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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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71話 異世界の車窓から

 馬車の旅は順調であり、快適だ。

 元の世界の自動車と比べると大分揺れるがそれでも我慢できないほどではない。

 ダンジョン都市からアルステラに向かう際に、奴隷商人さんの馬車を見る限りでは相当揺れていたので、結構覚悟はしていたが全然いらなかった。


 ゴブリン達は馬車が動きだした時は相当はしゃいで、かぶりつきで窓の外を眺めていたが、今はもう飽きたのか暇そうにしている。

 サチは窓の景色が気に入ったのか、無言でずっと窓の外を眺めている。

 ギンは馬車が動いてからずっと俺の足元で丸まっている。


 つまりこの馬車内は誰もしゃべらず、皆大人しくしており、とても静かな時間が流れている。

 静かな時間、それはとても優雅で得難いものだが、ぶっちゃけスゲー退屈だ。

 この馬車内が俺達だけなら、すぐにでもゴブリン達とボール遊びをするだろう。

 だが今はそれが出来ない、もちろんクレアさんが居るからだ。


 クレアさんはかなり物静かな方で、馬車が動き出してから一言もしゃべっていない。

 それどころか最初に座った体勢のまま少しも動かずにいる。

 もしかしたら大変、緊張しているのかもしれない。


 クレアさんはかなり人見知りなタイプに見える。

 そんな人見知りが仲の良い5人くらいのグループに1人だけ放り込まれて一緒の車で移動する。

 どう考えても地獄だ、俺が同じ状況だったならこの時間が一刻でも早く過ぎろと祈りながら過ごすね。


 人見知りの上級者だった俺からしたら、こういう時は話かけて欲しくないものだが、ここは敢えて話しかけたい。

 理由はこれから同僚になるのだ、できるだけ仲良くやっていきたいという事だ、むろん美人巨乳さんという事もある150%くらい。


 それにこの道のりは行きで3日間かかったのだ、馬車でそれなりに早く進んでいるとはいえ、2日くらいはかかるだろう。

 そんなにかからなくても、少なくとも昼にでたのだから夜を超えて2日間の旅になる事は確実だ。

 だから、早いうちに仲良くなってこの微妙な雰囲気を解消したい。


 後は人見知りのプロの観点から言えば、話しかけてもらってもどう返していいか分からないから、話しかけて欲しくはないとは思う。

 とは思うが、実際の本当のところは上手い事、話しかけてもらって仲間に入れて欲しい。

 本心ではそう思ってた。

 だから名前は忘れたが冒険者ギルドで一緒になったあいつらに、ずっと話かけてもらって最後にはきちんと話が出来るようになったのはとても感謝している。

 名前は覚えてないが。

 だから今度は俺の方から話しかけて仲良くなりたい。



 そう思っていた時期が私にもありました。

 話かけようと決心してから相当な時間が経っております。

 だがまだ一言も話しかけられておりません。


 話したい気持ちはもちろんあるのです。

 決意もあるのです。

 でも出来ないのです。

 なぜか。

 答えは簡単、話しかけた事がないからどう話かけていいか分からないからです。


 何て話しかけよう、どういう話題がいいのかな、次に大きく揺れたら話しかけよう。

 そんな事をずっと考えてはいますが未だ話しかけられておりません。

 俺はとんでもないチキン野郎です。

 彼女の方をチラチラ見て決心して話かけようとしてはやっぱ止めて視線を逸らす、不審者です。

 もし、元の世界なら即通報で事案な不審者情報野郎です。


 しかしそんな不審行為でも得るものもあった。


 『火魔術』2.1

 『土魔術』2.3

 『魔力操作』1.1

 『魔力探知』0.5


 そう、それはクレアさんのスキル構成だ。

 何処からどう見ても魔術を使いますよというスキル構成、チラ見によりこのスキル構成情報を手に入れたのだ。

