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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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80話 水魔術師の狩り

 晴れて水魔術師と名乗る事が出来る自信が付いた次の日。

 早速、ダンジョンへ行って魔物相手に試してみる。


 早く、早くこの俺の杖に血を吸わせてやらねば。この杖で攻撃はしないけど。

 とにかく今宵の杖は血に飢えている。


 昨日、回復薬を作っておいて薬屋に売りに行くのを忘れていたら、おばあさんに軽く文句を言われてストレスがマッハなわけではない。

 決して八つ当たりではない。


 第一被害者を誰にするか。

 1階に生息していて、狙いやすくて、地面を這ってて、そんなに動かないやつ。

 これに該当して一番簡単なのはスライムだ。だがスライムに使っても面白くない。

 なぜなら奴は踏んだだけで死んでしまうくらい弱いので参考にならない。


 と言う訳で栄えある犠牲者第一号はトカゲさんに決定しました。


 まずはトカゲの生息エリアに行き、トカゲを探す。

 いた。第一サクリファイス発見。


 早速、トカゲに近づきながら準備をする。

 右手に杖、左手に容器の蓋が開いた溶解液を持つ。

 さて一つ諸注意。

 イチ、ニー、サン、ギンそしてサチ。

 今から液体の塊を足元に出すが絶対に触れないように。追いかけるのもなし。

 いいね。振りじゃないからね。大怪我するからね。

 

