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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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59話 裁判はじめました

 騎士たちに連れられて、なんだかでっかい建物に入っていく。

 建物の中に入るとそのままドンドン奥に行って、最終的には地下の部屋に連れていかれた。

 鉄格子に仕切られた部屋があり、現代日本的に言えば、牢屋だ。

 かっこよく言うとプリズンだ。ブレイクしろ。


 「さっさと入れ。」

 そう言われて牢屋の中の一つに入る。


 ゴブリン達やサチも一緒だ。

 牢屋の中には誰もおらず、完全に俺たちの貸し切り状態だ。

 やったか?

 やってないです。


 牢屋に入ったら背負っていた荷物も、持っていたお金も全部持っていかれた。

 武器はとっくに取り上げられていたので、これで素寒貧だ。

 もう俺達には何もない。


 と思ったが、防具は付けたままだし、ニーは盾を持ったままだ。

 俺も、ズボンの収納の中に入っていたスキル石がそのまま残っている。

 まあこれは、俺以外がみるとただの小石なので、見逃されて当然かもしれない。


 ただこっちの世界には魔道具もあるし、魔術もあるんだから全て取り上げるのが正解な気がする。

 もしかしたら結構、緩い系のプリズンなのかもしれない。

 これなら俺でもブレイクできるかも。

 しないけど。


 部屋の壁も床も石みたいな硬い素材で掘ることは無理そう。

 鉄格子も普通に鉄だし脱走は無理だな。

 幸い、手を縛っていた縄は解かれているので、特に不自由はない。


 特にやる事もないので寝るか。

 布団なんて贅沢なものもないし、下は冷たいしで寝るのは大変そうなので、皆で集まって座りながら寝る。

 自分でも不思議なくらい落ち着いていると思っていたが、皆とくっついていて分かった。


 皆一緒だからだ。

 だからそんなに不安になんないんだ。

 そんな事を考えながら、皆のぬくもりを感じながら寝た。



 次の日、目覚めると体がバッキバッキだった。

 なんか変な形に固定されたんじゃないかと思うほど、体が丸まってしまっている。

 こんな時はストレッチだ。

 ストレッチパワーを体のあちこちに溜めて、なんか隕石みたいなのを壊すんだ。


 1人でストレッチをしていると、ゴブリン達も真似してきたので、サチも混ぜてみんなでストレッチをする。

 体がほぐれたので部屋の隅で座りながら時間を潰す。

 もし取り調べのような事があったらどうしよう。

 こっちは完全に何もやってないんだから話せば分かってくれるとは思うが、誰かにはめられているとしたら大変なので、あらゆるパターンの取り調べを想定して頭の中でシミュレーションする。

 取り調べを受ける犯人ごっこ遊びともいう。


 そんな感じで暇を潰していくが、いつまで待っても誰も来ない。

 普通、ご飯くらい持ってくるよね。

 というかお腹減った。ご飯くれ。

 うちの子達もお腹が減ったポーズをしているだろ。

 よく見ろ。

 まあ見てる人はいないんですが。


 「お前たちで出ろ。」

 ようやく、誰か来たと思ったらこの言い草だよ。

 まあ、出ますけど。


 「ゴブリン達は必要ない。お前たちだけでいい。」

 どうやら俺とサチだけらしい。

 「「ゲギャ。ゲギャ。」」

 ゴブリン達は不満顔だ。

 「しょうがない。お前たちは大人しく待ってて。」

 ここで暴れてもしょうがない。

 大人しく待っていてくれ。

 

 ゴブリン達はしぶしぶ従ってくれる。

 「お前たち、早くしろ。時間がない。」

 今度は俺が不満顔だ。

 時間がないならもっと早く来ればいいじゃない。


 ここで文句を言っても仕方がないのでしたがってやる。

 サチと手を繋いで牢屋から出る。

 特に縄につながれる事もなく二人でついて行く。


 前後に二人の騎士がいる以外は何もない。

 本当に緩いな。


 そのままついて行くと少し広めの部屋に通される。

 

 教室より少し大きい、その部屋には、中央の奥に長い机があり、そこに3人の何だか偉そうな人が座っている。

 部屋の右手側には騎士が2人、左手には何か高そうな服を着た太った奴が1人、それぞれ立っている。


 おれとサチは中央へと連れていかれその場で跪かせられる。

 連れて来た、騎士2人はそのまま俺とサチを挟むようにして立っている。


 「それではこれよりワルテーロ商会会長殺害事件の裁判を行う。」

 机に座った3人の中の左に座った奴がそう宣言した。

 えっ、マジかよ。もう裁判なの?取り調べは?かつ丼は?


