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9話 今こそ始まるチートで無双な伝説

 『薬効』 10.0

 これが今の俺の最大スキル。

 これがあればありとあらゆる怪我を治すことが出来る。

 回復ゴケからとったスキルを自分に使った成果だ。


 今日も今日とてダンジョン内で怪我している人がいないか探す。


 「きゃあああああ!」

 どこからともなく叫び声が聞こえる。


 「ちくしょうなんでこんなことに。こんな一目見て致命傷で後30秒くらいで死ぬような大怪我をするなんて。誰か誰かこの状況を何とかできるものはいないのか。具体的には『薬効』スキルを極限まで高めたものはいないのか!」


 「ここにいるぞ!」

 ここで颯爽登場!!


 「あなたはまさか大怪我を人がいると突然現れてその『薬効』スキルでどんな大怪我でも直してくるが、なにこんな事くらいは大したことはないと言って去っていく。伝説の大した事ないおじさん。」

 「なにこんな事くらいは大したことはない。」


 言い方、おかしくない?おじさんでもないし。


 「とにかく怪我人はどこだ。」

 「こっちだ。もう、うわ言でもう一度お母さんの手料理が食べたかった話をしている段階だ。」

 「それはまずい。では早速。」


 あれ早速どうするんだっけ?


 「どうした早くその顔を半分に分けて『薬効』マックス汁を与えてくれ。」


 えっ顔を半分にする?


 「早くしろ、お前がやらないなら俺が真っ二つにする。」


 手伝ってくれるのか?ただし、真っ二つだぞ!俺が?


 なんで剣を振り上げてるの。なんで押さえつけられているの。やめて。助けて。






 「やめてくれええええええ。」


 そう叫んで目が覚める。 

 

 なんだ夢か助かった。

 昨日手に入れた『薬効』スキルが表示される石、名付けて『薬効』スキル石をどうやって使うか考えながら寝たから変な夢見た。


 ズボンの収納からスキル石を取り出してみる。

 良かったまだ一つも使ってない。

 夢だけど夢であれ。 


 とにかく一度、整理しよう。

 昨日、初心者講習の最後に回復ゴケから入手した『薬効』スキル石0.1は全部で100個。

 なぜなら丁度100個になるまで粘って取ったから。おかげで少し取りすぎと注意された。


 これを自分に使えば『薬効』スキル10.0の『薬効』マックス汁マンになれるな、何て馬鹿なことを考えたのが運の尽きだったな。二度と考えない。

 

 だが現実的な話、このスキル石はどうやって使おう。

 自分に入れるとどんな効果があるのかは怖くてためせない。

 他の人で試したらどうなるのか?

 そもそも他の人に奪ったスキルを与えられるのか?

 まずは何か他の生物で試せないのか?

 様々な事を考えた。


 そして思いついた。

 ヒントは教官に貰った『抗病魔』スキル0.5配合の薬の存在だ。

 そしてすぐさまあの時持っていた回復薬も確認した。

 そしたら回復薬には『薬効』1.0の文字が見えた。


 つまり回復薬とは『薬効』スキル1.0配合の薬ということだ。

 回復ゴケから回復薬を作っていると言っていたから大量の回復ゴケをなんかそれっぽいことをして『薬効』スキル1.0成分を抽出して液体にしたのが回復薬ということだ。


 なんかそれっぽい事が俺には分からないから俺には作れない。

 しかしスキル石はすでに『薬効』スキル成分を抽出していると言っても過言ではない。

 だから回復ゴケをなんかしてなんかする必要はない。

 

 つまり俺にもスキル石があればできるんじゃねということだ。

 

 早速、回復薬作りをしたいと思う。

 とその前に朝食を食べてからにしよ。


 朝食を外で食べて宿に戻ってくる。

 外から帰ってきてまず水瓶に井戸から水を汲んでくる。

 この水瓶は部屋に一つ常設されていて、水が飲みたくなるとここからコップで汲んで飲むためにある。

 ちなみに水は自分で汲んでくる。


 回復薬は液体だ、『薬効』スキル1.0配合の液体だ。

 水は液体だ。つまりここに『薬効』スキル1.0分配合すれば回復薬の完成だ。

 

 安直すぎるかも。

 まあ何事もやってみればわかる。


 というわけで水瓶の水の中に『薬効』0.1のスキル石を入れてみる。

 おお凄い溶けた。水の中で石が溶けて見えなくなった。

 実験は成功だ。


 がしかし水の中に『薬効』0.1が表示されない。

 なんだバグったか。


 なんだろうスキル石の量が少なかったのかな?

