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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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77話 水の魔術師と呼ばれた男

 苦節10日。

 毎日毎日おばあさんに回復薬を売りつける事により作った金額150万。

 構想1か月弱。総工費220万。

 ついに俺は水魔術専用の杖を手に入れたのだ。

 杖は魔鉄鋼製で棒状の先端になんか宝石みたいな物が付いている。この宝石みたいなのが亀の甲羅から作られた魔術の媒体らしい。

 杖自体はかなり短いため魔鉄鋼で出来ていても片手で難なく扱えるくらい軽い。


 よし杖の確認も出来たし早速、ダンジョンに向かおう。

 水魔術の試し打ちをするのだ。


 逸る気持ちが抑えきれない。

 まだダンジョンについていないのに新品でまだ何のスキルもついていない魔鉄鋼製の杖につい、『水魔術』スキルを入れそうになる。

 まだだ、ここは天下の冒険者ギルド、何処でどんな人が見ているか分からない。

 冷静になれ冷静になるんだワタル。

 しかしワクワクが抑えきれない。ドキドキが止まらない。


 こんな気持ちは小学生の頃にゲームソフトを買って貰った時以来だ。

 あの時は親の制止も聞かず、電車の中でソフトを開けて説明書を読んでいたっけ。

 あんな感じの抑えきれない衝動が今俺の胸の中にある。


 逸る気持ちを何とか抑え、ダンジョンの中に入った。

 入り口の方でスキルを入れようかと思ったが我慢する。

 まだ夕方くらいでこの時間帯は人とすれ違う事もあるからだ。

 どうせここまで我慢したのだ、万全の環境でやろう。

 と言う訳で回復ゴケを養殖している部屋まで行く。

 ここなら誰も来ないし、試し打ちようの魔物も沢山いるからだ。


 回復ゴケ農場の部屋まで着くと入り口付近をダッシュで駆け抜けて一気に部屋の奥まで行く。

 この10日でネズミはあらかた倒したので襲い掛かってくることもなくなった。


 よし、ここなら誰からも邪魔が入らない。やるぞ。

 まずは右手に魔鉄鋼製の杖を持つ。もう持っている。

 次に左手に『水魔術』3.8スキル石を持つ。もう持っている。


 どっちもここに来る途中までずっと持っていた。待ちきれないからな


 うっかり両手で杖を持ったらうっかり挿入により俺の新たな武器『水星』が出来るところだった。

 因みに『水星』は俺が10日考えてかけて考えた杖の名前で、水星と書いてマーキュリーと読む。

 うん。若干、というかかなり恥ずかしい。やっぱ時間をかけて名前を付ける物じゃない。


 とにかく新たな武器を作るため右手の杖に左手のスキル石をあてがい、押し込んだ。

 スキル石はスルリと杖の中に入った。

 改めて杖を見ている。


 『水魔術』1.2

 『1.2/5.0』


 成功だ。これで俺にも『水魔術』が使える。

 だが少しがっかりなのは、『水魔術』を3.8も入れて1.2しかない点だ。

 3分の1パターンだ。せめて2分の1が良かった。というか減る事忘れてた。

 1.2しかないとなると強力な魔術は期待しない方がいいかもしれない。

 津波を発生させるのはまた今度だな。

 

 それはともかく、早速水魔術を使ってみよう。

 津波は無理でもウォーターカッター的なのは出来るかもしれない。というか出来ろ。


 杖を両手で持ち前方に突き出し、杖に力を込める。

 杖に力が溜まっていくのを感じる。大丈夫、この感じなら多分使える。

 剣やメイスと同じだ。力を込めてそれをぶつければいい。多分。


 大分、力が杖の先端に溜まったのでいよいよ試射だ。


 「なぎ払え!」


 そう叫びながら杖を振り、力を飛ばす。


 が、何も起きない。それどころか杖にはまだ力が溜まったままだ。

 完全にやってしまった。この使い方ではないらしい。

 というかなんだよ。剣とメイスと同じで使えるとか、どっから出た自信なんだよ。凄い恥ずかしいわ。


 とにかく、今のはなし。

 何もなかったかのように次に行こう。

 周りでゴブリン達が俺の真似をして叫びながら剣を振り回しているように見えるが無視、無視。


 冷静になろう。まずは一つ一つ確認しながら問題点を洗い出していく、そうすれば必ず出来るはずだ。


 まずは杖自体には力が溜まっているのだ。後はそれを解放すればいいだけ。のはず。

 さっきは力が溜まっているのだから単純に剣やメイスで力を飛ばす時と同じ方法で出来ると思って試した。だが駄目だった。


 では力を解放するのに別の方法を考えよう。


 いつものようにぶん投げるじゃない方法・・・うーん分からん。

 少し発想を変えて見るか。

 最初は杖に力を込めたら勝手に水魔術が発動して水が飛び出していくと思っていたが違う。

 では水とは何処から来るのだろうか。オートで水を作ってくれないなら、水を作る工程が必要なのではないだろうか。

 なんかそれっぽい。良し試してみよう。


 再び杖に込めた力に意識を集中する。

 杖の先端の方に溜めているこの力を水に変換するのだ。力に意識を向け語り掛ける。

 あなたはだんだん、水になる。水になる。ほうらもう気持ちは水になってきましたのね。そのまま流れに身を任せるのです。そうその調子。もうほとんど水だ。水なのだ。お前は水だ。


