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5話 森を抜けた先には感動がありました

 はーちゃんはーちゃん、なんかユニークスキルを習得しましたーって声が聞こえたんだけど」


「うん、私にも聞こえた」


 ユニークスキルってなんだろう? しかも肝心の内容も分からないし。んー、ここが異世界ならやっぱりステータスとかがあるのかな?ちょっと念じてみようか。よし、ステータス出てこいー。

 そしてそれは目の前に現れた。


 名前:小黒 蓮那

 種族:狐族

 職業:なし

 スキル:全属性魔法 

 ユニークスキル:狐の収納術


 ほんとに出ちゃったよ。急に出てきたからビックリしたよ。


「はーちゃんどうしたの?」


「ユニークスキルの内容が分からなかったから、もしかしてステータスとかがあるのかな、と思って念じてみたら目の前に出て来たの。ただ急だったからビックリしちゃって」


「おぉ、ステータスとかファンタジーだね! じゃあ私も、ステータス出てこいー、ってうわ出てきた。確かにこれはビックリするね。えーっとなになに、種族が猫族でスキルが身体強化、ユニークスキルが猫の索敵術だって」


 やっぱり、りんねえは身体強化か。あとはユニークスキルだけど、内容が分からないなーって思ってたら説明が出てきたよ。頭の中で考えるだけでいいのは便利だね。いちいち操作するのは面倒だろうし。で、肝心の内容は一先ず全属性魔法から。


『全属性魔法:基本属性(火・水・風・土)と応用属性(雷・氷・闇・光・時空)が使えるようになる。詠唱の長さやイメージの強さで威力が変わる。使用者の力量により、無詠唱や細かなイメージの反映が可能』


 なるほど、やっぱりあの時火の玉の威力が高かったのは詠唱のせいか。やっぱ調子に乗ったらだめだね……。あと属性は9属性なのか。時空が分かりにくいけどそこはおいおい試してみるしかないかな。使用者の力量っていうのも基準が分かりにくいけど、とにかく使って経験を積めってことだね。とりあえず早めに無詠唱は出来るようになりたい。

 さて次はお待ちかねのユニークスキル。まぁこっちも名前から何となく想像はできそうだけど。


『狐の収納術:生き物以外の物を収納することができる。容量は無限でどんな大きさの物も収納出来る』


 おぉやっぱりアイテムボックス的な物か。しかし大きさも容量も無限だなんて便利。それで肝心の使い方は――――


『使い方は収納したいものに尻尾で触れること。取り出す時も、取り出したい物をイメージしながら尻尾から取り出す。尻尾モフモフ』


 ――――なんでやねん。なんで尻尾やねん。最後のモフモフいらんやろ。あまりのことについ関西弁に。


『そこはほら、乗りと勢いで? まぁ面白そうだからこのままでいいかなーと思って。ごめんね!』


 ごめんね! じゃないよ! 説明文で返事しないでよ! っていうか誰だの! あぁもう突っ込みが追いつかないよ!


『若い娘がそんなにカリカリしちゃだめだゾ!』


「うがぁぁぁぁぁぁ!!!」


「え、ちょ、どうしたのはーちゃん! 落ち着いて!」


「なんでもない、なんでもないよ、落ち着け、落ち着け私……」


 ちくしょう、あまりの事に乙女にあるまじき叫び声を……。これ書いた奴絶対に見つけてやる!




「それで、りんねえの方はどうだった?」


「んーっと、身体強化はそのままの通り体を強化して、力や早さが上がるスキルだね。索敵術は生き物の気配を察知する事ができて、力量によって察知出来る範囲や種類が増えるって感じだね」


 だいたいスキル名通りだね。分かり易くていいけど頭の狐や猫の〜っているんだろうか。


「はーちゃんはどうだった?」


「全属性魔法は9属性の魔法が使えて、収納術は……尻尾を使って生き物以外の物を収納できる」


「……尻尾?」


 尻尾と聞いて首を傾げるりんねえ。やっぱり疑問に思うよね。


「そうだよ、尻尾だよ。何故か分からないけど仕舞いたい物を尻尾で触れないとダメなんだよ……」


「そ……そうなんだ……まぁ便利なのは確かだし! 元気出して!」


「ありがとう……」


 便利なのは間違いないし、性能が良い分の代償だと思えば……。気を取り直して、早速さっき倒した狼をしまってみようかな。

 倒れている狼に近づき、尻尾で狼に触れ収納をイメージする。するとパッと目の前から狼が消えた。おぉすごい、一瞬なんだ。じゃあ次は取り出してみよう。狼をイメージして尻尾に触れると、触れた手がズルッと尻尾の中に入り込んだ。え、なにこれすごい変な感じが、ぅう気持ち悪い。突っ込んだ手が何かを掴んだので、そのまま引き出してみる。


「ひゃん!」


 あまりの気持ち悪さに声が漏れてしまう。

 うわ、うわぁぞくっとしたよ。ちゃんと狼は取り出せたけど、毎回こんな思いしないとダメなの……。というか大きさ無限って言ってたけど、どうやってこの尻尾から取り出すのよ……。


『追記 取り出したい物と取り出したい場所をイメージしながら尻尾を振るだけでも取り出せるヨ!』


 だぁぁぁぁぁぁもう! 絶対楽しんでるでしょこの人。何が何でも見つけてとっちめてやる!


 言われた通りイメージしながら尻尾を振ったらちゃんと出てきたよ。簡単だったよ。はぁもう疲れた。




 お互い無事に? スキルの確認が出来た所で森の出口探しを再開することに。

 何度か狼に出くわしたものの、りんねえがすべて一撃手しとめてくれたおかげで難なく進むことが出来た。頼もしいね。

 そしてついに、人が通っていると思われる道を発見した。


「な……長かった……」


「やっと、やっと見つけたね!」


 二人で喜びを分かち合った後、しばらく道なりに進むとようやく外の景色が見えてきた。これでこの森ともおさらばできるんだね……!


「はーちゃん、はやく! 早く行こう!」


 りんねえが私の手を掴み走る。もうすぐ、もうすぐだ。どんどん外の景色が近づいてくるとともに光もまぶしくなってきた。そして、森を抜けるとともに強い光が私の目を襲ってきた。うぅ、森の中が暗かった分すごくまぶしく感じる。

 光に目がなれてきて、そこで目にしたものは、一面に広がる美しい青空と広大な平原だった。




 この美しい景色にしばらく無言で立ち止まってしまう。


「すごい……」


「きれい……」


 これがこの世界の景色。この森の場所が少し丘になっているおかげで遠くまで見渡すことが出来た。すごい、すごいよこれは! こんな景色今まで見たことない。


「「あははっ!」」


 自然と笑顔になり、りんねえと一緒に笑う。


「あ、はーちゃんあそこ見て! 街があるよ!」


 りんねえが指差す方向を見てみるとそこには壁に囲われた大きな街があった。あぁもうさっきからワクワクが止まらないよ。


「はーちゃん」


「うん」


 そうして私たちは街に向かって歩き出す。これから起こる冒険に胸を躍らせながら…………。

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