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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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70話 さらば、わが青春のアルステラ

 「じゃあ改めて、呼び方はワタルでいいかしら」

 「はい、こっちは何て呼べばいいですか」

 「好きに呼んでもらって構わないわ」

 「はあ」


 じゃあ、お嬢様でいいか。


 「早速だけど、ワタルにはアルスターに行ってもらうわ」


 アルスター?これはもういいか。

 「それはいつごろですか?」

 昨日も寝不足だったから、今日くらいはゆっくりして明日とか明後日とかがいいな。


 「準備ができ次第すぐよ。こっちの準備は大体、昼には終わるでしょうから昼過ぎくらいかしら」

 「早っ」

 

 「こういうのは早い方がいいのよ。暁のさそりも襲撃が失敗したのは気が付いているでしょうしワタルがここに居ることも知っているかもしれないわ。だから早く動くのよ、相手が行動するよりも早く。」


 なるほどしかし、いくら何でも早くない?


 「と言う訳だから、高速馬車の用意を。荷物用と人用の2台ね。後、クレアにアルスターに行く準備をさせなさい。」

 「お嬢様、クレアも一緒に行かせるのですか?」

 「ええ、もちろんよ。その話は以前に終わっているでしょ」

 「いやそうですが。しかし何も一緒に行かせなくても。後からクレアだけ行かせるとか」

 「くどいわ。前から決まってたことじゃない。クレアも覚悟の上でしょ。それにどうせ顔を合わせるなら早い方がいいわ」

 「しかし・・・」


 なんか目の前でお嬢様と女騎士さんが揉めている。

 クレアという人に関して意見が割れているらしい。

 というか俺の意見は?もう昼過ぎに出るのは決定事項なのでしょうか?俺の意見は聞き入れてもらえないのでしょうか?


 「それでワタルの準備は終わっているのかしら」

 どうやらお嬢様の勝ちで決着が着き、俺の方に話しかけて来た。


 「準備ですか。えーと・・・」

 準備。準備。

 なんかあったっけ?手持ちの荷物は宿から全部持ってきている。

 あっ、そうか奴隷商にかさばる荷物を預けているんだった。

 後、ドンも。


 「荷物を奴隷商に預けてまして、後ロバも。それを取りにいかないと」

 「荷物とロバね、それは使いの者に行かせて取って来てもらいましょう。あなたが外に出るのはやめた方がいいわ」

 「はあ」


 そういうもんだろうか、確かに外に出て暁のさそりに襲撃されたら嫌だもんな。

 お嬢様がメイドさんの一人を呼んで指示をする。


 「あっ、奴隷商の場所ですが」

 「それは存じているわ」

 

