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第13話 鼎談

パッ! ふたたび俺はティヤシュハラの大地に戻ってきた。

場所はもちろん例の特大クレーター「終焉と絶望の大破壊孔」だ。

ちなみに、傍らにはしっかりサクヤの姿もある。


「ああぁぁッ!? わ、わたしのステータスが超絶ショボくなってるぅぅぅぅぅうッ!?」


悲鳴をあげるサクヤ。

つられて俺も彼女のステータスを確認してみる。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■


《コノハナチルカムアタツサクヤヒメ》

クラス:女神

レベル:90000

HP:100/100

MP:200/200

攻撃:65

防御:54

敏捷:43

魔力:99

精神:99


■■■■■■■■■■■■■■■■■■



うわお。固有スキル『ウルズの制約』の効果で、ステータスがめっちゃ低くなってる。

約8000万あったHPが100まで下げられるとか、えらいキッツイ効果だな。

……つか、この『ウルズの制約』俺もほしいな。

この効果が適用されれば、俺のステータスもだいぶ抑えられるんだろうけど……しかしこれまでの経験をふまえるに、固有スキルはどうやらラーニングできないみたいだ。残念。


「こんなのやってられないわよ! わたし帰るっ! ――セラフィック・ゲート!」


サクヤが魔法を唱える。が、空間転移用の魔法陣は出現しない。


「セラフィック・ゲート! ――ってぇ、MPがたりなぁああああいいいいッ!?」


頭をかかえて天を仰ぐサクヤ。

『セラフィック・ゲート』は基本消費MP7000なので、MP消費軽減のスキルを加味してもMP200じゃ使えない。


にしても、こいつネタキャラとして見ると言動がいちいちオーバーリアクションでけっこうおもしろいな。


と――


「お帰りなさいませ、マサキ様」


正座したアンネが頭を深くさげて俺を出迎える。


「必ず戻ってきていただけると、アンネは信じていました」

「お、おうアンネ。もう復活したのか……」

「はい! おかげさまで身も心もスッキリしました。しばらくはマサキ様のおしおきなしでも大丈夫そうです!」

「べつにおしおきしたわけじゃないんだが……」


と、そこでサクヤがはじめてアンネの存在を認識して、


「なにこいつ、リッチ? マサキあんたリッチなんか奴隷にしてるの?」


俺はサクヤに耳打ちをして、


「なんつうか、なりゆきでな。俺は奴隷がほしかったわけじゃないんだが……」

「いいじゃない、奴隷の1人や2人気軽につくったって。リッチとはいえ、顔と体は見てのとおりなんだし、さんざんもてあそんでヤりつくして飽きたらゴミみたいに捨てればいいだけの話でしょ」

「おまえ……どこまでいってもゲスいやつだな」


と、俺がサクヤにドン引きしていたところで、


「ところでマサキ様、そちらの方は?」


アンネがたずねてくる。


「ああ、こいつは――」

「聞きなさいそこのリッチ! わたしはティヤシュハラの女神にして世界の管理者たるコノハナチルカムアタツサクヤヒメっ! おまえごときが目通りできたことを光栄の至りと思いなさいっ!」

「女神ってことあっさりバラしていいのかよ……」


「はぁ、なるほど。女神様でしたか」


こちらもわりとあっさり受け入れるアンネ。

驚いたりしないのだろうか……?


「同じマサキ様の奴隷として、これからよろしくお願いします」


と、丁寧にお辞儀をする。


「ってぇ、誰が奴隷よっ!? わたしはおまえと違ってマサキの奴隷になったおぼえなんてないわよっ!」

「違うのですか? アンネの目には、マサキ様とサクヤ様のあいだに契約の魔力線が見えるのですが」

「うっ……! た、たしかにわたしとマサキは契約したっていうかさせられたけど……!」

「サクヤ様。同じ奴隷とはいえ、マサキ様がむしゃくしゃしたときぶっ飛ばされる役はゆずれませんよ?」

「そんな役いらないしそもそもわたしは奴隷じゃなぁあああああいいいいいッッ!」


「おーいサクヤ。無駄話はそれくらいにして、早く幽霊博士とやらのところに案内してくれよな」

「ぜえっ、ぜえっ……。わ、わかったわ。一刻も早く契約を完遂して、マイスイートホーム女神の間に帰ってやるんだからっ……!」


サクヤがホログラムの地図を出現させた。


「ここよ。世界の東の果てに位置するヒルコット島に、幽霊博士の研究塔があるはずよ」

「ここからだと、直線距離で約15000キロってところか」

「で、どうやって行くつもり? わたしはセラフィック・ゲートを使えないし、マサキだと転移可能地点に登録されてないはずよね?」

「ん? ふつうに跳んでいくけど?」

「跳ぶって……ああ、カトラーグにいったときのアレね」


どうやらサクヤは、俺の行動を逐一観察していたようだ。

……死ぬほどヒマだからって、他人に見せられないようなことをしなくてよかったぜ。


「じゃ、いってらっしゃい。有益な情報が手に入ることを祈ってるわ。おもにわたしのためにねっ!」

「いってらっしゃいって、おまえも一緒に来るに決まってるだろうが」

「へっ? はぁあああっ!? な、なんでよどうしてよ意味わかんないっ!?」

「いやだって、俺はその幽霊博士のことよく知らんし」


そもそも「俺に協力する」って契約なんだから、どのみち強制力がはたらくんじゃないのか?


「サクヤ、俺と一緒に来てくれ」

「わかったわ! ――って、また口と体が勝手に動くぅううううッ!?」


「えーと、アンネはどうする?」

「もちろんおともさせていただきますっ!」


元気よく答えるアンネ。


「道中、マサキ様がむしゃくしゃしたときはアンネに八つ当たりしていただかないと困りますのでっ!」

「その期待にはたぶんこたえられんと思うけど……」


とはいえ、ついてくるなと突き放すのも心苦しい。

つか、俺には無理だ!


そんなわけで、極東のヒルコット島には3人そろっていくことになった。

都合、俺がサクヤとアンネを左右の手で抱きかかえる形になる。


「ちょ、ちょっとマサキ、ヘンなとこ触らないでよっ!? 女神の神聖な体をけがすなんて許されないんだからねっ!」

「おまえついさっき女神のガチ処女ささげるとか言ってなかったか……」


サクヤは落ちつかなげな様子だ。ちょっと顔が赤いように見えるのは気のせいだろうか。


「マサキ様、もっとギュッとしていただけますか? できれば首の骨がベキッと折れるくらいがアンネの希望なのですけどっ?」

「ごめんその希望にはこたえられんと思う。そ、それよりアンネ、できればもうちょい離れてくれるとうれしいんだが……」


アンネは大胆に体を俺へと密着させてくる。おっぱいがやわらかすぎて自制心が沸騰しそうになるが……いや、落ちつけ冷静になれ。俺には目的があるんだっ……!


「じゃ、いくぜ。慣性は消しとくけど、二人ともいちおう口は閉じてろよな」


ダンッ! 極東の方角にむけて、俺は地を蹴って跳躍した。



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