 みんなにそう言い聞かせる。ドンは別に追いかけないから別だが。

 「「ゲギャ!」」

 「わん」

 サチも頷いている。

 返事だけはいい。ただ凄く不安だ。本当に頼むぞ。まじで危険だから。


 気を取り直して。

 左手に持った容器の口に杖の先端を近づける。

 そのまま、容器の中の溶解液を自分のコントロール下に置いたら、容器を逆さにして地面に溶解液を垂らす。当然、誰にもかからないように慎重にだ。

 うまい事、容器の中身を全部外に出せた。特訓の成果だ。これくらいスムーズにできれば実践に使えるな。


 いよいよこの液体でトカゲを仕留める。

 まずは溶解液を移動させる。自分がうまく制御できる速度で動かす。大体、小走り程度だ。


 「お前らは動くな」


 誰かが動きそうな気配がしたので、制止する。

 みんな止まっているが、追いかけたくてうずうずしている。大丈夫か本当に。


 しかしあいつらにかまけてばかりもいられない。俺にも他にやる事がある。 

 トカゲとの距離はまだ10メートルはあるので、溶解液を動かしながら俺も移動しなくてはならない。だから俺も走る。小走りだ。


 案の定俺が走り始めると皆一緒に走り出す。

 やばい、あいつらに溶解液が追い付く前に決着を付けよう。

 溶解液の速度を上げる。トカゲはまだ動いていない。

 そのまま何の工夫もなく一直線に溶解液を向かわせてそして一気にトカゲにぶつける。


 バシャッ。

 トカゲと溶解液がぶつかった瞬間派手に溶解液が飛び散った。 

 やった命中した。見たかこれが水魔術ってもんよ。


 そして溶解液を正面から浴びたトカゲは体からジュウジュウ音をさせながらのたうちまわっていた。

 それも今まで見た事もないくらい機敏に、しかも派手にのたうちまわている。

 溶解液を浴びた部分を地面にこすりつけようとしているのか、単に痛さで暴れているのか。

 どちらか分からないが、とにかく尋常ないほど痛がっているように見える。

 この光景を見ていて凄い申し訳ない気持ちになった。


 これ以上苦しまないように一撃で殺してあげよう。

 右手の杖をしまい、腰に差していた剣を抜く。

 剣に魔力を込めたら一気に距離を詰めて胴体に剣を振り下ろす。

 あまりにも暴れているので細かい所を狙えない。だから一番大きな胴体を狙う。体のどこかに当たってくれ。

 魔力を込めた剣は軽い感触と共にトカゲの胴体を切り裂いていく。

 体に大きな傷を負ったトカゲは最初暴れていたが、そのうち段々動きが遅くなり、やがて止まった。


 トカゲの体を確認する。

 トカゲの体は大部分に大きな火傷を負ったような水膨れが出来ており、とても痛々しい状態で尚且つ体がほとんど真っ二つになっていた。

 すごく、グロいです。


 さっきの苦痛にのたうちまわっていた光景が夢に出てきそうだ。軽くトラウマものだ。

 どちらにせよ殺すのだが、何かこれはちょっと・・・。

 出来るのなら苦しまない方がいいよな。自己満足だとは分かっているがちょっとあれはね。

 うん、ちょっと溶解液は暫く封印するか。少なくともトカゲにはもうやめておこう。


 ふと周りを見ると、さっきまではしゃいでいたゴブリンやギンが凄い大人しくなっていた。

 この凄惨な光景に流石のゴブリン達もドン引きらしい。

 サチに至っては恐怖で顔が引きつって涙を浮かべている。

 そりゃそうか。楽しいオリエンテーションだったものが急に残酷拷問ショーになったらそりゃね。俺も怖かった。


 体は疲れてないが、気持ちが追い付かないのでかなり早いがここで一旦休憩にしよう。

 なんか今は直ぐに狩りをする気分にはなれない。


 とりあえず、トカゲの始末をしよう。

 間近でみると皮はボロボロだし、なんか身の部分もへんな色になっている。

 これは売り物にならないので、スキル石を回収したら体は全部穴に埋めて処分した。


 やる事もなくなったので休憩中だが水魔術の練習をすることにする。

 水袋から水を出していつものように操作するのだが、今回は誰も水に近づこうとしない。

 むしろ、近づけると逃げる。

 そりゃそうだな、あんなの見せられたら怖くなるわ。見た目じゃ水と溶解液の区別なんてつかないし。

 皆を怖がらせるのも何なのでちょっと離れたところで練習しよ。


 無心で水魔術の練習をしたためか大分、気分が上がってきた。

 そろそろ狩りを再開しよう。


 溶解液は封印してしまったので新たな攻撃手段、つまり新たな毒が必要だ。

 まあ、今持っている他の毒ぽい液体は『麻痺毒』スキルを入れた麻痺毒薬しかない。

 なので、これを使って魔物を狩れるか試してみる。


 では早速、トカゲを・・・と思ったがしばらくトカゲを狩るのはやめておこう。

 いつも同じ魔物では腕がなまってしまう。そういう事にしてください。


 だが1階には他に手頃な練習台がいない。ネズミは素早いので当てるのが大変だからなし。

 と言う訳で2階へ行く事にする。


 昨日は杖の練習に夢中で行かなかったが、いつもは魔鉄鉱石の欠片を埋めた場所へ肥料として魔物を埋めているのだ。

 昨日今日、休んだだけで消滅する事はないと思うがあまり長くいかないのもあれなので、今日は肥料をあげるという用事もある。

 

 そんな訳で2階の2-3と名付けた部屋までやってきた。

 途中、敵性ゴブリンが襲ってきたが普通に蹴散らしてきた。

 ここでも新薬は使わなかった。理由は・・・パッとは思いつかないが何となく使わなかったのだ。

 決してゴブリンが突進してくるのが早くてこっちの準備が間に合わなかったわけではない。慈悲の心で使わなかったのだ。


 言い訳はそんな所にして早速、新薬を使う相手を探す。

 相手は最初から決めていた。そうカエルだ。

 あいつらは動かないし、図体もでかいので実験にはぴったりだ。

 それに『麻痺毒』スキルはカエルから取った物なのでなんとなくカエルに効き目が悪そうだ。そのカエルに対して少しでも効くのであれば、この新薬はどの魔物にも有効という事になる。

