20話 お風呂に入りましょう
「よし、着いたぞ」
さてさて、ウルゴさんに案内されお風呂へやってきました。久々のお風呂とあってだいぶテンションが上がってるよ。やっぱり日本人はお風呂だね。
ちなみに、ウルゴさんに土下座されたのでエリンさんに報告するのはやめておいた。
「楽しみだね、はーちゃん」
「うん、久々だからね」
「私も楽しみだわ~」
「ハスナちゃんとお風呂……」
「カリナ……さすがに自重しなさいよ……」
うん、なぜかケリーさんとカリナさんたちがいるの。どうやらケリーさんは私達がお風呂に行くと聞いて大急ぎで業務を終わらせたらしい。カリナさんたちは本当に偶然、というかカリナさんの執念なんだろうか……。
「そんじゃいくぞー」
結構な大所帯になって風呂屋に入っていく。
「「おぉ~」」
りんねえと同時に感嘆の声を上げる。入って目にしたのはまさに日本の銭湯という感じの風景だった。というか、これ絶対作ったの日本人でしょう。ビンじゃないけど牛乳も売られているし。
「んじゃ、嬢ちゃんたちは向こうな」
「覗かないでくださいね」
「誰が覗くか!」
ウルゴさんが突っ込みをしながらオルランドさん、クーランドさんと一緒に男湯に入っていった。
「それじゃあ私達も行きましょうか~」
「「は~い」」
「ハスナちゃんとお風呂……」
ケリーさんに促されみんなで女湯へと入っていく。カリナさんはもうちょっとやばいね。
着替えながら横目でみんなを見ると、隠されていたお山が露になる。あぁ、やっぱりケリーさんの破壊力は凄い……。カリナさんとカリナさんも服で分かりにくかったけど意外とあるんだね。
下を向きじっと自分のお山を見る。本当に比べるのが馬鹿らしくなるね……。自然と尻尾がへんにゃりとなる。
りんねえはあまりそういう事を気にしないのでワクワクしながら服を脱いでいる。
「大山に小山に丘に平原……ふふふ……」
「ハスナちゃん、どうしたの?」
「ひゃい!」
急に声をかけられビックリした。どうやらあまりの光景に意識が飛んでたみたいだ。
「な、なんでもないです」
「あ~なるほどね~、まぁあんまり気にしないほうが良いわよ。ハスナちゃんはまだ成長期だろうし、人と比べるものじゃいないよ」
お山を押さえながら返事をしたのですぐにばれてしまった。でも、成長期かぁ。そうだね、きっとこれからだね!
「はーちゃん、行こう!」
気を取り直してお風呂場へ突入する。
中は湯気が充満しておりとっても暖かかった。近くに桶があったのでちゃんと賭け湯をする。さて、それじゃあ入ろう!
りんねえと一緒に念願のお風呂に入る。すると――――
「「ふにゃぁ……」」
――――とろけた。あぁ、気落ちいい。体の心からほっこりするよ。
「あらあら~、本当に気持ちよさそうね~」
「あぁ、なんて可愛らしいお顔を……!」
「カリナ……。でもこれは……二人とも幸せそうね」
えぇ幸せですよ。念願のお風呂ですから。
「きもち、いいね~」
「うん、きもちいい~」
こんな感じであまりの気持ちよさにしばらくとろけた私達。はぁ、幸せ……。
入ってしばらくはお風呂の感動に浸り、ようやくいつもの調子に戻る。
「そういえば、みなさんはよく来るんですか?」
尻尾でお風呂のふちをチャプチャプしながらみんなに聞く。あ、これ楽しい。
「私はよく来るわね~。業務で疲れた体にはきくのよ~」
なんか、仕事に疲れたOLのせりふみたいだ。まぁギルドマスターだから大変なんだろうね。
「私達もよく来るけど、男の人はあまり使わないみたいだね」
「そうね、男の人は普段は水浴びで済ましたりするし」
なるほどね。やっぱり女の人に人気なんだ。
「わたしは毎日入りたいよ~。しばらく入っていなかったけど、やっぱりお風呂は大事なんだよ」
「だね、お風呂は欠かせないよね~」
