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サムライトリップ・イノグランド  作者: TKG
第3部 サムライトリップ・ホームグラウンド
48/88

第48話 サムライの才能


──亜凛亜──




 士君の妹に見つかり、彼女をスカウトしてから二日。


 翌日にはカメラを回収し、私達は大人しく彼女の家から撤退した。

 士君の動向は気になったけれど、彼にさらなる警戒感を与えたくなかったし、彼には「次はない」と言われた。


 なにより、これ以上彼のことを私達が監視する必要性がなくなったからだ。


 なぜなら、彼女が逐一報告してくれるから。



 片梨彼方。



 片梨士の妹であり、文字通り溢れんばかりの才能を秘めたサムライの卵。

 肉親であり妹なのだから、士君に怪しまれることはない。


 彼女の証言から、士君は死士ではないと思うが、妹にすら本性を見せていない可能性はまだありえる。


 なにせ彼は、サムライの才能のある妹にさえその力を秘密にし、隠しているのだから。



 そして、その秘密にしている。というのが厄介だ。


 士力という、人知を超え、自然の法則さえ捻じ曲げる強大な力。その危険性を理解し、その力の片鱗を見せる妹を危険にさらさないよう秘密にしていた。という見方もできる。

 だが、邪魔されたくないなんらかの目的があり、それは無条件で力を貸してくれる妹にさえ話せないことである。ゆえに、秘密にしている。という可能性もある。


 その本心は、士君本人に問わねばわからない。

 だが。それを彼に問うたとしても、答えてくれるわけもない。


 今の力を隠した段階では、どれだけ問い詰めようととぼけられたらおしまいだし、下手につつけばサムライへの不審を買い、死士でもなかった彼を死士へいざなってしまう可能性もある。


 すでに死士であった場合は、そのまま姿を消す可能性さえあり得る。



 現状でのベストは、妹である彼方ちゃんと一緒にそ知らぬ顔でサムライへ勧誘することである。

 その上で、彼に士力が使えると認めさせる。


 しかしそうするためには、彼が士力を持っていることを証明しなければならない。

 それは、彼に認めさせるため以外に、他の人達を納得させるためという理由もあった。


 私と彼方ちゃんは彼が士力を隠していることを確信しているが、他の者達はそうではない。


 まずはそこから納得させなければ、彼にコンタクトとることすら許されない。



 だから私は、彼方ちゃんに協力を求めた。


 ある場所へ士君を連れてきて、士力測定のテストを受けてもらうように!



 そこで士力が確認されれば、彼がサムライであるは証明され、妹の彼方ちゃんと共に正式にスカウトするよう動き出すことができるようになる。


 例え士力を隠し通そうとしても、そこでは隠し通すことはまず不可能!

 多角的に用意された観測機器すべてを回避することは不可能です!


 さあ、士君。


 観念し、鎧谷を倒したその秘めたる士力を白日の元へさらしなさい!


 そうして、力なき人々のため力をふるうのです。

 それが、私達士力をあつかえるサムライの使命なのですから!




──片梨彼方──




 私の世界を変えた出会いから二日。


 私はいつもと変わらぬ生活を続けていた兄さんを誘い、ある場所にやって来ました。



 そこは、一見するとなんの変哲もない総合アミューズメント施設。

 入場料を払えば、一日中パーク内のゲームで遊んでいられる、子供にもお父さんのお財布にも優しい場所です。


 しかしてその実態は、亜凛亜さんの所属するサムライ衆の息がかかった、サムライの才能を秘めた子を見つけるための場所でもあったのです!


 いろんな体感型のゲームには『士力』と呼ばれる不思議な力を探知するなんらかの仕掛けがあり、それによってその人を観察、測定してサムライの才能があるかないかを見極めるんだそうです。



 そうして士力を見たり操ったりする才能のある子を見つけたら、そのご家庭にサムライとしてのスカウトがむかうんだとか。


 こういった施設は全国のいろんなところにあり、時には箱モノだなんだと文句もつけられたりすることもあるようです。

 裏から社会を守るのに必要なのに。と亜凛亜さんは言っていましたが、それはむしろ、魅力の無い施設を作ってしまう方に問題もあるような気もします。


 行政とも協力してやれるのなら、いっそ学校の健康診断で士力は測れないものかなんて思いましたけど、私の思った疑問に気づいた亜凛亜さんがすぐ答えてくれました。


「士力を機械的にはかるとなると、結構大掛かりな機械が必要になるんですよ。なら、士力を感じられるサムライが健康診断についていけばいいという話にもなりますが、学校の数に対してそれを行えるサムライの絶対数が少なすぎますから」


