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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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53話 西へ。

 沈黙。

 今現在、アリサと対峙している2人の間に流れるのはこの2文字のみ。

 気まずい。


 なんか喋って欲しい。やっぱ怖いからなし。

 ここはやはり何だか分からないけどとりあえず謝るムーブをくり出すしかないのか。


 「・・・・・・昨日、ダンジョンでなにしたの。」

 そんな事を思っていたら遂にアリサの方から話を切り出してきた。


 昨日?

 昨日と言えば、ダンジョンに潜ってそんでもってお嬢様と呼ばれる人とおつきの女騎士さんと会ったくらいだ。

 それか?

 怒られるような事は何にもした記憶はないがもしかしたら女の子2人に会ったのを何処からか突き止めてそれを咎められているのだろうか。


 それはあれだろうか私以外の女の子と話してはいけません的なやつだろうか。

 もしかしてあれだろうか彼女気どりと言うやつだろうか、付き合ってもないのに彼女気どりなんだろうか。

 えっ、なにそれちょっと嬉しいんですけど。


 「・・・答えて。今朝、貴族が来て大変な騒ぎになった。その後、アルバートさんがワタルを連れてこいと言った。だからワタルが何かした。」

 そうかあの2人、あの後すぐに奴隷商に行ったのね。

 まあ人の物を取ろうとするくらい欲しがったのだから当然といえば当然なんだろうか。


 「それなら大丈夫。ギンが欲しいと言ったからここを教えただけで他には何も・・・あっ。」

 「やっぱり。何かした!何したの!」

 アリサの問い詰める視線が更に鋭くなる。


 そう言えばお嬢様にちょっとしたセクハラ発言したかも。

 なんか向こうもかなり怒ってたし、やっぱ小さい子とは言えセクハラしましたなんて言ったら怒られるに違いない。

 これはまずい。なんとか誤魔化さないと。


 「それは・・・えーと。そうだ、あのブーメランがとても気に入ったみたいだから上げたんだ。それ以外は本当に何もないです。本当です信じてください。」

 嘘は言っていない肝心なことを言っていないだけで嘘は言っていないんだ。これでなんとかならないだろうか。


 「ブーメラン?あの木のおもちゃの事?」

 「そうです。あれです。あれで少しギンと遊んでいる所を見せたらとっても気に入っていたので上げたんです。」

 ブーメランはアリサも知っている。何度かアリサが連れていた犬達ともブーメランで遊んだしアリサも使ったことがある。

 あれくらいならプレゼントと言っても大した事ではないだろう。作るのに2万したが女の子に送るものとしては大丈夫だろう。大丈夫であれ。

 後、言い訳する時ってなんで敬語になっちゃうんだろうね。


 「本当にそれだけ?他に何か見せてない?例えば薬とか。」

 薬?何故に薬?

 そう思ったがアリサの視線が鋭すぎるので真剣に思い起こす。

 何か使ったっけ?相手は別に怪我してなかったから何にも使ってないような。うん使ってない。


 「使ってないです。見せてもないです。」

 「・・・・・・ならいい。」

 無罪。逆転無罪。

 ふー。なんとかセクハラ疑惑を乗り切ったぜ。向こうはそんな事言ってないけど。


 なんとかアリサの追及をかわした後は明日の準備をしなきゃいけないという事で2人して直ぐに宿に帰った。

 

 宿に帰るといつもと違った時間に帰ってきたので女将さんがびっくりしていたが事情を説明して納得してもらった。

 それと以前まとめて払った分の宿代については明日以降の分は返してもらった。


 なんかこっちの世界に来てずっと泊っているこの宿にもう明日は泊まらないんだなと思うと急に遠くに行く実感が出てきた。

 そんな訳で遠くに行くんだし外の世界を旅するんだしでこのまま早く寝て明日に備えることにする。

 おやすみなさい。



 と思ったけど寝れない。

 そりゃそうだ。

 まだ起きてから8時間も経ってないしいつもはこの時間歩き回っている時間だし、寝れるわけがない。


 だから他の奴らも起きてるかなと思って周りを見渡してみる。

 もう全員寝ていた。

 寝つき良すぎ。

   