それにしても、ケリーさん。あまりの大きさに浮いちゃってるよ。むぅ、けしからん。
「えっと、ハスナちゃんどうしたの? ちょっと目が怖いわよ~」
目の前に浮かぶお山。もうこれは……揉むしかないよね。
「ぁん、ちょっとハスナちゃん!? そこは……だめよ~!」
おぉ、これはすごいよ。ものすごく柔らかい。
「はーちゃんが揉んでる……。じゃあわたしも」
「リンちゃん、どうしそうなるのよ~! あん、二人ともだめぇ~!」
もみもみもみ
りんねえも参加し二人で揉む。これはちょっと、癖になるね。
「これはなんというか……凄い光景ね……」
「感心してないでたすけて~!」
「そうだった。二人とも、その辺にしておきなさい!」
「「あぅ」」
「はぁ、大変な目にあったわ~」
キャロさんのチョップを食らい揉むのをやめる。
「あれ、わたしは何を……」
「まったく、なにやってるの……って二人とも顔赤いわよ! のぼせてるんじゃない?」
そういわれるとちょっとふわふわするね。
「それじゃあそろそろ上がりましょうか~」
「「は~い」」
ケリーさんに言われ上がることにする。
「カリナも上がるわよ……ってカリナ!」
キャロさんの叫び声に驚きそちらを向くと、カリナさんが鼻字を出してダウンしていた。
なにかぶつぶつ言っていたけど……聞かなかったことにしておこう。
着替えを済まし、ほっかほっかになった体を休めるため、入り口の部屋で座る。
「二人とも~、お風呂上りの一杯よ~」
そう言いながらケリーさんが牛乳を持ってきてくれる。というかお風呂上りの一杯って……。
「ありがとうございます」
「ありがとー!」
りんねえは牛乳を受け取ると、さっそく腰に手を当て一気に飲む。やると思ったよ。
「っぱぁ! おいしい!」
ものすごい笑顔で満足そうなりんねえ。たしかに銭湯といえばこれだよね。ちなみに私はお腹壊しそうなので、ちびちび飲んでるよ。
「おう、そっちはもうあがっていたか」
しばらく休んでいると、ウルゴさんたちが男湯から出てきた。先に上がってたんだと思ってたよ。
「今あがったんですか。結構長風呂なんですね」
「いやぁ、だれの胸が大きいかって話していたら、つい夢中になってな」
「おい、こらクーランド!」
「「「「「へぇ……」」」」」
女性人の冷たい目線が男性人を貫く。というか……。
「まさか、オルランドさんがそんな話を……」
「私はしていません! 巻き込まれただけです!」
珍しくあせるオルランドさん。まぁ分かっていたけどね。
「で、結果はどうなったのかしら~」
「いやぁ、結構盛り上がったぜ。もちろん一番でかいのはマスターだな! ただ誰が一番小さいかで白熱してな。もちろん俺はハスナちゃんだとおも……ってやべ」
「クーランドさん」
「な、なにかなハスナちゃん……」
冷や汗をかいて震えるクーランドさん。そんなに怖がらなくても……ね。
「焼死、凍死、溺死、圧死、フルコース。どれがいいですか?」
「ちょ、ちょっとハスナちゃん! 死ぬのは確定なのか!?」
「そうですか、フルコースがいいんですね、分かりました」
「いや、何も言ってないから! ちょ、ほんとにかんべ……ぎゃぁぁぁぁぁ!」
クーランドさんが断末魔をあげ崩れ落ちる。おしおきの内容はご想像にお任せするよ。
「クー……。本当に馬鹿なんだから……」
キャロさんが額に手を当て呆れている。
「ちなみにウルゴさんは……」
「ちょっとまて、話せば分かる」
「……そうですね、話せば分かりますね」
「お、おう、そうだ、分かってくれたか」
ほっとしているウルゴさん。ふふふ、甘い、甘いよ。
「ちゃんとエリンさんに話しておきますね」
「やめろぉぉぉぉぉ!」
ウルゴさんが叫びながら崩れ落ちる。女の恨みを思い知るがいい。




