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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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90話 ようこそ、ここはダンジョンの街です

 「どうだ?驚いただろう」

 街を呆然と見てる俺に後ろから声がかけられた。

 振り返るとさっき道で話をした冒険者だった。


 「まあそりゃ驚くよな。ダンジョンに急に街が現れたら。俺なんて初めて見た時は間違って外に出たのかと思ったぜ」


 確かに一瞬何処にいるのか忘れてしまう光景ではあった。


 「言い忘れたが、初めてこの街に来るんだろ。だったらまずは冒険者ギルドに行きな。そこで色んなことを教えてくれるから」

 冒険者ギルド!?冒険者ギルドもあるのか。

 というかそれを言う為にわざわざ来てくれたのか。


 「冒険者ギルドの場所は――」

 この親切な冒険者に冒険者ギルドの場所を教えて貰った。


 「分かりました。ありがとうございます。冒険者ギルドに行ってみます」 

 「何いいって事よ。じゃあな。頑張れよ」 


 そう言って冒険者は入り口の方に帰っていった。

 もしかしたら3階と4階の門番的な人なのかもしれない。ダンジョンの地上入り口で待機している職員さんみたいな。


 とにかく、教えて貰った冒険者ギルドに行こう。

 教わった通りに道を歩いていく。と言っても目の前の大通りを真っ直ぐ歩いて行って大きな交差点を右に行くだけの簡単な道順だった。

 周りをキョロキョロしながら歩くがまだ時間的には夜中なので誰もいない。

 建物も開いている所は一つもなかった。

 どの建物も石と言うか土というかの壁で出来ている真四角な建物だった。木材は扉くらいだ。


 少し行き交差点を右に曲がると一際大きな建物が見えた。これが冒険者ギルドだろう。

 では早速と思い、大きな扉を開けようとするが、開かない。押しても引いても横にずらしても開かない。完全に閉まっている。


 そうか、この時間だからやっていないのか。

 これは大誤算。今まで夜中にダンジョンに入る事にデメリットが一個もないと思っていたが、まさかこんな落とし穴があるとは。夜だからギルドに入れない。そんなイベントがダンジョン内で起きるなんて想像できないだろ。