 そんな事で一人だけうまく寝れずにベットで横になっている。

 ずっと目をつぶっていればそれだけで寝ているのと同じような効果があると昔聞いた事を信じてずっと目をつぶっている。

 これは夏休みや冬休みの間ずっと夜中起きてて朝方寝る生活をしている所を休みが終わるから急に明日から早く起きるために無理やり寝ようとしているあの感じだな。

 今回はあの時よりも夜型の生活が長かったから元に戻せるんだろうか。

 目はつぶっているのだが余計なことを考えて全然眠くならない。

 何も考えないようにと思ってもその何も考えないを考えてしまうし、だめだ全然眠れない。


 そんな感じで目は閉じているが何かずーと考えているうちに朝が来てしまった。

 頭の中ではずっと起きていたと思ったがそれにしては時間が経つのが早かったような気がするしで寝ているんだか寝ていないんだか分からない状態で朝を迎えてしまった。


 しょうがないのでこのまま起きて支度をする。

 いつも売っている回復薬はどうしようかと思ったがまだ時間が早くお店が開いてないかもしれないので止めておく。

 本当は3週間分いっぺんに持っていて資金調達しようかと思ったがそんなことしたら絶対怒られるのでやめた。


 準備が終わったらギン、ゴブリン達、ドン、俺のみんなで西門に行く。

 思えばこの世界に初めて来たのが西門の外で直ぐに西門をくぐってから一度もこの街の外に出たことがなかった。

 それどころか西門にも行った事がなかった。


 西門を見るとあの時の事を思い出して・・・、全然思い出せなかった。

 まあ一度しか見てないしあの時は来たばかりで色々忙しかったからな。


 そんな訳で微妙な気分のまま西門の前に集まっている集団に近づいていく。

 そこには馬とみられる生き物2頭で引いている馬車が2台とその周りにいる10人くらいの集団だ。

 馬車は人が乗るためだけのものではなく大きな荷物を運ぶような物に布の幌がついたものだ。

 なんかファンタジー世界の旅って感じでとてもワクワクする。


 その中にいつもの奴隷商人さんを見つけたので挨拶に行く。

 「おはようございます。」

 「ワタル様、おはようございます。他の方はもう来ておりますので紹介させていただきます。」

 俺が最後だったのかちょっと恥ずかしい。


 奴隷商人さんについて行って今回いっしょに旅をする人たちに挨拶していく。

 まずは奴隷商人さんの部下で奴隷商人の2人、馬車を操縦する2人に軽く挨拶をする。


 その後は雇っている魔物使いの3人(そのうちの1人はアリサ)の魔物使いチームだ。

 「君が噂のゴブリン使いかよろしく。」

 魔物使いの1人にそう言われた。

 やっぱり3匹もゴブリンを育てているから魔物使い界隈でも噂されているらしい。 


 ふふふ、私は何もしていません頑張っているのはゴブリン達なのです。

 私はただ少し、ほんの少し彼らの手助けをしているだけなのです。ただそれだけなのです。

 言いたいこういうかっこいい事言いたい。言えないけどね。


 最後に護衛として雇っている2人の冒険者に挨拶をする。

 何でも護衛の仕事中心で活動している冒険者らしい。

 そのせいかスキル構成が『警戒』と遠距離攻撃という物だった。

 遠距離攻撃スキルは1人が『弓術』でもう1人が『投擲』というものだ。


 「なんか一杯いるなと思ったらゴブリンかよ。しかもなんかでかいし。良くここまで育てたな大したもんだ。」

 また褒められてしまった。

 あんだけ苦労した甲斐があったってもんだ。


 「しかしゴブリンは大丈夫なのか?言う事聞かずに突撃してそのまま帰ってこないとかないよな。」

 「それは大丈夫です。クラスアップしてから言う事はちゃんと聞きますから。」

 「クラスアップ!?そうかクラスアップならそういう事もあるか。それでこんなにでかいのね。頼もしいじゃないか。」

 ふふふこいつはただのクラスアップじゃないんだぜ。2回だ、2回のクラスアップを経てこの大きさになってるんだぜ。言わばクラスアップ改ってやつだ。

 言いたいそんな厨二ぽいこと言いたい。言わないけど。


 「それなら人数も多いし真ん中の護衛をやってもらおうかな。こっちは前と後ろで警戒するから何かあったら真ん中で馬車とか人を守って欲しい。」

 真ん中?真ん中だと2台のうちどっち乗るんだろう?