 やれやれと、肩をすくめていました。

 当然、暇を見てスカウトが見て回るなんてこともしているそうですが、人員も時間もまったく足りないそうです。


 人を使わず測る道具もあるそうですが、それも数が少なく、貴重な品物だから簡単には使えないんだとか。


 そもそも、サムライとしての才能を持つ人。士力を操れる才能のある人は千人に一人くらいの割合でしかなく、しかもその千人に一人が百人集まって一人が士力の扉を開けられればいい方なんだとか。


 つまり、単純に計算してサムライは十万人に一人現れるかどうかという貴重な人材なんです。

 私は今、この位置に立っているわけですね。


 ちなみに、この前亜凛亜さんと一緒にウチを監視していたあの女の人は、最初の千人に位置する人になります。

 そういう人達は、従者と呼ばれ、陰日向にサムライ達のサポートをするのだとか。


 そこからさらに、刀と呼ばれる武器をおのが魂から生成して立派なサムライとなれるのはさらに一握り。


 そうして人知を超えたサムライとして活動しているのは、全国でも二百人いるかいないかだそうです。

 彼等の敵である死士をふくめても、現代のサムライは五百人にも満たないでしょう。



 そう考えれば、一人でも才能のあるサムライを見つけたいと考えるのも当然ですね。



 この日本にたった五百人。

 少ないと感じる人も多いと思いますが、サムライの力はとても強力です。


 完全に士力を操りきれない私でさえ、大の大人数人に囲まれても負ける気がしないのですから、真に士力を操れるサムライや死士は一人で街ひとつを壊滅させられる力を持っています。


 ときおり起きる大規模な事件や事故。


 その中にはいくつか死士が引き起こしたものもあるそうです。

 事件や事故としてしか発表されないのは、士力を感じられない人には、それが人が引き起こした現象だとは理解できないから。


 そもそも、士力を感じられない人に、士力を纏ったサムライの姿をとらえることはできないのですから。


 紫外線や赤外線が見えないのと同じように、士力という力は人知を超えるのです。


 だから、正確に報道されたところで。いえ。報道する人達さえ知覚できないんですから、サムライでもない人にその存在が正確に伝わるわけありませんね。


 人というものは、見えないものは信じないものですから。



 ともかく、そうして人知れず社会を守るサムライは、様々な特権を得ることができます。


 この前の亜凛亜さんのように、盗聴盗撮をしても捕まりませんし、多少の無茶なら平然と通るようになります。

 それはまさに社会を裏から牛耳る特権階級。


 危険は大きいですが、得るものも大きいということです!



 サムライになれば、私の夢にも大きく近づけます。

 法を変えねば実現出来ないようなことも、サムライ同士なら関係ないんです!


 だから兄さん。私の夢のために。私達の将来のために、絶対サムライとして認められましょうね!




──ツカサ──




 週末。妹の彼方にある場所へ遊びに行こうと誘われた。


 なぜ友達ではなく俺を誘う? と思ったが、なんでも家族限定のペア優待券を母さんから貰ったのだそうだ。

 父さんも母さんもその日は二人で出かけていないので、残る家族は俺と彼方だけ。


 貰った券を無駄にするよりはと、あいつは俺を誘ってくれたようだ。


 高校に入ってしばらく一緒に遊ぶなんてこともなかったし、せっかくのタダ券を無駄にするのももったいないから、一緒に遊びに行くことを了承した。

 決して俺に友達がいないわけではない。予定がからっきしだったわけでもない。


 タダ券を無駄にするのがもったいないからだというのを心にとどめておいて欲しい!



 ついた場所は総合アミューズメント施設だった。


 家から結構近い場所にあったんだけど、今までまったく行ったことのない場所だった。

 近くて行きやすい場所なのに、なぜ来たことがなかったのかといえば、俺は妹と一緒にここに来るのを避けていたからだと言ってもいい。


 ここの売りは体感型のゲーム。


 お家ではできない大掛かりな画面を使ったり棒を振り回したりしてスコアを出したりするところだ。


 そんな所に妹と一緒にやってくれば、間違いなくその差をまざまざと見せ付けられた上、周囲の人達にその結果をさらされる。



 自慢じゃないが、俺は天才の妹に運以外の勝負でマトモに勝てたためしはない。

 学校の成績はもちろん、運動やゲームにおいてもだ!