 そもそも冒険者ギルドも軟弱すぎだろ。お役所仕事かよ。9時17時しかやらない怠慢営業かよ。ありとあらゆる事に対応するため24時間営業しろ。

 ダンジョンに居るんだぞ。ここは戦場だ。24時間戦う姿勢をみせろよ。

 とはいえこの時間ならしょうがないか。深夜だしな。この世界じゃ寝てる時間だ。さてどうしよう。


 「どうした?何か用か?」

 途方に暮れていたら大柄でいかつい顔の男に声をかけられた。暗闇でこの顔はやめてくれ、凄いビビった。

 「あの・・・冒険者ギルドで話が聞けるって言われて。4階に来たのは初めてなんですけど」

 大柄な男にビビりながら事情を説明する。


 「こんな時間に?明日にしろ。と言っても、もう宿もないか。しょうがないついてこい」


 そう言って大柄な男が歩き出すのでついて行く。

 その男はギルドの建物をぐるりと回りこんで裏のほうに行く。そして裏手にある扉から建物の中に入っていく。

 完全に裏口だ。口利きで裏口入学してしまった。はい裏口入学言いたかっただけです。


 「そいつは、外で待たせておけ。それくらいで逃げないだろ」

 そいつとは誰の事か一瞬分からなかったが、ドンの事のようだ。やっぱりロバだけ入れてもらえないのね。差別だ。と思ったけどイカツイフェイスで睨まれたらなんも言えない。

 すまん。ドンここで待っていてくれ。 


 建物の中に入る。天井に魔道具のランプがついているので、部屋の中がほんのり明るい。しかしランプ程度では大して明るくないのでかなり薄暗い印象だ。


 そうして薄暗い建物の中を進んで行くと一つの部屋に通される。

 そこには机が一つあり、誰かの仕事部屋のようだった。


 「よし、じゃあギルドカードを出しな」

 大柄男が椅子に座るとそう言ってきた。

 言われた通り冒険者のギルドカードを大柄男に渡す。

 男はギルドカードを一瞥して何かを確認しメモを取ると返してくれた。


 「明日また開いてる時に来な。そうしたら正式な手続きをしてやる。今は仮の許可をだしてやる」

 「はい、分かりました。」

 なんだか分からないけど、とりあえず分かってみる。明日来ればいいんでしょ。わかるわー。


 「で?何が聞きたい?」

 「えーっと・・・」

 そんな急に聞かれても。分からないことだらけで何を聞いていいのか分からない。


 「・・・この階の情報って教えて貰えるんですか?何が出るとか」

 「ああ、そっからか。それなら――」


 この目の前の大柄・イカツイ・ザ・グレートな人に魔物の情報を教えて貰う。

 なんと4階からはオークが出るらしい。しかも集団行動で。

 大きくて武器を器用に使い力があるので1匹でもやっかいなのだが、それが2,3匹で現れるのだからそうとう大変らしい。

 3階あたりまではソロで来る冒険者もいるがここからはパーティー推奨らしい。

 確かにゴブリンでも集団できたら脅威だったな・・・。いやそんな記憶ないわ。普通にボコってた。


 そしてネズミ、スライムなんかのいつものメンツを除くと後は大蛇がでるらしい。

 こいつらはかなり大きくて人間も飲み込んでしまう程、でかいらしい。

 後は毒を持っているので中級解毒薬が必須らしい。

 凄っ。あてずっぽうで買ったら必需品買えてた。結構長い事冒険者やってる経験が生きたな。


 他にも地図は買えるらしい。ただし今はギルドの販売店が閉まっているので買えるのは明日だ。

 この街からは2つ道が分岐しており、どちらも大体、オークが出るらしい。


 オススメの宿屋の位置も聞いたが朝になるまでは当然閉まっているのでこの時間に行くのは無理との事だ。まあそりゃそうだ。


 「他に聞きたい事は?」

 「えーっと・・・、大丈夫です」

 今は思いつかないから後で思いだしたらまた聞きにこよう。今度は当然、美人の受付嬢にだ。

 聞きたい事も全部聞けたはず。じゃあ、そろそろ行くか4階の狩場ってやつに。

 この街に来てから大分時間も経ったのだ。今更帰るには遅すぎる。なら4階を少し味わってから帰っても遅くない。どうせ明日、地図を買いに行かなきゃいけないんだし。

 宿屋もあるのだ。1泊してから帰ればいい。何か重要な事を忘れているような気がするが、思い出せないという事は大したことではないのだろう。


 じゃあ、親の顔より見たオークのマジカルチンポでも拝みに行きますか。

 そう思い立ち上がる。

  

 「で?これからどうするんだ。帰るのか?」

 「いえ、少し先に進んでオークと戦ってみようかと。ギルドが開く位には帰ってきます」

 「話を聞いていたのか。相手は集団だぞ」

 「?多分、大丈夫です。こいつらも強いし、駄目なら逃げてきます」

 大丈夫大丈夫。俺は『水魔術』を極めし大魔法剣士だからオークぐらい楽勝だ。いざとなったら逃げるし。


 「そうか、なら好きにしろ。あまり奥へは行くな。この街の近くなら魔物も大分、狩られているから急に大集団に囲まれるという事もないだろう。ダメだと思ったらまっすぐ逃げて来い。入り口にいる奴がなんとかしてくれる」


 入り口?さっきの人たちだろうか?

 違うかまたこの街と他の部屋を繋ぐ道の所に門番的な人たちがいるんだろう。そうでなければこのダンジョン内でいくら建物の中とはいえ呑気に寝てられないだろう。


 「分かりました」

 そういって部屋をでた。すると男も一緒に部屋を出た。

 外まで案内してくれるらしい。助かる。正直来た道覚えてなかった。意気揚々とでて迷子になる所だった。危ない危ない。


 そうやって男に案内されて建物の外に出た。あとはこの道をまっすぐ行けばこの街というか部屋の出口に行けるらしい。

 良し行くか。そう気合を入れて歩き出す。


 みんなで道を歩き部屋の外に出た。

 案の定、部屋の出口に何人もの冒険者がいて魔物を警戒していた。

 俺達を見て、口々に大丈夫か?と聞いてきた。もうそれさっきやったから、そう思いつつ。一番いい装備だから大丈夫だ。と答えておいた。


 そうやって部屋の外に出る。

 まずは地図の用意だ。今までの3階の地図から新しい地図に切り替えて魔道具を発動する。

 最初は地図はどうしようかと思ったが一応、分からなくならないように地図を使う。新しい地図に街の位置だけ大雑把に書いておき準備は完了だ。次の部屋くらいまでしか行く予定はないが念のためやっておく。


 そうしてすすむこと数分、次の部屋に出た。

 さっきの部屋に街があってオークが集団でいると聞いていたので、オークの村とかあるんじゃないかと思っていたがそんな事もなく、いつも通りの普通の部屋だった。

 さっきの街を4-1としてここを4-2としよう。地図にもおおざっぱに入り口の位置と4-1と4-2を繋ぐ道を書いておく。


 じゃあ、早速、冒険だ。

 左手に杖を持ち、右手に短剣を持つ。魔法剣士スタイルだ。

 左手の杖には既に魔力を通して操っているいくつかの液体がある。


 ここで少し説明すると、俺はこの『水魔術』のスキルレベルの上昇と共に新たな技を編み出している。

 その一つが複数の液体の塊を同時に操作するものだ。


 簡単にそのやり方を説明すると水や麻痺毒薬なんかを操作するときに杖から細い管のような紐のような物を作りそれを使ってアクセスしている。この管をリンクと呼んでいる。そのリンクを複数個作り、別々の液体に付けて操っているそれだけだ。