 このスキル構成情報を元に、「魔術使うんですね」とか「土魔術が得意なんですね」とか「うちのギンも土魔術得意なんですよ」とかそんな話しかけ方が可能なのだ。


 可能なだけだが。

 もしこれを本当にやっていたら、「なんでそんな事知っているんですか。ストーカーですか変態」となってしまう。

 一回俺の脳内でシミュレーションしたから間違いない。

 この妄想でちょっと興奮したのは内緒だ。


 ともかく長い時間かけてやれたことはスキル確認だけだった。

 だがしかし、俺はまだあきらめてはいない。

 千里の道も一歩からと言うではないか。

 俺は前に進む男だ、今だ話しかけるんだ。


 そう思っていたら隣のサチに服をひっぱられる。

 なんだろうと思って見たら、青い顔をして口を押えている。

 これってあれだ、エチケットが必要でリバースがデビルなやつだ。


 「すみません、止めてもらっていいですか」

 大きな声を出して、御者に馬車を止めてもらうように言った。

 こちらの様子に気が付いた御者の一人が後ろの馬車に合図を送り、ゆっくりと減速しながら止まる。

 側面の扉が開いたので、サチを連れて急いで外に出る。

 外に出たとたん、安心したのかサチが勢いよくマーなライオンをしていた。


 乗りなれていない馬車に乗ったので酔ってしまったのだろう。

 そう言えば、俺も子供の頃は乗り物が苦手でよく戻していたなと急に思い出した。


 「大丈夫か?」

 俺達の乗っていた馬車の御者が声をかけて来た。


 「多分、一度戻したので大丈夫だとは思いますが・・・」

 まだ青い顔をして気分が悪そうなサチを見る。


 「まあしょうがない、ちょっと早いがここで一旦休憩をしよう。」

 サチの様子を見て御者がそう言ってくれたのでここで休憩となった。


 休憩と見るやギンとゴブリン達が外に出て遊び始める。

 サチはあんなになったのに初めて馬車に乗るはずのあいつらは元気なもんだ。


 とにかく、ぐったりしているサチの口の周りをタオルで拭いたら水筒の水で口をすすがせる。

 そのまま水を飲ませようかと思ったが、回復薬の方がいいかと思い、回復薬を飲ませる。

 後は石みたいなので舗装している道を出て芝というか雑草が生えている地面に座らせて休憩させる。

 30分くらいだろうかその場でゴブリンとギンが遊んでいるのを眺めていたら休憩が終わった。


 再び、馬車に乗り出発する。

 サチの状態が大分回復したみたいでそれなりに顔色がいい。

 だが油断は禁物だ、また馬車で走っていたら気分が悪くなる可能性はある。

 俺の経験則から一度、戻したら2度目は無いのだが用心はしておく。

 とりあえず素材袋を一つ傍に置いてあるのでいざとなったらここにエチケットだ。


 そんな感じでサチの世話をしていると、チラチラこっちを見ている人がいる。

 クレアさんだ。

 なんか知らないけどこっちをチラチラと見ている。

 何か話があるのかとそちらを見ると目線をそらされてしまう。

 なんだろうめちゃくちゃ気になる。


 というか相手にやられて初めて気づいたのだが、他の人がこっちをチラチラ見ているのって凄いよくわかるのな。

 ネットとかではよくチラ見で胸とか見てるのは全部バレてるからと言っていたが、あれは本当だったわ。

 結構、他人の視線って分かるんだな。

 また一つ賢くなってしまった。


 それはそうとこれはチャンスだ。

 向こうもこっちの事を気になっているという事は、話しかけても怒られないもしくは無視されないという事ではなかろうか。

 つまりここは一気に行く。話しかける。目で合図する。話しかけてくれるのを待つ。 


 「よしここで2回目の休憩にするぞ」

 そう御者の人が声をかけてくる。

 結局この間、話しかける事は出来ませんでした。


 そんな訳で何も出来ないまま2回目の休憩。

 サチはそれなりに気分は悪そうだったが、エチケットすることもなく無事休憩タイムになった。

 今回もはしゃぐゴブリンとギン達をサチと座りながら見て休憩が終わった。

 

