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6話 街に向かいます

 森から続く道を進み、ようやく街の前までこれた。思ったよりも距離があったよ。


「ほわー」


「大きい……」


 目の前には大きな壁が聳えたっていた。遠くから見たときも大きいとは思っていたけど……近くで見るとすごい迫力だ。

 さて、いよいよ始めての街に入れる! そう思いながらワクワクして門を通り抜けようとしたら、門の横に立っていた門番に呼び止められた。


「おや、二人だけかい? 親はいないのか?」


「こんにちは、門番さん。向こうの森から二人でここにやってきました。親はいないです……」


「あの森から……。二人でここまで来るなんて大変だっただろう」


 ひとまずそう答える。

 しまった、私たちのことをどうやって説明しようか……。子供二人で旅をしているっていうのもなんか怪しまれそうだし、商人っていっても商品が無いし……。森から来たって部分でもう怪しまれている感じがある。そもそも私たちはここの常識がないからなぁ。どうしたものか。


「君たちはどこに住んでいたんだい?」


「えーっとね、日本っていうっていう多分この世界じゃない……ゴファ!」


「だ……大丈夫かい……?」


 あ、危なかった。馬鹿正直に異世界のことを言いそうになったりんねえに一発食らわせ、何とか阻止した。ちょっと門番さん、そんな目で私を見たいで……。

 肝心の私達の設定は……よし、これでいこう。


「えっと、私たちは子供のころに森へ捨てられたみたいなんです。それを森で隠居していたおじいさんが拾ってくれて……。だから、今までにあるおじいさんの家に住んでいたんです。ただ昨日おじいさんがなくなってしまって……。もし何かあったときは町へ行きなさいっていわれていたので、ここに来たんです」


 ちょっと悲しそうな顔をしながら門番へと説明する。うぅ罪悪感が……。


「そうだったのか……それは本当に大変だったね」


 よし、何とか納得してくれた。


「ただ、ずっと森に住んでいたので常識とかがあまり無くて……。戦い方は少し教わっていたのですが、街のことやお金のことがわからないんです」


「なるほど、それなら冒険者ギルドへ行ってみるといいよ。戦えるのならお金を稼ぐこともできるし、お金のことなど分からない事があればあれば教えてくれるよ」


 おぉ、やっぱり冒険者ギルドがあるんだ。いろいろ教えてくれるのなら少し心配が減ったよ。

 そうやって、門番さんとやり取りをしていると、さっきまで倒れていたりんねえが起き上がってきた。あ、忘れてたよ。


「うぅ、ひどいよはーちゃん」


「ごめんごめん、でもりんねえがあんなこと言い出すから……」


「そ、それはごめん」


 門番さんに聞こえないようりんねえと会話する。ほんとにもう、あれにはあせったよ。異世界人だなんてばれたら厄介なことになりそうだし。


「大丈夫かい?」


「うん大丈夫だよ! ありがとう門番のおじさん」


「お……おじ……」


 あ、門番さんが落ち込んでる。なんだろう、門番ってすごいいかついイメージがあったんだけど、この人は優しそうだし……なんかかわいいね。


「そういえば、二人はお金もっているかい? 一応入るのにはお金がいるんだけど……」


「ごめんなさい、もっていないです。あ、でも来る途中に倒した狼はあるんですけど、換金とかできますか?」


「その年でウルフを倒したのか……それはすごいね。それなら、ギルドで換金できるんだけど……よし、ひとまず僕が立て替えておくよ」


「えっと、いいんですか?」


 といってもお願いするしかないんだよね……。街に入らないと換金出来ないから。


「あぁ、君たちは悪いやつじゃないし問題ないよ、お兄さんに任せなさい」


 おぉ、門番さん男前だ。そしてさらっとお兄さんを主張している。


「っと、そういえば自己紹介がまだだったね、僕の名前はアラン。このセルカークの街の門番をやっているよ」


「私は凛。相馬凛だよ! よろしくねアランさん!」


「私は蓮那、小黒蓮那です。よろしくお願いします、アランお兄さん」


「っ! あ、あぁよろしく二人とも」


 おじさんって言われて落ち込んでいたので、にっこりとしながらお兄さんと言っておいた、ってあれ? なんか照れてる。そんなにお兄さんって言われたのがうれしかったのかな。


「出たよ、はーちゃんの天使の微笑み。普段他人に対してはあまり表情を出さないから、その分破壊力がすごいんだよねこれ……」


 なんかりんねえがブツブツ呟きながらこっちを見ている。あれ、私なんかした?