 「まずは事件の状況を説明しなさい。エリオット警備隊長。」

 「はい。まずは一昨日の夜、ワルテーロ商会会長の自宅に何者かが侵入しそのまま、会長とその夫人を立て続けに殺害しました。異変に気が付いたそこにいるワルテーロ商会の番頭が部屋に入ったところ、逃走を図る侵入者と鉢合わせ、辛くも逃走されますが、その際に侵入者の容姿を目撃しております。」

 机の左に座っている男が仕切り、右にいた騎士の一人がそう答える。

 ていうか、お前そんな格好して騎士じゃねえのかよ。

 警備隊長かよ。

 という事は昨日からあってる奴らは全員、警備隊の隊員て事なんですか。

 なんか分からないけど損した気分。

 

 「分かった。ではワルテーロ商会の番頭、目撃した侵入者の特徴を述べよ。」 

 「は、はい。侵入者は小さな子供で肌の色は茶色、髪の色は黒です。顔は隠していたので見えませんでしたが、逃走する際にもみ合って相手の服を破きました。そうしたら、なんと背中に暗殺組織、暁のさそりの紋章が刻印されていました。おそらくは暁のさそりの暗殺者を使い、会長を殺したのでしょう。」 

 机の左男が聞くと左に立ってる太っちょが答えた。


 太っちょが言った容姿の特徴は全部サチに当てはまる。

 それにサチの背中にはなんかの模様みたいな傷があったし、なんて偶然。

 だけど大丈夫、それは他人の空似。

 何故なら、一昨日の夜はサチは完璧なアリバイがあるからだ。

 まあ、俺と一緒のベットで寝ていただけなんですけど。


 「では次にエリオット警備隊長、その目撃情報からの捜査結果を報告せよ。」

 「はい。その目撃情報から暗殺者の少女を探しました。すると特徴が合致する一人の少女を発見しました。そしてその少女こそがそこにいる者であり、またここ数日とある少年がその少女を連れているとの証言がありましたのでその少年も同行して貰いました。」

 なるほどね、他人の空似による誤認逮捕で、おれは保護者として連れてこられたのね。


 「以上の調査結果により、この犯人の少女と首謀者と思われる少年がワルテーロ商会会長殺害の犯人と思われます。よってこの裁判での判断をお願いいたします。」

 全く、何て誤解だ。

 こんな誤解はさっさと解いて帰りたい。


 「分かった。ではこの犯人2人は殺人罪により死刑。そしてその躯は広場にて公開する。それでよろしいでしょうか裁判長。」

 はあ!?良い訳ないだろ。


 「待ってください。俺達はやっ、ぐえ。」

 横から急に頭を押さえつけれて変な声出た。

 「黙れ。お前らに発言はまだ許されてない。」

 何が許されてないだ。

 俺たちはやってない。

 その証拠もある。

 それなのに・・・発言させろ。


 「裁判長お見苦しい所を見せました。ではご判断を。」

 「うむ。市民通しの殺人であれば、死刑が妥当だ・・・。ただし、本当にそれがそこにいる者によるものなのか、客観的に証明されたらの話だ。まずは目撃情報とそこの少女が一致しているか確認する必要がある。その少女の背中に暁のさそりの紋章があるか確認せよ。」

 それ確認しちゃう?

 目撃証言なんて一人しかいなくて、言ってる事、怪しいのにそれ信じちゃう?

 俺たちの言い分は?

 不当裁判だ。弁護士呼べ。弁護士。


 「警備兵。少女の背中を見せろ。」

 警備兵?警備隊員じゃなかったのか。ちょっとだけかっこいいじゃないか。

 あっ、サチの服脱がすならもっと優しく扱えよ。

 その服、結構高いんだぞ。

 破ったら弁償な。


 なんでこんな余裕があるかって?

 それは勿論、もう勝ってるからだ。


 「ほらこの通り、背中に暁のさそりの紋章が・・・・・・ってない。」

 警備隊長が驚いている。

 そりゃそうだろ。

 そんな変な紋章なんてとっくに消えてるぜ。

 何故かって?俺のチートに不可能はない。


 まあ『再生』スキルで付けられた傷が消えただけなんですけど。

 幸いただ焼き鏝のようなもので押されて、跡を付けられただけだったので結構直ぐになくなった。

 入れ墨とかならもっと時間はかかったかも。


 「おかしい。これは何かの間違いだ。そうだその少女には喉に大きな傷があるはず。私はもみ合った際に喉の傷も見ました。」

 なんか太っちょ番頭が目撃情報を増やしてきた。

 なるほどね、構わんぞ。


 太っちょの発言を受けて隣の警備兵がサチの喉の辺りを確認する。

 ちょっと前までは大きな傷が痛々しく残っていたが、今はもう見る影もなくなっている。

 よーく見ると薄っすら小さな傷らしきものがあるがその程度だ。


 「・・・傷は見当たりません。」

 「何だと。」

 太っちょ番頭が怒り心頭だ。

 というかなんでお前が発言出来て、俺が出来ないんだよ。

 同じ民間の協力者だとしたらおかしくね?