 明らかに昨日見た回復薬の量より水の量多いもんな。

 でもこの『薬効』0.1のスキル石がどんな水の量でも等しく『薬効』0.1の効果があったらて夢見ちゃうじゃん。


 まあとにかく溶けることが分かったんだからどんどん入れていこう。

 とりあえず一握り『薬効』0.1のスキル石をつかんで水の中に入れる。


 『薬効』0.2


 今度こそ成功だ。 

 やっぱ『スキル強奪』てチートだわ。


 そうと分かれば『薬効』1.0にするために残りの『薬効』0.1スキル石をじゃぶじゃぶ入れていく。


 『薬効』1.1


 やべ入れすぎた。もったいな。

 水を入れて薄めなきゃ。


 井戸で水を汲む。


 『薬効』0.9


 やべ今度は水を入れすぎた。

 スキル石入れなきゃ。


 そんなことを井戸の前で繰り返す。

 そしてなんとか瓶の中いっぱいに満ちた『薬効』1.0の水が完成した。

 面倒臭かったがなんと100個のスキル石を全部使った。

 満足満足。


 さてこれどうしよう。


 困ったときは冒険者ギルドだな。

 昨日のダンジョンの戦利品の清算もあるって言ってたし、ついでに回復薬が売れるか聞いてこよう。


 水瓶は重いから宿に置いておこ。

 宿を出るところで女将さんに呼び止められた。

 「部屋は今日からどうするんだい?延長する?」

 そういえば5泊分だから今日までだった。


 「延長します。5日分。だから部屋はそのままにしてください。水瓶の中身もそのままで。」

 とりあえず5日分の宿代を払う。

 そしたらお金の残りが25000くらいになってしまった。やばい早いところ収入を得ないと。

 

 

 そうしてギルドに向かう。


 清算を何処でするか分からなかったので受付で聞く。

 「清算でしたら素材を預けたところでしてくれますよ。」

 そう言って微笑んでくれた。ちょっとドキッとした。


 素材を預けた所に行く。確かに素材の買い取りカウンターって説明されていたっけ。

 「預けてた素材の清算をしたいんですが。」

 「ならギルドカードを出しな。」


 いかついおっさんが対応するのでギルドカードを提示する。

 

 「スライムが3袋で3000、トカゲが1袋で3000、回復ゴケが1袋で10000合計で16000ディールだ。」

 そういってお金を渡してくる。

 あんだけ働いて1日16000かこれが多いんだか少ないんだか。

 あと教官が言うだけあって回復ゴケは高い。他の素材だけであれば宿に泊まって食事するだけで終わってしまう。本当に回復ゴケって生命線なんだな。


 「あとお前、回復ゴケに見せかけて普通のコケを袋に入れていただろ。あんな事して誤魔化そうとしてもちゃんとわかるんだからな。次やったらただじゃおかねえからな。」


 怒られてしまった。

 そう言えばスキルを抜いた後の残骸も渡しちゃったんだった。

 今度からはちゃんとしよ。


 回復薬の買い取りの事を聞こうと思ったけど怖くて言えなくなったしまった。

 後、装備てどうなるんだろう。昨日までは無料で貸してもらってたけどこれからはどうすればいいんだっけ。


 とりあえず受付で聞こう。

 決して怒られた心の傷を受付のお姉さんの笑顔で癒すためではない。


 「装備でしたら販売店で買えますよ。もしなんでしたら有料で借りれますし。後、回復薬の買い取りは冒険者ギルドの業務外ですね薬屋に持ち込んで買い取ってもらうのが一番高くなると思いますが。もしかして回復薬作れるんですか?」

 「まあ、そんなとこです。」

 「それは凄い。ここから近い薬屋を紹介しますのでそこを訪ねてみて下さい。」


 そういってまた微笑んでくれた。ああ癒される。

 

 まずは装備からだな。

 毎日行ってた販売店に行く。


 「すみません。昨日まで貸してもらってた装備っていくらくらいですか?」

 「初心者講習の子かい。あれならええっと。」

 

 いつものおばちゃんが対応してくれる。

 値段を聞いてびっくりした。


 頭装備 20000

 胴体装備 50000

 手装備 20000

 足装備 20000

 背嚢 20000

 短剣 50000

 水袋 3000

 シャベル 10000

 ピッケル 10000

 ランタン 30000

 素材袋一つ 500

 回復薬 20000

 毒消し 20000

 

 昨日まで使っていたあのボロの装備達はこんなに高かったらしい。そして新品はもっと高い。

 25000しか持ってない現状ではボロでも手も足も出ない。 


 回復薬は売るほどあるからいらない、ランタンも使ったことない、毒消しも1階じゃいらないだろう。

 だとしても全然たりない。


 消耗品以外のレンタルは10日で10000らしい。

 高いのか安いのかわからんがこれしかないのか。


 ちょっと保留して回復薬を売りに行こう。

 今はとにかく現金がほしい。


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