「ごほん、それではようそこセルカークの街へ」




「おぉ、人がいっぱいだー!」


 門を潜ると大きな大通りとたくさんの人が目に入り、通りの端では色々な露天も開かれていてにぎわっている。しかもパッと見える範囲だけでも、私たちと同じ耳や尻尾をつけている人や、耳が長い人、ドワーフっぽい瀬の低い人などさまざまな人がいたよ。やっぱりこういうのを見るとまさにファンタジーって感じがして、心が躍るなぁ。


「とりあえず冒険者ギルドへ行こうよ!」


 街並みに目を向けながら二人で大通りを進んでいく。

 が、あれ? そういえば冒険者ギルドの場所を聞いてなかった!


「おーい、嬢ちゃんたちー」


 どうしようかと思っていたら、後ろからアランさんの声が聞こえてきた。


「まだ遠くに行っていなくて良かったよ。ごめんごめん、冒険者ギルドの場所を教えて無かったね」


「わざわざ追いかけてきてくれたんですか。ちょうどどうしようかと思っていた所でした」


「ついでに、街の案内もするよ。さっき門番の交代の時間で終わったところだから」


「いいんですか? ありがとうございます」


「ありがとう、アランさん!」


「よし! それじゃあ行こうか」


「「はい!」」




 さっそくアランさんに案内されながら説明を聞く。


「まずここが商店街。冒険者ならお世話になる武器屋や防具屋から服屋や装飾屋まで色々な店が集まっているよ」


「うわぁ、いろんな武器がある!」


 りんねえが武器屋を除いて興奮している。そういえば、りんねえはどんな武器使うんだろう……。あとで聞いてみよう。

 しかし見渡す限り店ばかりだよ。でもこうやって固まっていると便利だね。おぉ鍛冶屋もあるし、あっちはモンスターの素材売ってるよ。ん、あれば……魔道具屋?


「アランさん、魔道具って何ですか?」


「魔道具っていうのは、魔法を使うときに効果を上げる装備や、魔法を込めた魔法石など魔法に関係するものだね」


 これは魔法を使う私にとっては要チェックの店だね。見に来るのが楽しみ。


「そしてここが宿屋。色々あるけど、初めての人はここがおすすめかな。値段も手ごろでご飯も美味しいし。もし泊まるなら僕の紹介だって言えば少しおまけしてくれるよ」


 これはいい情報をもらったよ。今はお金ないし、出来れば節約しないと。でもやっぱりご飯は美味しい方がいいよね~。


「あとこっちの方は食べ物屋が多いね。宿屋でも出るけど、ちょっと贅沢したいときはこっちにきてもいいね。あと酒場とかもあるけど……嬢ちゃんたちは飲んだりするのかい?」


「飲まないですね、年齢制限とかってあるんですか?」


「いや、特には無いよ」


 おぉ、それじゃあ私たちでも飲めるのか。んーでもお酒って苦いイメージしかないから、飲もうとは思わないな~。


「まぁ冒険者になったら結構来る機会はあると思うよ。みんな宴会好きだから」


 たしかにねー。夜は酒場で騒いでいるってイメージがあるよ。


「さて、ここがお待ちかねの冒険者ギルドだよ」


 目の前にあるのは、今まで目にした建物よりも遥かに大きかった。


「ふわー、大きいねー」


「うん、大きい」


「はは、ビックリしたかな。この街にはたくさん冒険者がいるし、それに中には訓練場もあるからほかに比べるとかなり大きいね」


 なるほど、訓練場もあるのか。道理で大きいわけだね。


「それじゃあ、僕はこの後行く所があるからここでお別れになるけど、大丈夫かい?」


「はい、大丈夫です。色々教えてくれありがとうございました」


「ございましたー!」


「うん、それじゃあまたね。あ、ここでも僕の名前出したらスムーズに行くと思うから」


 そう言ってアランさんが去っていった。いや、ここでもって……。門番だから顔が広いのかな。


「それじゃあ入ろうか、りんねえ」


「うん、いこー!」


 まぁ何はともあれ無事冒険者ギルドまでこれたことだし、行ってみようか。

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