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絶対異世界無双したいマンが欠陥チート『スキル強奪』をつかまされた時に出来ること全部  作者: 立花 一


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13話 それでもチートなら…チートならきっと何とかしてくれる。

 とにかく落ち着け。

 落ち着いて状況を整理するんだ。


 何かの問題があった場合に重要なことはどこに問題があるのかそれを明確にすることが大切だ。

 これを問題の切り分けという。

 ネットに書いてあった。


 ・今使った『再生』のスキル石だけに問題がある可能性

  もう一つあった『再生』のスキル石を使って自分に入れられるか確認する。

  入らない。これの可能性はない。


 ・『再生』スキル石は他の物には使えない可能性

  これは左手の防具に使えているのでない。


 ・『再生』スキル石は人間には使えない可能性

  これは大いにある。ただし今はこのスキル石、1個15000ディール相当の貴重品なので実験は後回し。


 ・そもそも俺にスキル石が使えない可能性

  この可能性はない。存在することすら許されない。よって後回し。


 あとはあとはどんな可能性があるんだ、まだあるはずだまだ試すべきことが。

 そうだそもそもまず人にスキル石が使えるかどうか試してなかった。

 この可能性は無きにしも非ず。

 もし人に使えなかったとしたら・・・よそうこれ以上はいけない。


 とりあえず誰かに試してみるとしてスキルとして獲得しても何ら害のないものがいい。

 今あるスキル石はこれだけ『薬効』『発光』『消化』『繁殖』『抗病魔』そして『再生』。

 『薬効』、これは『薬効』マックス汁人間が出来るので駄目。


 『発光』、これは怪奇、暗闇で薄ぼんやり光る幽霊かと思ったら単純に暗闇で薄ぼんやり光っちゃう人間が出来てしまうので駄目。


 『消化』、これはどんな作用をするか想像するのが難しい。お腹の調子がいい人になる場合もあるし、いっけねよだれ垂れちゃった、ついでに床溶けちゃったみたいな人間が出来てしまう可能性があるので保留。


 『繁殖』、お盛んな人が出来てしまう可能性がある保留。


 『抗病魔』、これが一番無難だろう。おそらく病気に強くなるだけだと思う。

 大穴で自分の体液が抗病魔薬になる人の可能性もある。

 でもネズミの体液は別に抗病魔薬じゃなかったし病気に強いだけだったしな。


 問題は誰に使ってみるかだが・・・


 「ちょっとワタルあんた帰っていたのかい。昨日帰ってこないから心配したよ。」

 と言いながらこの宿の女将さんが入ってきた。


 「あんた何やってんだい。」


 そう言えば半裸だった。


 「体、体を拭こうかと。」

 「お湯もないのに?」


 まあそうですよね。

 「待ってなお湯持ってきてあげるから。」


 暫くして女将さんがお湯を持って部屋にやってくる。

 お湯が沸く間に覚悟を決めていた。女将さん君に決めた。

 お湯の入った器を受け取る際に女将さんの手に右手で触れる。

 その瞬間、握りこんでいた『抗病魔』0.6スキル石を入れる。

 

 『抗病魔』0.3


 入ってしまった。


 つまりスキル石は人間にも使える。

 ならばと今度は左手で女将さんに触れ、手に持っていた『再生』スキル石0.6を入れる。


 『再生』0.1


 これも入る。

 入ってしまった。



 となると残る可能性はつまり。つまり。つまり。だめだ分からない。考えがまとまらない。


 「どうしたんだい今日は変だよ。て、あんた大丈夫かい顔が真っ青だよ。お湯を使ったら今日はもう休みな。」


 そう言って女将さんは出て行った。


 とりあえずお湯で体を拭いてから考える。

 考えるが考えがまとまらない。


 とりあえず寝て起きてから考えることにする。

 寝不足で頭が働いていないだけなんだ。


 

 寝て起きた。

 もう夕方のようだ。


 とりあえず体を動かしてみることにする。


 体を動かせば嫌なことは忘れる。じゃなかったいい考えが浮かぶかもしれない。


 まずは日課の回復薬作りだ。

 蓋つきの水瓶の中に『薬効』1.0の回復薬を作る。

 今日は『薬効』スキル石が70しかなかったのでいつもより量がすくない。


 次に抗病魔薬を作ってみる。

 原料は水と『抗病魔』スキル石だ。

 『抗病魔』は0.6~0.8のスキル石がある、これはネズミによってスキル量がバラバラだったからだ。

 自分の分をまずは3本分作ってみる。

 大きな水瓶で作って回復薬の容器に入れようかとも思ったが面倒くさいので回復薬の容器に水をいれ直接、『抗病魔』0.6のスキル石をいれる。

 狙い通り『抗病魔』0.6の抗病魔薬の完成だ。売り物じゃないからちょっと効果がつよくてもだ丈夫だろう。


 お次は売り物用を作る。

 宿の水瓶の中に残りの『抗病魔』のスキル石を入れ『抗病魔』0.5の抗病魔薬を作る。

 スキル量を計算していなかったからどれくらいの量があるか分からないけどまあいいか。


 作り終えたらもういい時間になっていたので急いで薬屋に行く。


 「すみません回復薬と抗病魔薬じゃなかった、病気にならないようにする薬を持ってきたんですけど買い取ってもらえないでしょうか。」

 「確認するからちょっと待ってな。」

 こっちを一瞥して店のおばあさんが答える。

 