 「分かりました。真ん中やります。」

 まあ良く分かってないけどとりあえず真ん中やらせてもらいます。


 挨拶も一通り終わったがまだ西門は開いてないので少し手持ち無沙汰になる。

 そういえばどの馬車に乗るとか聞いてないけどどうしたらいいんだろうか。


 なんかみんな忙しそうにしているし今更聞くのはなんか恥ずかしい。

 とりあえず馬車の中を偵察してどの辺に乗るかイメージトレーニングしておくか。


 まずは先頭の馬車をのぞいてみる。

 そこには檻があり、犬がいっぱい入っていた。

 おそらく売りに行く犬なのだろう。そうかここは犬専用なのね。


 じゃあ後ろの馬車なのね、そう思い馬車の中を見てみる。

 するとそこには樽とか箱とかがところ狭しと置かれている。

 何人かは入れるけど全員はとても入るスペースがない。あれれおかしいぞ人数は沢山いるのに馬車のスペースは少ししかないぞそんな事を考えていると声をかけられた。


 「荷物ですか?少しはスペースがありますので入れましょうか?」

 「・・・大丈夫です。」

 どうやらここは荷物専用の馬車らしい。

 前は犬専用、後ろは荷物専用つまりこの馬車は全部荷台という事。2台あるだけに。うん死にたい。


 そんな事を考えていると鐘が鳴った。

 これは門が開く時になるやつだ。

 「ワタルさん、門が開きます。出発の用意を。」

 いつもの奴隷商人さんがそういうと前方にある門が開き始めた。


 門が完全に開くと馬車が動き出しそれに続いてみんな歩き出す。

 やっぱみんな歩きなのね。


 俺もみんなについて行って歩き出す。

 街の中に入るのにはなんだかんだあったが出ていく分にはなんのチェックもないらしくすんなり通っていく。


 街の外に出ると何処までも広がっているような水平な土地がある。

 最近はずっと街にいたので忘れていたがこの街はこの壮大な平原にあり一歩外を出れば魔物は襲ってくるし盗賊や山賊が出てくるそんなファンタジーな世界だったんだ。


 そんなファンタジーな世界で旅をする。そう思うとこれから起こるかもしれない事を想像してわくわくしてくる。

 魔物に襲われたお嬢様を助けたり、盗賊に襲われたお嬢様助けたり、なんだかよく分からないけど行き倒れているお嬢様を助けたりいやあ夢は広がるな。

 そんな馬鹿なことを考えていたらアリサに小突かれた。

 どうやらみんなもう外に出たので移動を始めるらしい。

 慌ててこの集団について行くように歩き出す。


 馬車は2台あり前と後ろで間隔をあけているのでその間に入る形で歩いていく。

 護衛の2人は前と後ろの馬車の横にそれぞれついて警戒しているようだ。

 真ん中ってここねと思いながら歩いていく。

 そばにはアリサやいつもの奴隷商人さんもいて全員で歩いていく。


 外の道は思ったよりちゃんとした道だった。

 土を踏み固めて出来ただけの道かと思っていたがコンクリートみたいな灰色の石みたいなのがきちんと水平に敷き詰められていてとても歩きやすい。

 道幅もかなり広く頑張れば馬車が反対側から来てもすれ違えるんじゃないかと思うくらい広い。


 どうやってやったのか分からないがこんなに立派な道を作るんだからさぞかし大変だったんだろう。

 そんな事を考えながら歩いていると奴隷商人さんがこれは『土魔術』で作った物だと教えてもらった。

