第2話 これバグってるよね?
シュンッ! 一瞬のあと、俺は女神の間から森の中に空間転移していた。
俺には植物学の知識なんてないからパッと見ただけじゃ地球との違いはよくわからないが、そのうちファンタジー的エビデンスがいろいろ出てくるんだろう、たぶん。
異世界にきた。俺はいま異なる世界の大地に立っている。
うん、なんかテンション上がってきたぞ!
なにせ俺にはチートスキル獲得フラグが立ってるわけだしな。
というわけで、もったいぶるのはなしにしてさっそくいってみよう!
「ステータス・オープン!」
俺が呪文(というか魔法名?)を口にすると、思ったとおり脳裏にウィンドウが現れた。
そこには俺の名前とステータスが記載されていた。
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《ヒュウガ・マサキ》
クラス:人類の頂点
レベル:999999999
HP:9999999999999/9999999999999
MP:9999999999999/9999999999999
攻撃:9999999999
防御:9999999999
敏捷:9999999999
魔力:9999999999
精神:9999999999
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……。
…………。
………………。
「あのー、すいませーん。俺のステータス、なんかバグッてるみたいなんですけどー」
挙手をして言う俺。もちろん返事はない。
「いやいやいやいや。ちょっと待って。なにこれ、どゆこと?」
ひたすら9がならんでるので直観的に把握しづらいが、レベルは約10億。
攻撃や防御といったステータス値は約100億で、HPとMPにいたっては約10兆という数字だ。
……いやこれ、どう考えても限界突破を何度もくり返したあげくカンストしてるよね?
なぜこんなことに……俺まだ1回も戦ってないんだけど。経験値1もゲットしてないんだけど。
チートは大歓迎だが、なんか俺の求めていたチートとは違う気がしてならない。
チートといえば――
「そうだ、スキルはどうなってんだ?」
俺は脳内にスキルウィンドウを表示させた。
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〈武器スキル〉
長剣【EX】
大剣【EX】
小剣【EX】
槍【EX】
弓【EX】
斧【EX】
杖【EX】
体術【EX】
〈魔法スキル〉
火属性【EX】
水属性【EX】
風属性【EX】
土属性【EX】
雷属性【EX】
光属性【EX】
闇属性【EX】
時空【EX】
禁忌【EX】
〈汎用スキル〉
限界突破:「レベル上限突破【EX】」「ステータス上限突破【EX】」「ダメージ上限突破【EX】」
精霊憑依:「MP消費軽減【EX】」「チャージタイム短縮【EX】「全属性強化【EX】」「全属性吸収【EX】」
怪力乱神:「HP自動回復【EX】」「MP自動回復【EX】」「物理ダメージ減少【EX】」「物理攻撃強化【EX】」
マジックキングダム:「魔法攻撃強化【EX】」「多重詠唱【EX】」「魔法射程強化【EX】」「魔法範囲強化【EX】】
スカイウォーカー:「空中移動【EX】」「重力遮断【EX】」【慣性無効【EX】】「ジャンプ攻撃強化【EX】」
フルメタルジャケット:「全ダメージ減少【EX】」「全状態異常無効」「物理ダメージ反射【EX】」「オート魔法反射【EX】」
ブレイキングバッド:「毒効果付与【EX】」「麻痺効果付与【EX】」「封印効果付与【EX】」「破鎧効果付与【EX】」
不死鳥:「オートリヴァイヴ【EX】」「窮鼠の一噛み【EX】」「蘇生時HP回復【EX】」「蘇生時MP回復【EX】」
韋駄天:「敏捷強化【EX】」「縮地【EX】」【分身【EX】】【ダッシュ攻撃強化【EX】
モンスターイーター:「獣系特効【EX】」「飛行系特効【EX】」「植物系特効【EX】」「無機物系特効【EX】」
ヴァンヘルシング:「アンデッド系特効【EX】」「亡霊系特効【EX】」「魔族系特効【EX】」「竜族系特効【EX】」
蟻の一穴:「クリティカル率強化【EX】」「クリティカル威力強化【EX】」「魔法クリティカル【EX】」【状態異常クリティカル【EX】】
スペリオルオーラ:「威圧【EX】」「覇気【EX】」「眼光【EX】」「カリスマ【EX】」
ユーバーメンシュ:「神仙道【EX】」「精神耐性【EX】」「超再生【EX】」「超感覚【EX】」
フルカウンター:「物理カウンター【EX】」「魔法カウンター【EX】」「倍返し【EX】」
ハイギフテッド:「ラーニング【EX】」「エリート【EX】」「天才【EX】」「学習装置【EX】
トリスメギストス:「錬金【EX】」「原子変換【EX】」「質量保存破棄【EX】」「アイテム合成【EX】」
フォーディメンションポケット:「亜空間庫」「自動整頓」「思念検索」「アイテム複製【EX】」
〈固有スキル〉
『メタトロンの眼』
世界のすべてを見通す瞳。『ティヤシュハラ』における全領域の視覚・聴覚情報をえる。
『ミーミルの脳髄』
世界の全知集積体。『ティヤシュハラ』に関わるあらゆる問いに答えをくれる。『メタトロンの眼』と並列使用することで最上級の鑑定スキルとなる。
『アイギスの盾』
決して侵されることのない万能の盾。いかなる攻撃・魔法・状態異常をも相手に跳ね返す究極の防御スキル。
『アダマスの鎌』
神をも切り裂く最強の鎌。すべての防御スキルを無効化し、攻撃対象を完全消滅させる。この効果は物理・魔法を問わずあらゆる攻撃に適用される。
〈称号〉
超越者
マスターウェポン
アークメイガス
オーバースキル
剣聖
天下無双
蝶舞蜂刺
一番槍
弓張月
星割りダイナミック
ヤドリギの主
ゴッドハンド
禁忌を極めし者
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「長ぇよ! そしていくらなんでも盛りすぎだろッ!」
つか、頻出する【EX】は最大レベルを意味しているのか?
と、『ミーミルの脳髄』の効果なのだろう、新たなウィンドウが開いて説明が表示された。
『スキルレベル』
各スキルの熟練度を表す値。レベル1からレベル9まであり、高くなるほどスキルの効果も上昇する。
んんんっ? 最高が9って、じゃあEXはなんなのさ?
『レベルEX』
レベル9を超えた神の領域。努力や才能だけでは決して届かず、「神があたえた運命」を超越した者のみが到達できるとされる。レベルEXに到達したスキルの所有者はティヤシュハラの歴史上、数名しか存在しない。
えぇ~……。いいのかなぁ、レベルEXのバーゲンセール状態で。
俺、神があたえた運命を超越とかしてないんだけど。たぶん。
とにかく、武器スキルも魔法スキルもぶっちぎりで最大レベル。汎用スキルも同上だ。
だけど、レベルEX乱舞がかすむほどにヤバげなのが、トリをかざる4つの固有スキルとやらだ
わかりやすくいうと、
『メタトロンの眼』=千里眼
『ミーミルの脳髄』=天の声+鑑定
『アイギスの盾』=常時無敵+全攻撃反射
『アダマスの鎌』=ワンパン即死
ってところだろう。ヤバさの度合いがわかっていただけたかと思う。
まあ、持ってるもんは仕方ない。ひとたび習得したスキルを破棄するなんて不可能だろうしな。
せっかく超絶チート能力をゲットしたのだ。ここは思うぞんぶん無双プレイをしてやるとしよう。
とはいえ、まずはいろいろと下調べだ。
とりあえず『ミーミルの脳髄』って便利なものがあることだし、スキルの詳細をいろいろ見ていくとするかな。