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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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84話 壁際の魔術師

『硬化』スキルを土壁に入れて壁を作る事を思いついた次の日。

 俺はすでに完成した壁の前で感慨に浸っていた。


 壁を作る作業自体は昨日終わっていたが1日経ってどうなるか分からなかったので、今日崩れずにここにある事をもって完成とした。


 横幅約15メートル、高さ2メートルの超巨大建造物だ。

 壁の硬度については『硬化』スキル0.1では亀の突進に耐えられないかもと思い、最終的に『硬化』スキル0.3の壁にした。

 本当はもう少し硬くしたかったのだが手持ちの『硬化』スキルが足りなくなるので泣く泣く0.3にした。

 0.3でも作るには『硬化』スキルの量が足りなかったのだが、当初予定していた大きさから小さくすることにより作った今用意できる最高の硬さだ。全部で『硬化』スキルを56.3使った力作だ。


 改めて壁を見る。

 垂直に作ると倒れてきてしまいそうだったので若干土塁の方に倒れる形で斜めにはなっている。しかし下から見れば垂直に見える。これなら亀も登って来れまい。

 壁の裏の土塁の部分は健在でその上には残りの土を山なりでもってあるので、2メートルの壁と1メートル弱の土の山の2段構成だ。


 しかし本当にこの壁を作るのには苦労した。

 壁を作る際、最初は等間隔でスキル石を入れていかなくてはならず凄い面倒くさかった。

 もうこのままずっと壁に張り付きながら隙間隙間に石を入れていくだけの人生になるんじゃないかと思った。


 それが変わったのは壁を作り始めて少し経った頃。

 単純作業に飽きてきてちょっとだけ休憩をとったら、そのまま全くやる気が出なくなった時に、罪悪感がない逃避としてこのまま壁を作るにはどれくらいの『硬化』スキルがいるのか計算した。

 その時に『硬化』のスキルレベルが0.3で今の大きさにする事にしたのだが、問題はお試しで作った高さ3メートルの壁だった。

 あいつだけサイズが合わないのだ。


 どうしようかと考えた末に、ちょっとうえだけ切ってそのまま横にスライドさせてくっつけられば良くない?みたいな凄い安直な方法を駄目元で行ったのだがこれが成功だった。大成功と言ってもいい。


 ギンにお願いして余っている1メートルの部分を横に移動して貰ったら、見事バラバラの土くれになってそのまま移動。

 唖然とする俺をしり目にそのまま横に移動したと思ったら同じ高さで壁を作ってしまったのだ。しかも『硬化』スキルは0.1のまま、硬さも元の硬さと同じままだった。

 『硬化』スキルを入れたら最後、固まったままの状態で崩したら終わりとでそのままゴミになると思っていたがそんな事はなかった。ギンの『土魔術』を使えば、『硬化』スキルを持ったままバラバラになったり再び固まったりすることが出来たのだ。


 この発見から作業は一気に加速した。

 俺が適当に『硬化』スキル0.3の土を作ったら、ギンにお願いして壁の一部にしてもらうだけだ。

 入れることは変わらないが、範囲がどうとか考えながらちまちま壁に向かって入れていくよりも適当に土にばらまいていく方がよっぽど簡単で早かった。

 