 「回復薬が105000、簡易治療薬が147000で252000だ。」

 お金を渡しながらおばあさんが言う。

 抗病魔薬あらため簡易治療薬は儲かるな。これは簡易治療薬狙いか。


 「ただし簡易治療薬は需要があまりないからもうしばらくは買い取れないよ。」


 簡易治療薬はもう無理か短い夢だった。

 そう言えば、教官に簡易治療薬のお金払ってなかった。

 奢ってもらっていたことに今更気が付く。

 今度、簡易治療薬の差し入れに行こう。なんかダブつきそうだし。


 宿に水瓶を戻したら、近くの料理屋で朝飯を食べる。

 昨日食べて夕飯を食べていなかったので豪勢な食事にする。


 食事を終えたらダンジョンに潜る。


 回復ゴケからスキル石を採るいつものルーティンが終わった。


 さて何をするか。


 回復ゴケの壁の壁にもたれかかりながら座り込み考える。


 正直、今からトカゲを狩る気はしない。

 あれは痛いからだ。今、痛いと心が折れてしまいそうだ。


 次は・・・・・・


 何にも思い浮かばないや。


 とにかくぼーとしてとりとめのないことを考えて過ごす。


 そこで思い出した。

 異世界転移する前の夢の中での話だ。

 あそこで能力の説明の中にこのチート能力は転移直後に能力が制限されているとなかっただろうか。

 そして、使用者の成長に合わせて制限が解除されるとも。


 心当たりがある。

 初心者講習の最終日に急に1.0未満のスキルが見れるようになったことだ。 

 これが制限を解除されるという事なら、成長とは一体何の事だろうか。

 単純にシンプルに異世界転移的に考えるなら答えは一つ。

 レベルアップだ。


 つまり初心者講習でたくさんの敵、特にネズミをいっぱい倒したことによりレベルアップし制限が解除されたということだ。


 そうと分かれば話は早い。

 狩って狩って狩りまくればいいのだ。


 そして『スキル強奪』で得たスキル石を自分自身に使えないというこの制限を解除してやる。


 レベル上げそれは子供のころからゲームをしている人間にとって必修科目といっていい。


 ありとあらゆるゲームで存在するレベル上げ。

 それはゲームの得意、不得意は関係ない。

 ひたすら同じことを繰り返して、ひたすら同じ敵を倒して、やってやってやりまくるだけの行為だ。


 初心者は大抵この単純行為の繰り返しに苦痛を感じる、しかしこの苦痛は訓練で克服することが出来る。

 レベル上げという行為をすればするほど、その苦痛は軽減されやがて無の境地への至り心が動かされることなく永遠に行うことが出来るようになるのだ。


 大抵の人間は幼いころからゲームをして過ごす、つまり大抵の人間は幼いころからレベル上げの訓練をして過ごしている。

 つまり俺達はレベル上げのプロだ。

 

 ここで俺のレベル上げモードのスイッチが入った。


 まず考えるべきことはいかに効率よく狩りをするかということだ。

 経験値量が分からない今、本当の効率は分からないがまずは数をこなそうと思う。


 つまり時間と手間がかかるトカゲではなく、スライムもしくはネズミを狩るという事。

 そして大量にいて大量に狩れるとなるとネズミ一択となり、そうすれば狩りを行う場所は例の崖の上ということになる。


 そうと決まれば早速準備に取り掛かる。

 簡易治療薬は3本あるので『薬効』スキル石から回復薬を3本作る。


 そして8の部屋経由で2の部屋の崖の上に行く。


 コウモリのゾーンは走って通過する。

 相変わらずコウモリの姿を捉える事が出来ないのでスキル構成が分からない。


 崖の前に来る頃には後ろから大量のネズミが迫ってきている。

 こっちが一人なのを良い事に襲い掛かってきたのだ。


 先頭のネズミを潰す。

 そのすきに後続のネズミが俺の体に殺到する。


 足元から体を登ってくるがそれを振り払いながら足元のネズミを潰す。

 前回に比べてこちらは一人、襲ってくるネズミの数は比較にならないくらい増えている。


 しかしここで焦ってはいけない。

 行うべきは戦闘ではなく、レベル上げという名の行為。


 ただただ来たネズミを受け止めて潰す。

 あとどれくらいいるかとかは考えない。

 今までどれくらい倒したかなんかも一切、振り返らない。

 体のあちこちを噛まれているがそれは全く無視する。

 

 ただただ心を無にして単純に目の前のネズミを潰すという作業をこなす。

 これがレベル上げという名の行為。


 恐怖はいらない。絶望もいらない。希望もいらない。痛みもいらない。必要なのはただひたすら繰り返すという行為を行う習性のみ。

 ただただレベル上げを行うだけの装置、それこそが現代社会が生み育ててきたレベル上げのプロというものの実体だ。


 どれくらい時間がたったのだろうか。

 踏みつぶす対象が居なくなり、ようやく行動を止める。


 辺りを見回して倒したネズミの死体とスキル石が落ちているのを確認した。

 ほっと息を吐いた途端、ズキズキと体が痛み出す。

 かなり噛まれたらしい。


 回復薬と簡易治療薬を飲み体を回復させる。

 

 右手と左手の防具を外し、素手となった右手に『再生』のスキル石を持ち、左手に押し当てる。


 まだ駄目らしい。


 まだ足りない。


 ネズミの死体を埋めスキル石を回収する。

 体感ではまだ夜は明けてない時間だろう。

 レベル上げは継続だ。


 そして次なる獲物を探すため、別の部屋へと歩き出すのであった。 

 

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