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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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62話 逆転裁判はじめました①

 「パトリシア・ウォーレン様、簡単とおっしゃいますがどのようになさるのです?」

 「簡単よ、関係者に”真実の石”を使って質問して、誰が犯人かはっきりさせればいいじゃない。」

 奥座席左男が問いかけ、中央少女がそう啖呵を切る。

 そうだそうだ。もっと言ってやれ。


 「裁判とはそのように簡単なものではございません。そもそも”真実の石”をむやみやたらと使っていてはお金がいくらあっても足りないのです。あまり軽口をおっしゃらない方が良い。」

 「そうかしら?私に任せて頂ければ、直ぐにでも犯人を特定してあげるのだけれど。」

 少女はなおも強気でそう言う。


 「はぁ。いいですか、本来あなたは見届け人としてこの場に来ていただいているのです。見届け人というのは”真実の石”が不正に使われていないかを見届ける役割がある。それ以外の役割は、ここにいる私や他の者の役割でもあるのです。安易にその役割を侵害しないでいただきたい。」

 奥座席左男がうんざりするように、聞き分けのない小さな子供を窘めるようにそう言う。


 「その裁判官や他のやつらが出来ないといっているから、こうして見届け人の私が口をはさんでるんじゃない。そもそも、本来であれば見届け人とは、裁判全体の判断が正しいかどうかを見届ける役目のはずよ。それをただ単に”真実の石”を借りた時に一緒について来る、その辺の付属品と一緒にされるのは心外だわ。」

 だが、少女は全くそれを気にもせずに反論する。


 「しかし・・・。」

 「あなた、誰に向かって話しているのかもう一度よく考えたら?」

 「ぐっ・・・。」

 「異論が無いようでしたら、私が進めさせていただきますが、よろしくって?」

 「・・・ではパトリシア・ウォーレン様よろしくお願いします。」

 どうやら決着はついたようだ。

 少女強い。

 権力強い。


 「ではまずは、そこのあなた。」

 中央少女は左側にいる太っちょ番頭を指さす。

 「はひぃ。」

 なんか変な声になってる。

 あんな怖そうな権力者と対峙するんだ、気持ちは分からんでもない。


 「あなたはこの事件の犯人を見ていると言ったわね。でもその証言と一致する人物はやっていない。これってどう考えてもおかしいわ。」

 「・・・それはですね。」

 「弁明は結構。そこの者を”真実の石”の前へ。」

 太っちょ番頭が太っちょ番頭の隣にいた衛兵たちに連れられてこっちに来る。

 俺たちは太っちょ番頭に場所を譲って後ろに下がる。

 もう無理やり跪かせられておらず、立ったままだ。


 そしてサチもこっちにやってきた。

 よくやった、そういう思いを込めて頭を撫でてやる。

 少しビクッとしたがこっちを見て少し微笑んでいる。

 本当によくやった。


 「”真実の石”もあまり無駄には使えないから単刀直入に聞くわね。あなたが商会会長を殺した、もしくは殺す様に誰かに依頼した。違うかしら?」

 「・・・・・・」

 太っちょ番頭は黙ったまま答えようとしない。


 「確か、沈黙の場合は肯定となるんでしたっけ?」

 「その通りです。」

 奥座席左男がそう答える。

 「あなたこのままでは実行犯もしくは依頼者として死刑になるのよ、それでも何も言わない気?」

 「・・・・・・」

 太っちょ番頭はうつむいて黙ったままだ。


 「何かしら?このまま死刑になるよりも恐ろしい事があるのかしら。そんなに暁のさそりって恐ろしい組織なの?」 

 その質問に太っちょ番頭は反応して少し震える。


 「このままでは何も分からないわ。しょうがない。」

 そう言うと少女は立ち上がり、中央の台座に向かってくる。

 慌てて後ろにいた3人の騎士たちも少女を取り囲むようにして台座に向かう。


 少女は台座越しに太っちょ番頭に向かいあう位置に行くと、台座に手を置いた。

 「いい、その男の手を台座につけたままにするのよ。」

 そう指示すると、手を台座においたまま真剣な眼差しで台座の上の水晶を見ている。

 「あなたが商会会長を殺した、もしくは暁のさそりに殺す様に依頼した。」

 「・・・・・・」

 太っちょ番頭は喋らない。

 しかし水晶は青く輝いていた。


 何これどういうこと?

 もしかして声ださなくても判定できるの?

 それなら最初っから言えよ。

 そしたらサチに辛い思いさせずに済んだのに。


 「そんな馬鹿な。」

 そう思っていたら各所からそんな声が聞こえる。

 奥座席左男も驚いてそんなような事をいっている。

 なるほど、みんな知らない機能なのね。

 しかし、そんな事が出来るなら簡単って言うはずだわ。


 この事実が分かったあとの反応は劇的だった。

 なんとか太っちょ番頭は手を台座からどけようとするが警備兵がそれを許さない。


 「商会会長を殺したのはあなた?」

 水晶は赤く光る。

 「では、暁のさそりね。」

 その短い問いにも反応し青く光る。


 「暁のさそりとあなたはこの裁判でそこにいる少女と男に罪を着せようとした。」

 青。

 「あなたはそこの少女と男の事は事件の前から知っていた。」

 赤。

 「じゃあ、誰からか少女と男の事を聞いて証言した。」

 青。

 「聞いたのは暁のさそりからだ。」

 青。

 暁のさそり自体が俺を嵌めようとしたのか。

 買い物もしてあげたのに、なんてやつらだ。


 「あとは、そうね・・・。」

 そこで言葉を区切り、少女は猛禽類の笑みを浮かべた。

 「この裁判の中に暁のさそりの協力者がいる。」

 青。


 「馬鹿な。」

 「ありえない。」

 その時、会場が一斉に騒がしくなる。


 「静かに。」

 少女がそう言葉を発した瞬間、ざわめきが止まる。

 

