file1 異世界へ 1
ペラペラとめくっていきながら、簡単に最後まで読んだ。
「遥奈、これ案外面白かったな。こんな世界に行ってみたいなー」
優希がはしゃぎながら言った。
「優希らしーなぁ。てかさ、簡単に読んだだけなのに分かってんの?話」
遥奈が呆れて言った。
「う、うるさい!ちゃんと読めばいーんだろっ!?ちゃんとっ!」
2人は今度はじっくりと読もうとした。
その時だった。
「…は、遥奈…、本、異様に光ってないか?」
優希がかなりびびりながら言った。
「優希ホントにビビりだねー。ホントにあんた男子かい?
…ホントに光ってるし」
遥奈も本を見て言った。
2人が同時に光を見たその時、
「うわぁぁ!?」
「ひゃぁっ!」
光が2人を包み込んで、何も見えなくなった。
2人は同時に意識を失ってしまった。
――――――――――――
「…」
「うーん、あれ?ここは一体…?」
遥奈が目を覚ますと、草むらに倒れていた。
「あれー?私たち、確か家の中にいたような…」
遥奈は辺りを見回した。
周りには何もなかった。
ただただ広い草原と、まばらに広がる森林しかなかった。
「あ、そーいや優希は?どこいった?」
優希はどこにもいなかった。
「あれー?ついさっきまで目の前にいたのに…。どこに消えた?
先に行っちゃったかなぁ…」優希を捜したが、捜しても捜しても見つからなかった。
「んー。どこに行っちゃったんだろ」