 お、なんか今考えたにしてはそれっぽかった。最初からその理由でカエルにしたことにしよ。


 暫くカエルを探しているとギンがカエルを見つけた。

 ギンが吼えている場所に行く。

 相変わらず岩と地面しかないように見えるが、ここにカエルがいるらしい。


 すばやく、麻痺毒薬を自分のコントロール化に置くと地面に垂らす。

 初めて操ったが溶解液と同じくらいの速度と精度で操作できる。

 これなら先ほどトカゲにぶつけたのと同じようにやるだけなので簡単だ。


 麻痺毒薬の塊を操作してギンが吼えている所に移動させる。

 液体が動いているというのに誰もとびかからない。嬉しいやらちょっと寂しいやら。


 とにかく、麻痺毒薬をカエルにぶつけるため操作する。しかしカエルが何処にいるか正確に分からないのでぶつけようがない。

 麻痺毒薬をギンが吼えている箇所をウロウロさせる。

 いつもならメイスとか剣とかで適当に攻撃を飛ばして当たればラッキー、当たらなくてもカエルが動いて位置が分かるという適当戦術なのだが。

 この場合、どうしたもんか。適当にぶつけて飛び散らせてしまうのは勿体ないし、かといってこのままウロウロさせてるだけでは埒が明かない。


 しょうがないのでその辺の石を拾って推定カエルがいる場所に投げる。まだメイスとかがなかった頃の原始的な作戦だ。

 何回か投げるとカエルが反応して動いたので位置が分かった。

 そこだ。

 すかさず、麻痺毒薬をカエルめがけてぶつける。


 やったか!?

 暫く様子を見るがカエルは微動だにしない。そこにはただ水にぬれたカエルがいるだけに見える。

 しかし今使用したのは麻痺毒薬だ。きっとやつは痺れて動けない、そうに決まっている。

 決まっているが近づくのにも勇気がいる。実は全然効いてなくて、近づいた途端、反撃されるとか嫌だもんな。


 しかしこうしていても埒が明かないので右手の杖を剣に持ち替えて、近づいていく。

 それも急に動かれても何とかなるように後ろからだ。

 もう剣を振れば届きそうなくらい近づいたがカエルは微動だにしない。どっちだ?効いてるの?効いてないの?

 分からないので剣でつついてみる。これで急に動くのはなしだからね。

 そう思いながらつつくが、やはりカエルは動かない。実験は成功だ。麻痺毒薬はカエルに効く。つまり魔物との戦闘に有効という事だ。


 そうと分かればもうこのカエルに用はない。後ろから剣を刺して倒した。

 あっさりと倒せたカエルも見ながら思う。

 魔術で行動を阻害して剣でとどめを刺す。絵にかいたような魔法剣士ムーブ。完璧じゃないか。

 これで今日から魔法剣士と名乗っても差し支えないな。

 

 魔術なんてなくたって剣で遠距離から攻撃しているだけで倒せるとか、魔術と剣をバラバラに使っているから魔法剣士じゃなくねとか、そもそも魔術なのに魔法剣士ってなに?とかそういう批判は受け付けない。

 誰が何と言おうと今日から俺は魔法剣士。

 

 改めて倒したカエルを見る。

 表面はまだ濡れているので触ると俺も麻痺してしまうかもしれない。

 あとカエルは食用肉として買い取ってもらえるのだが、毒で倒したカエルなんて引き取ってくれるのだろうか。食べた人も麻痺りそう。

 まあ、こいつは元々、魔鉄鉱石鉱床の肥やしにするつもりだったからいいけど。


 死体の処理を今すぐしようかとも思ったが、これからまだまだ狩りをするので、今日の最後に片付ける事にする。

 足元に落ちているスキル石を回収したら狩りの続きだ。


 そうして、その後もこの辺にいるカエルやゴブリンを狩っていく。

 頑なに麻痺毒薬を使って痺れさせてからとどめを刺すスタイルを貫いた。

 結果、この日も終わりの頃になると大分慣れた。


 まずは麻痺毒薬は常に杖の周りに纏わりつかせ、魔物を見つけたら相手にぶつける。

 これをする事で急な遭遇戦でも簡単に対処することが出来た。つまりゴブリンの奇襲攻撃にも俺は勝ったという事だ。


 後は、麻痺毒薬の量も大分調整できた。

 最初は容器に入っている物全てを使っていたが、そんなに量が無くても倒せることが分かりどんどん減らしていった。

 魔物の大きさにもよるが、少量当てただけでも麻痺させられるのでこれは本当に強い戦術かもしれない。

 やっぱり魔法剣士は最高だぜ。


 今日の実践で大分、この魔法剣士スタイルも板について来た。

 そろそろ、次のステージに行く時だ。そんな事を思いながらダンジョンを後にした。

 

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