 以前、このリンクを複数個の水に同時に通そうと思ってチャレンジしたが見事に失敗した。

 この時は杖から伸びるリンクを二つ作り別々の水に通そうとしたのだが、それが上手くいかなかった。

 しかし俺は挑戦し続けた。そして試行錯誤の上、複数個の水にリンクを通すやり方を発見したのだ。


 やり方は単純でリンクを通して操る水の塊の先からまた別のリンクを作り、別の水に繋げるそれだけだ。

 つまり並列につなげる事は出来なかったが、直列につなげる事は出来ると言う訳だ。

 もっと具体的に言うとアメリカンクラッカーのような奴は駄目だが、アナルビーじゃなかった、ビーズのようなものなら操る事が出来るという事だ。

 途中で下品な表現をしそうしなった。危ない危ないアナルいらないわ。


 とにかくそんなビーズのように水と水の間にリンクを張って複数の水を操る事が出来るようになった。

 当然、そんな形で操作するので操作する上での制限みたいなのはある。

 例えば動かすときは一直線になりがちだとか、左右別々の方に向かわせられないとかそういうやつだ。

 

 だが、今は『水魔術』のスキルレベルが上がり、操る事が出来る範囲が格段に広くなったのでその制限もかなり緩和されている。使い方次第でかなり自由に使えるようになった。


 では今現在のフォーメーションを説明しよう。

 まずは俺の体の近くに一つ大きな水の塊を作っている。これは何かあった時の防御用だ。

 次にその先に2つの小さな麻痺毒薬の塊を作っている。これは出てきた敵に向けて放つ攻撃用だ。

 小さな塊と言っても容器1つ分くらいの量があり、これだけでかなりの数の魔物を痺れさせることが出来る。

 1つの塊でも前後にいくつにも分ける事が出来るので複数体の魔物が出てきても対処可能なのだ。


 また小さな塊を2つ用意しているのは1つで足りなかった時の予備だ。 


 では説明も終わったところで改めて冒険開始だ。

 取り敢えず部屋は広く全部は見渡せないので端のほうから少しずつ探索していく。


 「ぐるぅぅ」

 少し進むとギンが何かに反応して警戒態勢に入っている。岩陰に隠れているが何かいるらしい。

 音をたてないように近づいていき岩の先を見る。

 二足歩行で何か武器を構えている魔物が見える。きっとあれがオークだ。しかも3匹。遠目に見ているが結構でかい。俺より背がでかいんじゃないだろうか。


 俺よりも背も横幅もでかい。それも武器を持っている相手。かなり緊張してきた。

 幸い相手はこっちに気が付いていない。先制攻撃のチャンスだ。

 今にも突撃したそうなゴブリン達を目線で抑えて、攻撃の準備をする。


 まずは麻痺毒薬からだろう。一番先頭の塊を3つに分ける。それを地面を這わせて一気にオークに近づける。

 まだ相手は気が付いていない。やれる。3つのうちの先頭の塊を一番近いオークの足元から一気に顔めがけて飛ばす。命中したオークはゆっくり倒れ始めている。

 まだだ、続けて2つ目、3つ目の塊も同様にオークに近づけて顔にぶつけていく。

 面白いように簡単にぶつかって倒れていく。


 良しいまだ。ゴブリン達に合図をして一気に駆け出す。

 もし近づいて行って相手が立ち上がったらそのまま回れ右して帰ろう。

 そう思い近づくが全く立ち上がる気配がない。それどころかピクリとも動かない。


 右手の短剣に魔力を込めていく。一匹のオークに3匹のゴブリンが向かったのを確認したので、おれは別のオークに向けて短剣で斬撃を飛ばす。

 見事仰向けに倒れていたオークに命中し胸元から大きく血を噴き出していた。


 次だ。再び短剣に魔力を込めながら最後のオークに近づいていく。

 やはり相手は全く動かない。そのまま接近してしまったので心臓めがけてまっすぐな斬撃を飛ばす。

 うん。怖いから手が届く所までは近づきません。


 ゴブリン達の方を見てみる。

 あっちも全く動かないオークをめった刺しにしていた。あれはあれで大丈夫だろう。

 少し様子を見ているとスキル石が落ちたことを確認した。


 オークに全く何もさせなかった。それどころか向こうがどんなスキルを持っているかも確認する前に殺してしまった。 

 あっけない実にあっけない勝利だった。


 もしかしたら俺強くなっているのかも。

 そんな事を考えて調子に乗るくらいには、4階での初戦闘はあっけないものであった。


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