 再び馬車の中に入り、3度目の出発をする。

 今度こそ、今度こそ俺はやるぜ。



 「お疲れ、もうすぐ街に着くぜ」

 はい、何も出来ませんでした。

 窓の外には夕日に照らされた街の壁が見える。

 なぜ、話しかける事が出来ないのだろうか。

 御者さんには簡単に話しかけられるし、普通にやり取りできるようになったのに。


 などと考えている間に馬車は門を通過して街の中に入っていく。

 貴族様の馬車ともなれば門を出るときも入るときも一言二言で中にいる人なんて確認せずに通過できてしまう。

 行きの時とは大違いだ。

 流石です、貴族様。


 門をくぐり抜けて通る道はかなり整備された道で通り過ぎる建物もとても大きくて立派なお屋敷が並ぶ。

 何て街かは知らないがかなりのお金持ちが住んでいる立派な所なんだな。

 行きなんて道の傍にただ建っているだけの宿屋だったので、それに比べると宿に泊まるにしてもこんな立派な街に寄るなんて凄いぜ貴族。


 馬車はそのまま進んで一際大きなお屋敷に入っていく。


 「よし、着いたぜ」

 御者さんがそういって扉を開けたのでみんなで降りる。

 外に出てみるとその建物の豪華さと大きさに圧倒されてしまう。

 とても宿には見えないが、こんな立派な所に泊るのか貴族万歳。


 「そういえば、ここは何て街なんですか?」

 荷物用の馬車から荷物を下ろすのを手伝っている御者さんにそう尋ねる。


 「えっ?何処ってアルスターだよ」


 アルスター?ってあのアルスター?ダンジョンがあるあのアルスター?

 俺の知っているアルスターの門とは全然違う立派な門だったし、すごい豪邸ばっかりの街並みだったけどあの俺達のアルスター?

 えっ、まじでもうアルスターに着いちゃったの?

 行きに3日かかったのに帰りはたった半日で帰って来てしまった。馬車すげえ。


 「驚いてないで、自分達の荷物を下ろしな」

 そう御者に言われたのでドンと自分たちの荷物を下ろす。


 「ワタル様でしょうか?お待ちしておりました」

 荷物を下ろし終わった頃に見計らって初老の男性に声をかけられる。


 「私はウォーレン家よりこの屋敷を預かり管理しているジェイコブと申します」

 「あ、はいワタルです。よろしくお願いします」


 その執事然としたジェイコブさんとのあいさつが終わったら、ドンを厩舎に預け、次に俺達が寝泊まりする場所に案内された。

 ちなみに俺達が荷物を下ろしている間にクレアさんは何処かに行ってしまっていた。

 明日、また明日頑張ろう。


 ジェイコブさんに案内された部屋はこの屋敷のゲストルームらしく、それはそれは立派な部屋だった。

 広い室内にどんと置かれた2つの大きなベットがあり、見るからにやわらかく寝心地がよさそうだ。

 最初、ジェイコブさんはこの人数を見て二部屋用意してくれようとしたが断った。

 ではベットを追加しましょうと言われたがそれも断った。


 ベットは2つしかないがとても大きいので、ゴブリン達3匹で1つ、俺とサチで1つ使っても全然、窮屈ではなく、むしろ広々と使えた。

 ギンはいつも通り床だ。


 荷物を部屋に置いたら、夕飯が用意されたので部屋でみんなで食べた。

 サチもすっかり良くなっていたので夕飯は沢山食べていた。

 昼飯を大地に還元してしまった分、沢山食べて欲しい。


 夕飯を食べたら眠くなったのでこのまま寝ることにする。

 これからの事を考えたかったが、眠すぎて無理。

 と言う訳でおやすみなさい、また明日。


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