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30話 取り鉄

 そうと決まればまずは採掘に必要な道具を聞く。

 ピッケルでも壁を削ることは出来るが鉄鉱石はそんな規模じゃなくガッツリ壁を掘っていく必要があるらしい。そのためつるはしを買った。10万だ。

 その他にもゴブリン達にもやらせるためにピッケルを2本買う。


 これで全部、さあ行こうと思ったところで水袋の事を思い出した。

 多めに3つ買っておく。


 今度こそ次の場所に行く。 


 資料室で鉄鉱石を採掘できる場所が書いてないか調べる。

 1階の地図しか知らない時は分からなかったが2階の地図もちゃんとある。

 その中で鉄鉱石のメモがあるものを探し自分の地図にメモを写していく。


 時間になって資料室も閉める事になったので切り上げてダンジョンに向かう。

 途中で水を汲んだら一気に2階へと降りていく。

 

 出てくるゴブリン達を蹴散らしながら一直線に目当ての部屋に向かって行く。

 2-1から3つ進んで4つ目の部屋だ。


 そこはとても薄暗い小部屋だった。

 他より天井も低く2メートルくらいで奥に細長くなっておりあちこちの壁に掘った跡が残っているところだった。

 ちょっと歩きまわるだけで部屋の中全てを回れるくらいの広さだった。

 そのくせ、色んな方向に拡張しようと蛇行しながら掘り進んでいるような感じなので入り口から全てを見通すことは出来ない。


 魔物は何もいないみたいなので本当に掘るだけのポイントみたいだ。


 早速始めようかと思ったが暗くて不便なので少し明るくしたい。

 ランタンは未だに買っていないのでその辺に落ちている石に『発光』を2.0くらいまで入れる。

 これで簡易ランタンの出来上がりだ。

 軽く魔力を込めるというか力を入れると暫く光っているのでこれをいくつか作って地面に置いたら簡易照明の完成だ。


 さあではいよいよ本日のメインイベント、俺のガチャ対策を実践して行こう。


 まずは作戦その1、ここ掘れわんわん作戦だ。


 これは犬の嗅覚に頼り犬に魔鉄鉱石が埋まっていそうな所を探してもらう作戦だ。

 犬と言えばお宝、お宝と言えば犬と言うほど古今東西ありとあらゆる物語で犬達はお宝を掘り当てるのに役に立っているのだ。

 まあ花咲じいさんしか知らないけど。

 きっと大丈夫、何故なら犬は万能の生き物だから。


 「ギン魔鉄鉱石が埋まってそうな所を探せ。」

 「?」

 可愛く首を傾げてる。

 そりゃいきなりそんなこと言われても困るよね。サンプルもないのに。

 でも諦めない。


 「とにかく掘りたいところを示してくれ。」

 「わん。」

 分かっているような分かってないような感じだが力強い返事を貰ったので信じてる。


 早速、ギンが部屋の中をくんくんしながら歩き出した。


 「わんわん。」

 そこだな。

 早速シャベルで掘っていく。つるはし?知らない子ですね。


 掘っているとギンも手伝ってくれるのか一緒に掘ってくれる。

 この辺はいつも素材を捨てていく時にやっている作業だ。


 結構掘った。掘ったが何も出てこない。

 石とか土の塊とか出てきているけどこれじゃないよね。


 止め時が分からず結構掘ったけどやっぱ無理か。

 そりゃそうだよな。

 昔話からの教訓で作戦立てるとか意味分からん。 

 

