのように」」」

神々はそれを認め、おれのお披露目と処置が終わった。



今回、試される全勇者のお披露目と加護付与の儀が終わると、神々は次々に去っていった。

最後に残った若い一柱が立ち去ると、超越者のことを始め、お披露目と加護付与の儀の全てがおれたち勇者の記憶から消された。



ミノルの望んだものは、単純な力ではなかった。


多くの人を笑顔にするには、人の身では叶わない。

人の身で守れる人数には限りがある。そして永遠に守れない。

その願いは、自己のためでなく他者のため。


ミノルの望みを叶えるには人ならざる存在になるしかない。

ミノルの望みを叶えるべく、一柱の神が手を差し伸べた。


しかし、ミノルが誓いを諦めたとき、輪廻を外れたミノルは消滅する。

誓いを長い長い時を経ても守って居られれば、ミノルはミノルのことわりを持てる。

ことわりを持つ存在はことわりの中では全能である。



ミノルは映像を見て、感じたままに願ったのだろう。

しかしそれは、勇者を超えた、救世主メシアのそれと同等だった。


この惑星を支配する神々は超越者達だ。

しかし、支配される原生人にも人権が存在する。連保法はその人権を守るためにこの惑星を支配する条件に最低限の法律を施行した。それが「試される者が、自己のためでなく他者のため自己を犠牲にすると誓いを立てた時にチャンスを与える」と言う事であった。


こんな事は長い歴史を振り返って見ても数万年に1度程度の事であり、挑戦者が諦めるように仕向けることで、現支配者は苦労もなく支配権を維持できる。潰されることが前提の法を言っても過言ではなかった。


しかし、潰されることが前提の……おれの願いは厳しい条件付きだが、叶えられる可能性を得られることとなった。記憶が無くなった今となっては、厳しい未来が待っていることは思いもよらないのだが。




今は培養液から出され、地上に向けて運ばれたようだが記憶もなく眠ったままのおれにはわからない。

しかし今はしっかり目が覚めてきた。周りも明るい。

いよいよ勇者の時間の始まりのようだ。

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