 そんな感じでブレイクスルーを得た後は順調に壁を作り、その日のうちに全部の壁が出来てその日は帰った。


 そして今日である。

 壁も出来た。いよいよ亀狩りだ。


 亀狩りを実行する条件として壁ともう1つ、逃げるときの手段の確保を掲げていたがそれも用意した。

 1つは土塁の上に乗せた土だ。

 亀に麻痺毒薬が効かず動きが止められなければ、待機しているギンに上にある土を一気に押し出してもらって亀を埋めてしまうという物だ。

 一回試しにギンにやって貰ったらかなりの勢いで土が降ってきたので足止めとしては十分と判断した。


 もう1つは今俺の手元にあるこの石だ。

 これには『発光』のスキルを入れており、魔力を流して閃光弾のように使う作戦だ。

 亀が光に弱いかは分からないが目で見てこちらを確認していたので視力はあると仮定した。

 相手の視力が弱かった場合を考えて出来るだけ強力な光を出せるように『発光』スキル5.0の石を作った。名前は閃光石。

 この石を作るためにわざわざ魔鉄鉱石を使った。おかげで増やしていた魔鉄鉱石の欠片の増えた分を全部使う事になってしまった。

 だが後悔はない。何故なら試しにちょっとだけ使って見たらとんでもない光が出て、失明するんじゃないかと思うくらい強力な物が出来たからだ。

 これなら亀の目もおかしくなるだろう。


 とこれら2つの物があれば逃げる事くらいなら出来ると判断した。

 懸念点の水の中で麻痺毒薬を混ざらず操作できるかの実験も無事操作できるという結果がでた。


 つまり亀に挑戦する条件はクリアした。

 よってこれより亀狩りを開始する。


 あ、待った。壁に『硬化』スキルが入っていないところが無いかもう一度確認しよ。確認はしてしすぎるという事はない。はず。


 今日、何度目かの確認をする。

 そう、さっきから準備は完了しているが、なんだかんだ理由を付けて亀狩りを開始出来てないのだ。

 理由は簡単、この作戦がうまく行くのか不安なのだ。亀が怖いのだ。


 準備に追われていた時は考えないようにしていたが、改めてその時が近づいて来ると否応なしに意識してしまう。

 亀と戦った時の痛みや恐怖を。そして何より誰かが死んでしまうのではないかという事を。

 その事を考えると一歩も先に進めなくなってしまう。この作戦を止めてしまいたくなる。


 だが同時にここで亀を倒せないと先が無い事も分かっている。

 今の俺は弱い。それはアルステラに行って思い知った。

 アルステラで衛兵に捕まった時。宿で暗殺者に襲われた時。俺は何も出来なかった。

 結果、何とか助かったが下手をしたら皆死んでいた。

 そういう結果もありえた。

 だから強くなりたい。

 何が起きても跳ね返せるそんな強さが欲しい。

 だから亀を狩る。

 亀じゃなくても、『水魔術』でなくても他に強くなる方法はあるかもしれない。

 だが、今目の前にあるのだ。確実に強くなれるすべが。

 だからそれを全力でとりに行かなければならない。

 そうして前に進まなきゃ終わってしまう。そんな気がするのだ。

 だから前へ、前へ。


 これだけ立派な壁を作ったんだから大丈夫だ。大丈夫。きっとうまく行く。


 もう一度、壁を見た。もう怖くない。



 よし、やろう。亀を倒して『水魔術』を極めるのだ。


 覚悟を決めたので湖に向かい合う。

 ここからは一人で戦う。


 まずは皆を土塁の上に避難させる。

 ギンを呼んだら土を落として。伏せろといったら閃光弾を見ないように目をつぶりながら伏せることを指示する。

 後は何があっても絶対に飛び降りて来ないことを厳命させる。


 では始めよう。

 まずはメイスを取り出し魔力を込めていく。 

 ここからメイスの魔力を衝撃波を飛ばして湖に当てる。前にバシャバシャ漁となずけたこの方法を使えば亀をおびき寄せることが出来るのだ。

 

