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第9話 不死者の女王

「しっかし、スキルにもいろんな種類があるよなー」


同郷人たちの動向観察にも飽きた俺は、スキルの詳細を調べたりしてヒマをつぶしていた。

ほら、字面だけだと効果がよくわからないスキルがけっこうあったじゃん?

たとえばこのあたりとか。


『オートリヴァイヴ』

HPが0になった際、一定確率で自動的に蘇生する。蘇生確率はスキルレベル1につき10%。


『窮鼠の一噛み』

HPが低くなるほど物理攻撃力が上昇する。


『威圧』

一定範囲内における相手の戦意を低下させる。


『覇気』

一定範囲内における相手を気絶状態にする。


『眼光』

対峙した相手を一定確率で行動不能にする。


『カリスマ』

戦闘中、パーティーメンバー全員の能力値をアップさせる。さらに非戦闘時においても、自身の言動に他者が感化されやすくなる。


『神仙道』

空気を生命活動に必要なエネルギーに変換する。スキルレベル8以上で食物の摂取が完全に不要となる。


『超再生』

失われた肉体の組織を再生させる。


『超感覚』

視野が360度全方位にひらけ、通常は見えないものが見えるようになる。


『ラーニング』

自分に対して使用されたスキルを習得する。


『エリート』

戦闘で得られる経験値が増加する。


『天才』

全ステータスに補正がつく。


『学習装置』

非戦闘時、時間経過で経験値を獲得できる。


『錬金』

あらゆる鉱物を金に換えることができる。


『原子変換』

原子を変換し、イメージしたものをつくりだすことができる。


ほら、こういうのって見てるだけでわりと楽しいじゃん。

とまあ、そうこうしているうちに、異世界ティヤシュハラの日が暮れていく。

じきに夜がおとずれる。ちなみにこの世界でも1日は24時間のようだ。

最後に食事をしてから10時間近くが経っているが、スキル『神仙道』の効果で空腹感はまったくない。

まあ、どうしてもなにか食べたかったら、『原子変換』で好きな料理をつくればいいだけの話だ


「ついでに、ここに家でも建てちまうかなー」


ほかに行くあてもないし、地べたに野宿ってのもありえない。

見てのとおり土地は広大だし、『原子変換』を使えばネバーランドみたいな大豪邸も瞬時に建てることができる。

……まあ、むなしくなるだけだから、そんなデカい家はいらないけどさ。


と――


「あの~、つかぬことをお聞きしますが」

「!?」


背後からの声に驚く俺。

というのも、一瞬前まではなんの気配も感じなかったからだ。

ちなみに魔王・古竜・邪神のときは、出現前に空間転移の予兆を察知できていた。

とりあえず、ふりむいてみる。


そこにはひとりの美少女がいた。

青い髪と青白い肌。タレ目で従順そうな容貌をしている。

身につけているのはボロくて丈の短いワンピースのみで、むき出しのふとももがかなり生々しい。

なにより……えらく胸がデカい。はちきれんばかりのサイズだ。

そんな美少女が四つん這いの姿勢になっているものだから、俺は不覚にもドギマギしてしまった。

「ここにあったダンジョンを跡形もなく消し飛ばしたのは、もしかしてあなたでしょうか?」


ギクゥッ! 一瞬にして俺はフリーズした。


「ま、まさかとは思うけど、君はあのダンジョンの中に……?」

「はいっ! いましたっ!」


満面の笑みで返された。


うわ……。やべえ、やべえよ……。


「その節は大変ご迷惑をおかけしましたッ!」


俺はガバッと頭をさげた。


「そ、そんなっ、謝らないでください!」


わたわたと手をふる。


「わたしはほら、見てのとおりぜんぜん平気ですから」


顔をあげ、あらためて彼女を見る。

たしかに五体満足。それどころか、火傷のひとつも負っていないようだ。

なんという奇跡! どうして助かったのかすげえ気になるぞ!


「や、でも驚いたよ。自分で言うのもなんだけど、よくあの火力で生き残れたな」

「あ、わたし生き残ってないです。ダンジョンが跡形もなく消し飛んだのに、中にいたわたしが無事ですむわけないじゃないですかー」

「え……?」

「わたしの体は完全に消滅して、ついさっき再生が完了したんです」

「はいぃ……?」


なにを言ってるんだこの娘は? そもそも何者なんだ?


「なあ、君のステータスを見てもいいか?」

「あ、鑑定スキル持ちなんですね。もちろんいいですよ。つまらないものですけど、どうぞ」


というわけで確認してみる。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■


《アンネクローネ・アムーリタ》

クラス:リッチ

レベル:1

HP:1000000/1000000

MP:50/50

攻撃:10

防御:10000

敏捷:10

魔力:10

精神:10000


〈武器スキル〉

血【9】


〈魔法スキル〉

禁忌【7】


〈汎用スキル〉

HP自動回復【EX】

毒効果付与【9】

封印効果付与【9】

状態異常攻撃強化【9】

エナジードレイン【9】

全状態異常無効【9】

魔力探知【9】

精神耐性【9】

超感覚【9】

アンデッド【9】


〈固有スキル〉

『無限再生』

禁忌薬ラストエリクサーの効果により、いかなるダメージをうけても肉体が完全な形で再生される。


『痛覚変換』

自身がうけた痛覚を快楽に変換する。


〈称号〉

ノーライフ・クイーン

再生者

ブラッドマスター

禁忌に触れし者


■■■■■■■■■■■■■■■■■■



んんん? なんかずいぶんアンバランスなステータスだな。

レベル1ってのも驚きだけど、レベル1にしてはHP・防御・精神の値が高すぎやしないか?

クラスの特性という解釈でいいのだろうか。

あと、スキルレベルも軒並み高めだ。特に魔法スキルの『禁忌』なんて邪神超えの【7】だぞ。


ノーライフ・クイーン。その称号は最上位のアンデッド、名実ともに不死者の女王を意味する。

俺の放ったファイヤ・ボールには『アダマスの鎌』の効果が乗っていたわけで、そうなるとアンネは魔王・古竜・邪神と同じくいちどは完全消滅したはずだ。

そこから完璧な再生を果たすとは……タフさにかけては間違いなくティヤシュハラ最強クラスだろう。


「クラスはリッチで、固有スキル『無限再生』持ちか。でもなんでレベル1なんだ?」

「わたしは不死身ですから、戦う必要がありません。なのでレベルも上がらないというわけなのです」

「なるほど」

「それはそうと、ご挨拶が遅くなりましたが、わたしはアンネクローネ・アムーリタと申します」

その場に正座して丁寧に頭をさげる。


「どうぞ気安くアンネとお呼びください」

「俺はヒュウガ・マサキ。マサキでいいぜ」


自己紹介がすんだところで、俺はふと気づいて言った。


「そういやアンネ、俺のそばにいても……その、大丈夫なのか?」


加齢臭を気にするオッサンみたいで嫌だが、聞くべきことは聞いておかねば。


「いまも俺の『威圧』と『覇気』が発動してると思うんだけど」

「わたしなら平気ですよ。『精神耐性』のスキルがありますから」

「や、でも居心地が悪かったりしないか?」

「いえいえ、とんでもないっ! 強烈なプレッシャーでむしろ心地いいくらいです! ピリピリでギンギンでムンムンでゾクゾクですよっ!」

「そ、そうか」


よくわからないが、本人が平気というなら平気なんだろう。

ひとまず安堵する俺だった。

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