 「そうね、あなたに聞いてもいいのだけれど、もしあなたが知らない協力者がいたら困るじゃない?だから全員に聞いてみましょう。」

 そういうと少女は次なる獲物を見つけたのかどうもな笑みを浮かべる。


 「そこのあなた、とってもいい剣をぶら下げてるじゃない。」

 「はい!?」

 少女は太っちょ番頭の横にいた警備兵に声をかける。

 その言葉を聞いて思わず、警備兵の腰にある剣を見る。


 『剣術』4.0

 『再生』1.0


 そのスキル構成俺の剣と同じじゃん。

 偶然だね。


 「その剣、とても高そうだけどどうしたの?」

 「こ、これは、先祖代々伝わる家宝でして。」

 「では、そこの台座に手をついて、同じことを言ってもらえるかしら。」

 「それは・・・」

 警備兵が躊躇する。


 「誰か、台座に手を置かせなさい。」

 すると少女の後ろにいた騎士の一人が歩み出る。


 「これは犯罪者から取り上げた者です。嘘ではございません。」

 「あらそう、それは”真実の石”にかけてもいいのかしら」

 「もちろんです。」

 「そう、自信満々なところ申し訳ないのだけれども、例えばそこにいる男は今、無罪が確定したわ。その男から奪ったものならどうなるのかしら?」

 「?」

 「つまり分かりやすく言えば、あの男は犯罪者ではないわ。その男から奪ったものだった場合、その剣は犯罪者から取り上げたものではなく、あの男の物を奪った。つまり盗んだだけという事になるわ。」

 「なっ。」


 つまりどういう事だ。

 仮定の話であれば、俺から奪った剣って事だけど。

 あっ、俺の剣と同じスキル構成。

 つまりあれは俺の剣てことか。

 泥棒じゃねえか。

 鞘が違うから気が付かなかった。


 「それでは”真実の石”にかけてみましょうか。」

 「おまち下さい。この剣は確かにあの男の物でした。しかし状況的に犯罪者と決めつけておりまして、それならどう扱おうがかまわないと思いまして。」  

 「裁判にかけられている者の所持品についてはどういう扱いをする決まりだったかしら?」

 少女が奥座席左男に聞く。


 「その場合は、裁判で罪が確定するまで保留。罪が確定次第、罪により取扱が変わりますが、死刑の場合は、そのまま没収になるかと。」

 「没収というと何処に納めることになるのかしら。」

 「当然、この州を治めるウォーレン家に納めることになります。」

 「ですって。」

 そう言うと少女は警備兵に視線を向ける。

 

 「しかし、犯罪者の持ち物の一部を自分たちで没収する事は誰でもしている事。今回はたまたま犯罪者とならなかっただけです。それにこうなった以上、これは後で返却しようと思ってましたし。」

 警備兵がいい訳がましくそう言う。


 「誰でもですって?それなら私もやろうかしら、犯罪者の持ち物を全部没収すというやつを。」

 「それでしたら私が、」

 警備兵が何か言おうとしているのを少女が視線で黙らせる。

 「まだ、分かっていないの?あなたはうちに入って来るものをかすめ取っていたのよ、それって立派な窃盗だとは思わない?貴族への窃盗はどうなるのかしら?」

 「・・・それは概ね死刑となります。」

 少女は視線で問いかけ、それに奥座席左男が答える。


 「なっ。」

 「つまり、あなたのような犯罪者を捕まえて持ち物を没収しましょうって話をしているの。もちろん今までそれをやってきた全員を捕まえてね。」

 「馬鹿な。そんな事をすれば兵は全ていなくなってしまう。そんな事できっこない。」

 「そうかしら?本当に全員やっている訳ではないだろうし、それにあなた達程度の仕事しかできない人間なら代わりはいくらでもいるでしょう?」


 凄い。滅茶苦茶いってるぜ、あの少女。

 仮に全員がやってなくても日常的にそういう事が横行しているような組織ならかなりの人数がやっているだろう。

 そしてその全員を文字通り首にしてしまったら、次の人員が数揃えられたとしても、いきなり直ぐには働けないだろう。

 そんなことしたら組織として機能させるのに相当な時間が掛かるはずだ。

 実質無理な事だろう。


 「まあ、現実的にはかなり難しそうなら、程度によって減刑しても良いんじゃない?少額の者へは軽い罰金刑だけなんかで済ませて、大きな金額を着服している者はそれこそ死刑にすればいいんだし。」

 「・・・しかしそれは。」

 今度は奥座席左男がこの発言に反応する。

 「あら、もしかして刑を決める作業が大変で出来ないなんて言うんじゃないでしょうね。これはうちへの反逆行為でもあるのよ、これを見逃す事は即ち、我が家の威光に傷がつくことにもなるわ。それを知っているのに見て見ぬふりなんて。それも理由が大変だから、そんな事ってあるのかしら。」

 「それは、そうですが。」


 「それに大変なのはこれからよ。」

 そういうと右側にいる最初の裁判にいた裁判官達の方を見る。

 それによって、右側のグルだった男を含め全員が震え上がる。


 なんか俺の事が関係なくなってきたな。

 そろそろ場違いだし帰りたいんだけど。

 そんな事を思いながらこの事態の移り変わりを見ているしか出来なかった。


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