A colorless me and Glitter you
朝6時に起きて支度をしてゴミを捨てて学校へ行く。無色なわたしの平凡な毎日だ。これに不満を抱いたことはない。むしろ平凡な方がわたしには合っているのだ。グループを作り固定されたメンバーでしか話さない女子より、下心丸出しでその女子をみる男子より。彼らはみんな人にランクを付けることしかできないのだろうか。自分より下の人間がいるから自分はまだマシだ。あの子よりわたしの方が可愛いに違いない、かっこいいに違いない。___くだらない。わたしには関係のない世界だ。無色なままでいい。汚い色に染められている彼らとは混じり合うことは無い。そう、それでいいんだ。
「ねぇ、そこどいてくれる?」
不意に後ろから透き通った綺麗な声が聞こえた。
「え?」
「そこ、俺の靴箱の前だからどいてって言ってるんだけど。」
「あ、あぁごめん....」
わたしは息を呑んだ。黒いさらさらな髪の毛に病気なほど白い肌。切れ長の二重の目の整った綺麗な顔立ち。わたしよりずっと高い身長で長い手足。__鮮やかな色が見えた。感じたことのない胸の高鳴りが止まらない。彼は靴を履いたら何事もなくその場を立ち去った。無色なわたしと鮮やかな彼。わたしはほんの、ほんの少しだけ自分の心臓に色が宿るのを感じた。人はこれを恋と呼ぶのか?わたしは思ったんだ。
「彼の色に染まりたい__。」
続く
第一話目をご覧いただきありがとうございました。初めての作品でまだまだなところも多々ありますが、これからもご覧いただけると大変嬉しく思います。
黒瀬 香