 ギン達洞窟犬が同じことが出来るようになるか分からないがこれが出来るようになったらもっと洞窟犬の需要も上がるとも語っていた。

 なんか色々考えているんだなと思いながら歩いていく。


 最初のうちはいつ魔物や盗賊が出ても対処できるように警戒しながらというかちょっとわくわくしながら歩いていたが全く持って何も起きない。

 上空を鳥のようなものが飛んでいるのが見えるだけだ。


 そうこうしているうちに最初の休憩に入った。

 そこは他の所と比べ草が取り除かれたりしてちょっとした広場になっており馬を繋いでおくような器具すらある。

 休憩のために作ったようなその広場に着くと馬に餌や水を上げたり馬車の中にいた犬達を放して少し運動させたりしていた。

 自分たちもその辺の地面に座り休憩しながら軽食をとっていく。


 最初はファンタジー的な過酷な旅をイメージしていたがこうしてみるとなんか遠足に来たみたいだ。

 なんか凄いほんわかしている。


 だが俺は分かっているこれは最初の休憩だからだ。

 ここはまだ街に近く比較的安全だけど行程が進むたびに危険度が増えていってこのままの遠足気分でいったらとんでもない目に遭う、そういうイベントだろ。

 俺くらいのファンタジー通だと騙されないぜ。


 そんな事を思いながら進んで行くが何も起きない。

 もうそろそろ夕方だ、1日も終わる。だが何も起きなかった。


 まあ1日目だからなそれにまだ夜が待っている。

 夜になれば魔物は活発になる。

 数人で見張っているその隙をついて魔物が襲ってくる。

 それにいち早く気づいた俺達が無双して退治してしまう。これだな。


 そんな事を夢想していたら遠くに人工物が見えて来た。

 どう見ても家だ。こんな所に家が何故?と思ったが1軒だけじゃない複数の家がそれも道沿いに沢山ある。


 「今日はここまでですね。宿をとりますので皆さん今日はお疲れ様でした。」

 はい。普通に宿場町です。

 宿の中は普通でいつも泊っている宿屋とほとんどなにも変わらなかった。

 旅先という事を全く感じさせず普通に眠れる。

 朝起きた時なんて普通に寝ぼけて何時もの宿屋と思ったら違ってちょっと焦ったくらいだ。それくらいリラックスしてしまった。


 だが待って欲しい。

 俺はまだ騙されていない。

 これは1日目だからだ。こっから先は危険エリアだ。きっととんでも無い事が起きるに違いない。



 はい何もありませんでした。

 いやまだだ2日目だからだ。まだ慌てる時間じゃない。。



 はいやっぱり何もありませんでした。


 どこにもお嬢様は落ちてないし魔物の群れはいないしどうなってんだ。

 この世界の旅、安全すぎ。贅沢言わないからせめて魔物と戦うくらいあっていいだろ。完全にただの観光で終わってしまった。


 そんなこんなで何事も起きずにこの旅もそろそろ終わる。

 何故なら視界の先にとんでもなく大きな壁が見え始めたからだ。

 その街を囲う壁の高さ、長さはダンジョンがあるあの街とは比べものにならないほど大きい。


 これが州都。これが夢の都アルステラ。

 待っていろまだ見ぬ俺の奴隷。

 待っていろ処女様、今助け出してやるからな。

 そう意気込みその大きな街並みを見るのであった。 


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