 昔、ほんの少し、そうほんの少しだけ練習した催眠術の導入を使って力と向かい合う。

 するとどうだ、手ごたえアリ。力が変化していくのが分かる。心なしか杖の先端も濡れてきたような気もする。

 どんどん力が変化して全てが変わった。そんな感覚がある。

 やった、成功だ。やっぱり催眠術は最高だぜ。

 

 後はもう簡単だ、この杖の先に溜まっている推定水に変化した力を解き放てばいいだけだ。

 良し、行くぞ。俺の魔術を食らいやがれ。


 「バルス!!」


 そう叫びながら杖を前に突き出す。すると杖の先から水が出始める。良し。

 そうしてこのまま、大量の水が勢いよく飛び出し・・・出さない。

 チョロチョロと水が出てるだけだった。

 そして元から弱い勢いも次第にさらに弱まり、完全に止まった。


 何だそりゃ。ショボいショボすぎる。折角破滅の言葉を使ったのに、やった事はおもちゃの水鉄砲で水を飛ばしたくらいだ。それも凄いちゃっちいやつ。

 こんなの俺のワタル砲のほうがやっぽど勢いよく出て来るわ。舐めてるのか。


 「「ゲギャゲギャ!」」「わんわん!」


 しかしこんなショボい水魔術でも見てた従魔やサチたちは大うけだ。大興奮で俺を讃えている。

 やめて、やめてください。そんな純粋な目で追い打ちをかけないでください。死んでしまいます。




 時間を置いて少し冷静になった。

 よく考えたら、今のは初めてだからだ。だからあんな感じでチョロチョロとしか出なかったのだ。

 使い慣れていない道具で新しい事をした、だからあんなもんなのだ。

 しかしこの杖の性能はこんなものではないはずだ。練習だ。練習さえすればこの杖の性能を最大限引き出せてきっとウォーターカッターが撃てるはずなのだ。


 練習するぞ、練習するぞ。


 そうして俺の猛特訓が始まった。

 今日はもう狩りとかどうでもいいここで一日を過ごす。そして全ての時間を練習に費やすのだ。



 そうしていよいよ帰りの時間が迫ってきた。

 まだまだ練習したりないがこの辺で切り上げる。

 最後に今日の成果を見せておくことにする。


 杖を構え力を込める。

 込めた力をすぐさま、水の力に変換する。

 この工程は特に今日、うまくなった部分で最初の時とは比べ物にならないほど早い。

 ここで大切なのはイメージだ。透明な水に変化するイメージを明確に持てるかが重要だ。

 決して催眠術の導入でするような話術ではなかった。

 

 次に変換した水の力を対象物に当てるため狙いを定める

 この時、水の勢いを考慮して弧を描くように角度を調節するのが、うまく対象物に当てるコツだ。

 ここだこの角度。一気に水の力を押し出すように解き放つ。いっけー。

 ピュー 

 

 「ゲギャゲギャ!」


 水は勢いよく(当社比)飛び出したかと思うと弧を描き、対象物に見事命中した。

 もっと分かりやすく言うと、ちょっと強めの水鉄砲くらいの勢いで放たれた水は1メートル先のイチに当たった。


 当たったイチは大喜びだ。

 さしてダメージはない。


 皆さん、ご覧頂けただろうか。

 全く水のない所から水を出し、ちょっと離れた所に居る相手をビショビショしてしまうというこの恐ろしい術。これが今日俺が習得した魔術の全てだ。

 成果は楽しい宴会芸を習得しました。



 うん、やっぱどう考えても駄目だこりゃ。

 どう考えても威力が低すぎる。これで魔物を倒しすビジョンが全く湧かない。


 ニーやサンが俺達にもやってくれとせがむがそれを無視して歩き出す。

 今はそんな気分になれない。さっきから散々水はかけてやっただろ、もう帰る時間だ。

 俺は一刻も早く帰りたいんだ。

 そうして帰ったら布団に入ってもう一生外に出たくない。

 そんな気分にさせる一日だった。


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