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9話 はじめての依頼です

「あー美味しかったー」


「まんぞく、まんぞく」


 ほんとに美味しかった。こっちに来てりんごもどきしか食べて無かったっていうのもあるけど、それでもすごく美味しかった。満足しすぎてさっきから尻尾のパタパタが止まらない。これ意識して止めるの難しいんだよね。


「そんなに満足してもらったら、こっちも作ったかいがあるってもんさ」


「エリンさん、美味しいご飯ありがとう!」


「ありがとうございました、とても美味しかったです」


「さて、腹も膨れたことだし嬢ちゃんたちはこれからどうするんだ?」


 これからか……。うーんどうしようか。お金のほうが心もとないしギルドで依頼受けようかな。


「まだ寝るには早すぎるし、お金も心もとないので、頼を見てみようかと思います。りんねえもそれでいいかな?」


「うん、いいよー」


「よし、じゃあ行くか。どうせ俺も今日は暇だし」


 あ、ウルゴさんがエリンさんに叩かれた。ほんと尻にしかれてるなぁ。




 さて、戻ってきましたよ冒険者ギルドに。


「依頼はあっちにあるボードに張られてる。ランクごとに分けられているから分かりやすいはずだ」


 それは分かりやすくて良いね。私はFランクだから、一番端っこか。


「Fランクはだと薬草採取に……荷物運び? 庭の掃除?」


 あれ、なんか思っていたのと違うね。


「あぁ、冒険者っていやぁ魔物を討伐ってイメージか強いかもしれんが、そういう雑用とかもけっこうあるぞ」


 へぇそうなんだ。ま、ここは定番の薬草採取かな。


「じゃあこの薬草採取にします」


「まぁ最初の依頼だとそれが妥当だな。そんな難しいもんでもないし」


 りんねえが薬草採取の紙をもってイメリアさんの所へと走っていった。


「イメリアさーん、これ受けます!」


「あら、リンちゃんさっきぶり。なになに、薬草採取ね。じゃあ、指定された薬草を10個取ってきてね」


「はーい。じゃあ早速行こうかはーちゃん!」


「うん、頑張ろう」


「じゃ、俺はここまでだな。頑張れよ嬢ちゃんたち」


「ウルゴさんも説明ありがとうございました」


「ありがとうおじさん!」


 ウルゴさんはここで分かれる。まぁ薬草採取だしね。何はともあれ冒険者になってからはじめての依頼だ。頑張ろう。




 薬草は森に生えているみたいだけど、どうやら私たちが来た森とは別のようだ。


「あそこの森みたい。薬草自体は分かりやすいからすぐ見つかるんじゃないかな」


「よし、じゃあ競争だ!」


「え? ちょりんねえ!」


 りんねえが走って森の中に飛び込んだ。あぁもう、いきなり単独行動だなんて。まぁそんなに魔物がいないみたいだから大丈夫だろうけど。

 りんねえに続いて私も薬草を探しに森に入る。お、早速一個発見。幸先が良いね。


 しばらく薬草を探しながらりんねえも探してたけど一行に見つからなかった。ちなみに薬草は6個集まったよ。むぅ、りんねえどこまで行ったんだろう。

 すると茂みから物音がした。りんねえ? いや違う、魔物……? 念のためウルゴさんに聞いた強化魔法を早速試してみる。体は頑丈に、すばやく動けるように……


「――我らに戦の祝福を――」


 すると微かに体が光った。これは成功かな? すると急に茂みからなにか飛び出してきた。しまった、強化魔法が成功したことで油断してた。とっさに腕で防ぐ。


「っ!」


 衝撃はあったものの、強化魔法のおかげか痛みはあまりないみたい。そして、目の前には最初の森であった魔物と同じウルフがこちらを睨んでいた。

 さて、どうしようかな。強化魔法が成功していたことで少し余裕がある。まずは、スキルの説明にあったようにイメージする。炎だと気に燃え移るから、鋭く尖った……氷をイメージ……。そして詠唱は短く!


「氷よ貫け、氷針」


 ウルフに向かって氷の針を飛ばす。が、ウルフは横に飛びそれを回避していた。流石にすばやいね。なら動きを止めてみようか。よし、土でウルフを縛るイメージで……。


「敵を縛れ、地縛」


 地面を踏みしめながら詠唱をする。ウルフの足元から盛り上がった土はウルフを縛り、動けなくした。もがいてはいるが抜け出せないみたいだね。そしてそのまま氷針で貫く。

 ふぅ、何とか倒せたかな。魔法のほうも何とかイメージ通り使えたし。後は速さかなぁ、全然あたらなかったし……。まぁ用練習だね。


 とりあえずウルフを仕舞ってりんねえを探しにいこうか……っ!

 いやな予感。とっさに後ろへ飛びのいたけど……これは正解だったね。ちょっと冷や汗をかいたけど。しかし、なんでこんなのがいるの。


 そう、私の目の前には今、大きなクマがいます。




 目の前にいる黒い熊はギラギラとした目をこちらに向けてグルルッと唸っている。


「どうしようかな……」


 さっきのウルフの数倍はあるクマを見ながら、ポツリとつぶやく。

 このまま見詰め合っててもしょうがないし……先手必勝!


「氷よ貫け、氷針」


 クマ目掛けて放つ。よし、避ける素振りもないしこれなら当た……る?