 「・・・そうだ。耳だ。そいつの耳は半分無いはずだ。」

 なんかもう目撃した事を思い出している(てい)が崩れて来てるぞ、大丈夫か?


 再び、隣の警備兵がサチの髪を上げて耳を確認する。

 きれいな耳してるだろ。ウソみたいだろ。ちょっと尖っているんだぜ。それ。


 サチの髪の間から出てきた耳はもちろん完全に治っている。

 治りすぎて、ちょっと耳の先っぽがとんがっているのを見た時は、超興奮した。

 とんがっている耳って凄くファンタジーぽくて素敵だった。


 そう、うちのサチはもう何処に出しても恥ずかしくない、ちょっと尖がり耳が素敵な可愛い女の子に戻ったのだ。


 「そんな馬鹿な。ありえない。」

 太っちょ番頭が絶句している。

 薄々気づいていたが、これで確信した。

 この一連の出来事はこいつが仕組んだ事だ。

 

 最初は他人の空似で。警備隊長が碌々調べずにうちのサチを逮捕したのかと思ったが、どうやら違った。

 最初から罪をなすりつけるために、うちのサチの特徴を目撃証言として言っていたんだ。

 殺人を誰がしたかは分からないが、明らかにうちのサチをスケープゴートにした。

 これは許せることじゃない。

 絶対に復讐してやる。ここを出たら覚えていろよ。


 「・・・どうやら、目撃証言とは違う人物のようだな。根本的に調査はやり直し、もちろん目撃証言の話も含めて一からだ。裁判はこれにて・・・」

 「待ってください。間違いなくこいつが会長を殺した犯人です。紋章や傷がないのは何かの間違いです。そうだ魔術だ、魔術で治したんだ。」


 「ふっ、魔術か。それこそあり得ない。魔術で跡形もなく治したならそっちの方が大事件だ。殺人なんてどうでも良くなるほどのな。そんな事が出来るはずがない。」

 裁判長と呼ばれた人がしみじみと言う。

 そうなのか。傷を治すのは大事件なのか。

 危なっ。

 今度から気を付けよ。


 「そいつで間違いないんだ。私は顔も見ている。あの時の暗殺者はそいつで間違いない。」

 あれれ~おかしいぞ~。あのおじさん、さっきは顔を見てないって言ってたのに、いつの間にか顔を見てる事になってるぞ、おかしいな~。

 言いたい。全力でそう言って煽りたい。


 そもそもさあ、そっちの言い分を信じたとして、こんな小さな女の子の侵入を許して、会長を殺害された挙句、逃げるときにもみ合ったのにピンポイントで喉の傷を見たり耳を見たり、最終的には服を破って背中の紋章を見た?

 そんな話ってある?

 どう考えても不自然だ。

 お前の動きおかしすぎるだろう。


 それが許されるのはちょっとお色気アリのラブコメだけだぞ。

 それだとしてもサチをヒロインには絶対させないけどな。


 「その少女で間違いがないのなら、きちんとした証拠を出しなさい。そなたの証言には一貫性がない。そのような人物からの証言だけを信じて裁判をする事は出来ない。」

 お、凄いまともだ。

 思えば、この裁判長だけがまともだったな。

 

 「そいつらが犯人で間違いがないんだ。そうだ、ではこの件を上位裁判にて判断してもらいたい。必ずや上位裁判では、こいつらの誤魔化していることを暴き、こいつらが犯人である事を証明できるでしょう。」

 「おい、馬鹿お前、それは・・・」

 なんか机左男が焦っている。

 なんだ上位裁判って。


 「上位裁判は市民が簡単に出来ることではない。」

 「もちろん、その費用は私めが払います。貴族の方への謝礼も当然はずみます。」

 「馬鹿が、言葉を慎め。」

 「いいえ、こうなればこいつらの罪を暴かなければ私の気がすみません。どうぞ、お考え下さい。」

 なんだかとってもめんどくさい話になりそう。

 早く帰らせてくれ。


 「上位裁判となれば、ここで判断を下す事は出来ない。よってこの場は解散、後日追って通知をいたす。」

 つまり、この場は解散。

 上位裁判てのがあっても後日、通知があってから動けばいいから今日やる事はないな。

 じゃあもう帰っていいよね。

 解散。解散。


 そう思ったが、隣にいた警備兵たちと共に部屋を退出したら、そのまま一緒にまた牢屋に戻る。

 ゴブリン達を連れて帰るために一度、牢屋に戻ったのかなと思ったが違った。

 このまま俺達は牢屋に入ってなきゃいけないらしい。

 それも、上位裁判をやるかやらないかの結果がでるまで。


 おかしくない?

 そう思ったが警備兵達には聞いてもらえず、俺達を牢屋に入れたら帰ってしまった。


 そう言う訳で俺達はまた、牢屋暮らしを強いられるのであった。


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