 でもさ。ワンチャンあるでしょ。わんちゃんだよ。

 すみません黙ります。


 さて気を取り直して次の作戦行きますか。


 今までのは前座、ちょっとした余興。

 ガチャで言えば一日一回90石くらいのやつ。


 というわけで本命の作戦。

 名付けてスキル容量でボロ儲け作戦。


 これは今日、剣を見ていて気が付いたが鉄と魔鉄ではスキル容量が違うという事で、鉄鉱石と魔鉄鉱石の見分けは容易に出来るという事だ。

 これだけならただ単にちょっと便利くらいだ。

 そもそも鉄鉱石の中に少ししか魔鉄鉱石がないなら見分けがついたところで、だから何だよなんだがここからがこの作戦の肝の部分だ。


 今日の剣を見ていた時に思ったがスキル容量が低い物に比べて高い物の方が魔力を通し易いという説明があったのだ。


 だからこのスキル容量は魔力が通りやすいと上がるという事から考察するに魔力の何らかの値がこのスキル容量と関係しているんだと思う。

 スキル容量は増える事はあっても減ることは見たことないので保持している魔力量なんかの増減する値ではないと思う。

 だから漠然とではあるがスキル容量は魔力を溜めておく最大容量だったりするのかもしれない。


 以上考察終わり。

 すみません、魔力関係はこの作戦に何の関係もないです。

 少し思いついたので考えを整理していただけです。


 本当の作戦の肝はスキル容量は同じ物でも変化するという事だ。

 生物ではレベルアップでスキル容量は上がっていくので同じゴブリンや犬でもレベルが高い方がスキル容量が高くなる。

 それと同じように物質でも同じものでも差が微妙にある。

 例えば水だ。

 宿屋の井戸水で汲んだものは1.1だが1階で汲んだ水は1.4で0.3の差があった。

 これは単純に井戸水で汲めるのは水でダンジョンで汲めるのはダンジョンが作ったダンジョン水なので別物ですという可能性はあるが俺は違うと思う。

 この街はダンジョンの上に立っており宿屋の井戸の位置は地図上で確認してもダンジョンの上にあり、井戸はそれほど深く掘ってないとは言え10メートルくらいは掘っている。

 そしてダンジョンは冒険者ギルドにある入り口から入った瞬間、ダンジョンなのだ。

 それは入った瞬間から壁にある光石があり、少しとっても後で見るともとに戻っていることからそう思っている。


 だから井戸の水もダンジョンの1階で取れる水も同じダンジョン産の水なのだ。 

 ではどこでこのスキル容量の差が出るのだろうか。

 詳しいことは分からないがダンジョン内にある間になんらかの影響で水のスキル容量が変化していると思われる。


 もしかしたらさっきの魔力関係で変化しているのかもしれないが情報が不足しているので分からない。

 分かる事と言えば場所によって確実に変わっているという事とそれを俺が確認出来るという事だ。


 実はダンジョン内の壁や地面にもスキル容量があり場所によってそれは微妙に変わっている。

 大体1.5~2.0くらいの値で前々から気が付いてはいたが誤差だと思って無視していた。


 それが鉄鉱石と魔鉄鉱石の話で思い出した。

 もしかしたらこのスキル容量が高い方がダンジョンとしてなんかの値が強い場所でその場所の方が強力な物があるのではないのだろうか。

 もっと言うとスキル容量が高いところに魔鉄鉱石があるのではないのか。

 

 さっきこの部屋を見回った時に確認したのだが、この部屋の壁は総じてスキル容量が高く大体、2.2~2.4くらいあった。


 逆に地面の値は低く1.8くらいで掘って行くとどんどん下がっていて1.5くらいまで下がっていた。

 そう、さっきの穴掘りはこれを確認するためにやっていたのだ。


 決してワンチャンスとわんちゃんのダジャレを思いついたから無駄に穴を掘る訳ではない。絶対だ。


 とにかく今回の作戦はこのスキル容量の高い所を掘って行けば魔鉄鉱石も手に入るんじゃないかというものだ。

 もしかしたら掘って行けばもっとスキル容量が高い場所があって新しい魔鉄鉱石鉱山みたいなのが見つかっちゃったらどうしよう。大金持ちじゃん。何買おう。


 というわけで早速、スキル容量の高い壁を掘って行く。

 この壁は2.4の区域でこの部屋のなかで一番高いところだ。

 結構掘っている跡もあるので採掘ポイントでもあるのかもしれない。


 つるはしを壁にたたきつけて壁を破壊していく。

 単純に壁を叩き割って削って行っているだけなので非常に時間がかかる。

 なんかもっと一撃入れたらその周辺の壁が全部崩れるようなの想像していた。マインのクラでフトみたいなやつ。


 ゴブリンにピッケルを持たせているので一緒になって壁を叩いたり、ギンも足で壁を掘ったりして手伝ってくれている。


 そうこうしているうちに一際硬い所に当たる。

 来たかと思い一生懸命その硬い塊を砕いて削っていく。



 削って落ちてきた塊を見るがスキル容量は2.5でこれはきっと魔鉄鉱石ではないだろう。

 その塊を手に取ってみる。

 重た。すごいずっしりしているこれが鉄鉱石かもしれない。

 なんか赤い塊だ。鉄だから黒いかとおもったけど鉄鉱石は赤いのかもしれないし鉄鉱石ではないのかもしれない。


 とにかく売れるものかもしれないので集めて置いておく。

 最後にドンに持たせて運ぶためだ。


 それからかなりの時間掘っていた。

 結構頑張って掘り進めたが壁のスキル容量は増えていかなかった。

 結構な量の推定鉄鉱石を取ったので今日はこれで帰る事にする。


 ドンの荷物にどんどん詰めていく。ダジャレではありません。

 あまり重いとドンが潰れてしまうのでほどほどで止めておく。

 本当は100キロちょうどぐらいで止められればいいんだが正確には分からないので俺が持った感覚で10キロだと思うものを鞄に入れる。これを両サイドの鞄に均等になるように10回ほど繰り返す。

 鞄の容量的にはそうでもないので荷物はまだまだ入るがかなり重いのでこれで帰る。


 ドンも歩いている感じ大丈夫そうだったのでこのまま帰る。

 帰りに出会ったゴブリンは全部倒した。


 しかし思ったよりも発掘に時間が掛かる。

 これをしているとゴブリンを狩る時間がほとんどなくなってしまう。

 スキル石的にはゴブリンを狩りまくるほうがいいのでこの辺はバランスを考えながら作業時間を分けなきゃ駄目だな。


 そんな事を考えながらダンジョンを出る。

 素材買取所に持って帰ってきた推定鉄鉱石を預けて帰る。

 査定結果は夕方には出るとのことなので寝た後にこよう。


 宿に戻って寝た後、諸々の日課をこなし再び素材買取所に来た。

 結果、全て鉄鉱石だったようで買取のおじさんもこんなに持って帰ってきたのを驚いていた。

 全部で162000だったので100キロはちょっとオーバーしていたのかも。


 これであれは鉄鉱石である事、そして魔鉄鉱石はやっぱりかなりのレアである事を確認できた。


 あとカエルの素材の分の代金も受け取った。

 昨日、なんだかんだあって取りに行くのを忘れていたでなんか急に10万も貰ったので得した気分になった。 

 

 まあとにかくこれでカエルを狩るよりは儲かる事は分かった。

 武器用の武術系スキル石も欲しいけどまずは剣用の資金を稼ぐのが先だ。

 という訳でしばらく昨日と同じように魔鉄鉱石狙いの発掘作業をしていこうと思う。


 なんか昨日少しやってみてこの作戦は思ったよりも簡単じゃなさそうだけどもう少しだけやってみよう。

 魔鉄鉱石待ってろよ絶対大盛にしてやる。

 そう決意を新たにしダンジョンに向かった。 


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