 ペシッ


 手で叩き落とされたよ。嘘でしょ。あ、めっちゃ怒ってる。グルグル唸ってるよ。


「ガァァァァ!」


 ギャー! こっちに向かってきたよ、どうしよう。えーっとえーっと、とりあえず近づかれたら終わりだから……丈夫な石の壁!


「行く手を阻め、石壁」


 よし、これで――――


「っ!」


 ――――背中に鈍い痛みが走った。吹き飛ばされてる……なんで? 

 目の前には崩れた石がある。そうか崩した衝撃で吹く飛ばされたんだ。って冷静に分析してる場合じゃないよね。ピンチだよねこれ! とりあえずここから離れないと……ってやばい、さっきので腰抜けたよ。


「グルァァァァァ!」


 ひぃ! また向かってきた。あぁもう! 止めるのがダメなら、風の塊でふっとんじゃえ!


「風よ集まり、敵を吹き飛ばせ、烈風」


 目には見えない風の塊が目の前の熊に向かって飛んでいく。こっちに走ってきているから避けられないはず。

 ドンッ! という音とともに熊がグルグル回りながら吹き飛んでいく。よし、今度は成功。でも、あれだけじゃあ死んでないだろうし追撃しないと。ここで油断したら次は本当に危ない。確実に仕留められるように……天から貫く、雷の槍!


「稲妻よ、敵を貫く槍となれ、雷撃槍」


 熊目掛けて空から雷が落ち、轟音とともに熊の体を焼く。


「ガ……」


 かすかなうめき声を上げて、熊は崩れ落ちる。

 た……倒した……? しばらく倒れた熊を見ていたけど、動く気配はなさそう。


「やっと終わった……」


 緊張が抜けてそのまま大の字に寝転ぶ。

 薬草採りに来ただけだったのに、何でこんな目にあってるんだろうね……。さすがに疲れたよ。


『ユニークスキルを習得しました』


 あれ、またユニークスキル? 熊を倒したからかな。でも今日二回目だよね、そんなにぽんぽん習得できるものなの……?

 しかも、さっきからお尻のほうがなにか気持ち悪い……って


 パタパタ

 パタパタ


 ……あれ?


 右手で尻尾を一本掴みます。左手で尻尾をもう一本掴みます。あら不思議、尻尾が二本になってるよ。

 ……

 …………

 ………………


「ふえてる!?」




「はーちゃん、大丈夫!」


 私の叫び声を聞きつけたのか、りんねえがやって来た。


「りんねぇ、しっぽがふえちゃったぁ」


「うぇぇぇぇ!」


 すごい情けない声が出ちゃった。りんねえも驚いてる。


 とりあえず落ち着こう。状況的に、熊を倒してユニークスキルを手に入れて尻尾が増えた。ということはユニークスキルが増えたから尻尾が増えた? とりあえず習得したスキルを見てみよう。


『狐の鑑定術:さまざまな物を鑑定でき、詳細が分かる。分かる内容は力量により変わる。たまに掘り出し物を見つける事も。使うときは尻尾をピーンと立てて鑑定したいものを見る』


 便利だけど……なんで立てる必要があるんだろう?


『なんでかって……そんなの……可愛いからに決まってるじゃないか!』


 ひぃ! また返事が返ってきた。背筋がぞくっとしたよ。変態、変態なのか!


「は、はーちゃん、大丈夫?」


「あ、うん。もう大丈夫。落ち着いたから」


 さっきのは忘れよう、そうしよう。

 落ち着いたおかげで、ようやくりんねえの状態に気づくことが出来た。血、そうりんねえの腕から血が出てる。


「ってりんねえ、腕! 血! 怪我してる!」


「え、あーさっき熊と戦ったときかな。でも大した事ないから大丈夫だよ!」


「そ、そうなんだ……よかった。でも一応、出来るかわからないけど……」


 私はりんねえが怪我してる腕に手を伸ばし、傷が治るイメージをした。


「――かの者に癒しの祝福を――」


 かすかに光った後、腕に会った傷が塞がっていく。良かった、回復魔法も使えたよ。


「おぉすごい! ありがとうはーちゃん!」


「どういたしまして。それでりんねえ、熊と戦ったって言ってたけど……それってあんなの?」


 ちょっと焦げた熊を指しながら尋ねてみる。


「そうそうまさにあんな感じ……ってあれ、はーちゃんも戦ったの? 大丈夫だった!?」


「うん、大丈夫。私のほうはちょっと腰が抜けたぐらいで怪我はないよ。りんねえの方こそ良く倒せたね。結構タフそうだったけど」


「うん、意外と動きが遅かったからとにかく殴って倒したよ。でも私の方は白っぽかったような……?」


 殴り倒したんだ。さすがりんねえ。でも白か、私の方は黒だったし番とかだったのかな。


「そういえば、りんねえもユニークスキル覚えた? 私は鑑定術だったよ」


「うん覚えたよー、猫の観察眼って言って敵の弱いところが分かるみたい。あ、でもはーちゃんみたいに尻尾は増えてないよ」


「う、せっかく気にしないようにしてたのに……」


「あ、ごめん」


 いいなぁ。尻尾二本もあったて邪魔になるし、一本に戻らないかな。


 ポンッ


 ……。

 尻尾を二本に。


 ポンッ


 一本に。


 ポンッ


 簡単に変えられるみたいだね。


「……面白いね」


「ははは、そうだね……」


 はぁ疲れた。

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