 この壁の前から湖まで100メートルないくらいの距離だが、このメイスに付けた『棍棒術』5.0であれば簡単に衝撃波が届く。


 よし、行け。

 メイスに込めた力を飛ばし湖面にぶち当てる。

 ドゴーン。

 そんなけたたましい音とともに水柱が上がったのが見えた。


 メイスをしまい、麻痺毒薬の容器を取り出し蓋を開けた。

 右手に容器を持ったら左手に杖を持ち、麻痺毒薬に魔力のリンクを作っていく。

 リンクが出来たら容器の中の麻痺毒薬を床にばらまき杖のコントロール下に置く。

 後は右手に閃光石を握って準備完了だ。


 この準備の間にも目線は常に湖の方を向けている。

 ここからでは湖面が遠いので変化が分かりにくいがわずかな変化も見逃さないように凝視する。


 来た。かすかに湖面がせりあがっている。

 ついに亀のお出ましだ。



 と思ったらせりあがってくる数が多い。しかも小さい。

 蟹だ。無数の蟹が湖からあがって来ている。


 そういや、そんな奴もいましたね。前も最初は蟹だった。そういう事もありました。


 蟹は続々と上陸してきて岸は大変な事になっている。大渋滞だ。

 蟹もどっちに行っていいのか分からないのか右往左往している。

 どうするんだろうと思っていたら気が付いたのか一匹がこっちに向かってくる。と思ったら他の奴らも一斉にこっちに来た。


 やばい。数が多い。一人じゃ対処は無理だ。

 「イチ、ニー、サンこっちに来い。蟹と戦うぞ」


 そう叫ぶが降りてくる気配がない。

 何でだ!と思いゴブリン達の方を見るが凄い困った顔でこっちを見ていた。

 いっけね、そういえば「絶対こっち来るな」っていってたわ。そりゃこっち来ないわ。


 そう思いながら横目で湖の方を見ると、もう蟹たちはかなり近くの所まで来ている。

 やべえ。


 「さっき言った絶対来るななし。来て。早く来てお願いします」 


 慌ててゴブリン達にそう言いながら自分は杖を手放しながらメイスを掴む。


 後ろで飛び降りて来る気配がある。良かった来てくれた。あの間違った事しか言わないワタルの言いつけを破って俺の為に来てくれたんだね。有難う。感謝。

 来てくれた事に安堵しつつ、蟹への対処の続きをする。


 「お前たちはここで向かってくる蟹を迎撃してくれ」

 そうゴブリン達に指示をだしながら自分はメイスに魔力を込めていく。

 やばいかなり近くまで来ている。間に合うかな?間に合え。


 一気に魔力を解放しながらメイスを振り下ろす。

 ドカン。

 なんとか間に合い、広範囲タイプの衝撃波が蟹の群れに直撃した。

 蟹の群れの前方が粉々になっていたがそれを乗り越えて蟹たちが迫ってくる。


 こっからは乱戦だ。

 メイスに力を込め1匹1匹近づく蟹を叩き殺していく。囲まれたら終わりなので逃げ回りながらだ。


 しばらくするとこっちに向かってくる蟹はいなくなった。全部倒せたのだ。

 ゴブリン達の方を見るが皆無事のようだ。

 よかった。何とかなった。


 しかしあんだけ恰好付けておいて、蟹の事忘れてるとかないわー。自分でも思うけどないわー。

 そう思うとどっと力が抜けていく。


 でもまあ、これはこれで良かったのかもしれない。

 やっぱり少し無理しすぎてたのかもしれない。

 もっと気軽にやろう、その方が絶対いい。

 亀が駄目でも、『水魔術』が手に入らなくてもまた別の方法で強くなればいい。

 うまく行けばラッキーそれくらいで行こう。


 取り敢えず気持ちの整理もついたので後片付けをする。

 まずは杖を拾う。麻痺毒薬はさっきの戦闘の間にもうどっかに流れていってしまったようだ。

 ここは穴の下の方なので水はけは悪いから残っているかと思ったが見事消えてしまった。しょうがないので諦める。

 後は蟹だ。倒した蟹で持って帰れそうな分だけ荷物に詰めたら後はいつものように埋める。

 スキル石は当然回収した。『硬化』は合計で48.6あった。

 おかげで壁は0.2上がって0.5まで上げられた。良かった良かった。

 因みに壁はどっから『硬化』を入れても全体的にスキルが上がっていく。だから何も考えずに『硬化』のスキル石を突っ込むだけでいいのだ。簡単。簡単。

 

 少し休憩をしたら狩りを再開する。

 2回目も蟹だったので同じように倒す。

 今度は先ほどより少なかったが手持ちの分と合わせて壁の『硬化』は0.7まで上げられた。目指せ1.0。


 そろそろ帰る時間だ。これで亀が出ても出なくても最後。

 そう決めて挑んだ3回目。

 メイスで水柱を立てた後に奴が来た。亀だ。亀が湖から上がってくるのが見えた。

 

 よし決着をつけてやる。お前の全てを奪ってやる。

 そう思いやや強めに杖を握るのであった。


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