 ご存じだったのですか。

 何で?やっぱお嬢様って怖いわ。


 しばらくやる事もないのでお茶を飲んで時間を過ごす。

 お嬢様たちは忙しいのか別の場所に行ってしまった。

 残された俺達はとにかく優雅にのんびり過ごす。


 ゴブリン達は相変わらず遠慮なしでどんどんお菓子を食べていく。

 それに釣られたのか昨日は遠慮していたサチもお菓子をいっぱい食べていた。

 たーんとお食べ、いっぱい食べていっぱい大きくなりなさい。

 俺の金じゃないけど。


 そうこうしているとメイドに声をかけられる。

 どうやら荷物が届いたので中庭で確認してほしいそうだ。


 中庭に出ると荷物を積んだドンと奴隷商人さん、そしてアリサがそこにいた。


 「使いの人が来て、ワタルさんの荷物を持ってこいと言われたので慌てて持って来ましたよ。多分、全部持ってきているとは思いますので確認してください」


 そう言って奴隷商人さんがドンの背中に括り付けてある荷物を指さす。

 早速、荷物の中身を確認する。

 大して使わない物やかさばる物を預けていたのだが何を預けていたのかはかなりおぼろげだ。

 まあ、全部あるだろうきっと。そう思い確認を適当に切り上げる。

 別に確認が面倒くさくなったわけじゃない、奴隷商人さんを信じているのだ。そういう事にして。


 「・・・ワタルはどっかいっちゃうの?」

 確認が終わったタイミングでアリサが聞いてくる。


 「いや、別にあの街に帰るだけだよ。先に帰ってるからまたあの街で会おう」

 「・・・そう、ならいい」


 アリサがほっとした顔になる。

 最近はずっと一緒にいたのでアリサがいないのは寂しいがしょうがない、ダンジョン都市ならいつでも会えるんだからアリサが帰ってくるのを待とう。


 その後、アリサや奴隷商人さんと世間話をして時間を過ごしていたら、メイドさんに声をかけられた。

 どうやら時間らしい。

 アリサと奴隷商人さんにわざわざ来てくれた感謝の言葉と別れの言葉を言って別れる。


 この後は昼食を食べるらしい。

 ドンは屋敷内には入れられないので、ここで分かれる。

 もちろん持ってきた荷物と俺が持っていた荷物をドンに持たせて一緒に運んで行ってもらう。


 その後はメイドさんに案内されていつもの応接間に戻ると軽めの昼食を食べた。

 もちろんと遠慮なくいただくが、とにかくゴブリンとサチがよく食べる。

 どんどんお食べとは思うが、少しメイドさんの視線が気になる。


 そんな昼食が終わって少しまったりしていると、またメイドさんに言われて別の場所に移動する。

 連れて来られたのは先ほどとは違う中庭のようなところだった。

 そこには既に形の違う2つの大きな馬車とそれを引くであろうでかい馬みたいな魔物がいっぱいいた。


 魔物は一見、馬に見えるが近づいてみると分かる、デカすぎるのだ。

 筋肉の付き方もやばいし、何より顔つきが凶暴するぎる。

 馬特有の優しい目とか一切ない、完全な獰猛な肉食動物の目をしている。


 「あら、もう来てたの」


 そんな事を考えていると後ろから声をかけられた。

 振り向くと案の定、お嬢様と女騎士さんがいた。


 「紹介するわ、今日からあなた達のお世話をする事になったクレアよ。仲良くしてやってね」


 そう言って紹介されたのは、メイド服を着た一人の女性だった。

 俯いてはっきりと顔を見えないがどう見ても美人と分かる整った顔をしている。

 髪の毛はか金髪でなり長く肩くらいまである。

 手足はすらっと長くなかなか身長が高い、完璧なモデル体型と言える。

 顔の左半分は完全に見えるのだが、顔の右半分は髪の毛で隠しており、髪の隙間から時々ちらちらと肌色の仮面のようなものが見える。


 片方だけ仮面みたいなのを付けているとか、なんか厨二的な病気を持っているのかもしれないがそんな事は全然気になんない。

 それよりもとても興味深いものがある。

 それは、とてもとても大きなものが2つ胸元で揺れているものだ。

 これはとても素晴らしいものだ、大きいという事はとてもいい事だ。うんうん。


 金髪ロングな儚げ美人の巨乳、これもう勝ち確だな。

 お嬢様は何て素晴らしい人を紹介してくれたんだろう、一生ついていこう。


 「これからよろしくお願いいたします」

 「・・・・・・よろしくお願いいたします」


 かろうじて聞こえるくらいのかなり小さな声で返事が返ってきた。

 なんだろう、恥ずかしがり屋さんなんだろうか。

 だがその気持ちは痛いほど分かる。

 俺もちょっと前までは人見知りの上級者だったからな、その気持ちは分かるよ。


 簡単に挨拶をすませたら、次は馬車の中に荷物を運び込む。

 聞くとメイドさんや執事ぽい人達が次々に荷物を詰め込んでいる馬車が荷物用の馬車で、自分達の荷物もそこに置かせてもらう。

 藁とかを敷いているスペースがあり何事かとおもったら、ここはドンが乗る場所らしい。

 なんでもこの馬車はかなりの高速で進む馬車なのでドンではついて行けないので、馬車で運ぶらしい。


 そんなこんなで全ての荷物が積み込み終わりいよいよ出発という事になった。


 「アルスターでは基本的に自由に活動してもらっていいわ。基本的に何か困った事があればこのクレアに聞けばいいから。後はこっちからお願いしたい事があればクレアの方から相談させてもらうわ」

 「はい、分かりました」

 お嬢様にそう言われる。

 これからは何でもクレアさんに聞こうそうしよう。

 

 「じゃあ、クレアしっかりやるのよ」

 「はい、お嬢様。今回の任務、誠心誠意つとめさせて頂きます」

 「クレア大変だとは思うが、頑張ってね」

 「大丈夫よ、だからそんな顔をしないで」


 なんか今生の別れみたいな感じになっている。

 というかこの感じお嬢様と女騎士は一緒に来ないのね。


 「じゃあワタル、クレアの事をよろしくね」

 「はい、任せてください」


 「おいお前」

 「は、はい。なんでしょう」

 隣から鋭い声がかかる。女騎士さんからだった。


 「クレアに万が一何かあれば、必ず殺す。いいか分かったな」

 「は、はい。分かりました」 

 怖えええ。

 女騎士さんていつも無表情で何考えてるんだか分からない人だったけど、こんな怖い人だったんだ。

 絶対に怒らせないようにしよう、そう心に誓う。


 別れも済んだので荷物を積んでいない方の馬車に乗り込む。

 中はかなり広く、前と後ろに対面でソファーのような座席があり、側面には窓が付いている。

 かなり優雅な乗り物だ。


 来るときは荷物用の馬車を横目に歩いてきたことを考えると大出世だな。

 そんな事を考えながら後ろのソファーに座る。

 続いてゴブリン達とサチ、それにギンが入って来て俺と同じ側のソファーに座ってくる。

 横に全員座って、ギンが足元にいてもまだゆったり出来るぐらいには広い。


 その後、クレアさんが乗って来て対面のソファーに座ったらそこで扉がしまる。

 一緒にいくのはクレアさんだけみたいだ。

 そんな事を考えていたら馬車が動き出す。


 窓から馬車の外を眺めていると、大きな門を出てそのまま凄い速度で街から遠ざかっていく。

 その遠ざかる街を見ながら、この街で過ごした日々の事を思い出す。


 そして、その時唐突にある事に気が付く。

 ムフフな奴隷を買うの忘れた。

 サチを買って色んな事がありすぎて奴隷買い忘れちゃったじゃん。


 そんな事を考えながら色々あったこの街を去るのであった。


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