 なんせあいつは、本物の天才だから!


 とはいえ、俺ももう高校生。

 天才の妹と戦ったとしても、大人の広い心で受け流すことが出来るようになった。


 昔はちっぽけなプライドを守るため、負けが濃厚となってきたらさっさと降参したりもしていた。

 このままやればひょっとしたら勝てるかもしれないけど、俺はお兄ちゃんだから妹に勝ちを譲ってやるぜなんて体をとりつつ!


 あの頃は本当に子供だった。例え負けたとしても、妹に勝ちを譲ってやったんだから俺は負けてないと、変なプライドを守っていたんだから。


 だが、今は違う。異世界も旅して、上には上がいると学んできた。

 天才のマックスや、天変地異も起こすという異世界の戦士を見て、そんなちっぽけなプライド、生きるためには無意味だと思い知ったのだ!


 だから俺は、兄の威厳を守るため負けたフリなどせず、正々堂々と戦い、負けても笑うことができる。


 今なら、きっとできる……!!



 お兄ちゃんもう、大人だから!




 施設に入り、俺は彼方と一緒に色々な体感ゲームで遊んだ。


 大きな画面の中で動く風船をレーザーガンで撃ち落すゲームとか、個別の部屋に入って画面いっぱいに映し出されたパズルを身振り手振りと解いたりとか。


 俺は普通の結果しか出せなかったが、彼方はそのほとんどでハイスコアをたたき出していた。


 もちろん、彼方に注目が集まる。



 今までの俺なら、そうして注目が集まった彼方に嫉妬の視線もむけてしまったところだけど、今の俺は違う。

 成長した俺は、妹の彼方を見て、優しく微笑むことが出来た。



「できるようになったな」



 ちょっと上から目線なのは許して欲しい。

 いくら成長したといっても、やっぱりまだ俺は子供なのだから。



 しっかし、俺と同じく初めてプレイするものばっかりだってのに、軒並み最高得点をたたき出して行くんだから、ウチの妹、ホント天才だよ。



 ただ、他人が彼方のスコアを見て、「すげー」と言うのを耳にするのは、ちょっとだけ優越感なのは秘密な。




──片梨彼方──




 総合アミューズメント施設に偽装したサムライのテスト施設へ私と兄さんは足を踏み入れました。


 様々な体感ゲームがありますが、それぞれが士力を感じられるかどうかや操る適性があるのかなどの測定をする装置でもあるそうなんです。


 私は、亜凛亜さんに言われたいくつかのゲームを兄さんとプレイします。



 前にも話しましたが、まがいものの私とは違い、兄さんは本物の天才です。


 確かに、勝敗や勝率で言えば、私の勝利数の方が圧倒的に勝っています。


 ですがそれは、見た目だけ。


 私といかなる勝負をしても、兄さんは自分で負けを認めます。

 なにも知らない人が見れば、もう打つ手がなかったり、敗北がほぼ確定した状態に陥ったからです。


 でも、違うんです。


 一見すると兄さんは詰んでいるように見えるその状態でも、兄さんは必ず、そこから逆転できるルートを残した状態で私に勝ちを譲ってくれているんです!


 そのルートを通れば必ず勝利できる道があるというのに、兄さんは負けを認めてしまうんです。



 多くの人はそのルートを見つけることさえ出来ないでしょう。

 兄さんもひょっとすると、私は気づいていないと思っているのかもしれません。


 ですが、私は気づいています。


 兄さんは勝てる状態をあえて捨てて、妹である私に勝ちを譲ってくれているのだと……



 勝負には勝っているはずなのに、私は兄さんに一度も勝っていないのです!



 兄さんは優しい人だけど、厳しい人でもあります。

 兄さんは、普通に負けるより、ずっと厳しいことを私にし続けています。


 でも、だからこそ私は兄さんをいつも追いかけていける。


 天才なんて褒められてもだらけず、その偉大な背中を追いかけて、上を目指して努力し続けることが出来るんです!



 皆、私のことを天才なんていうけれど、本当の天才は、その本当の力を皆に見せず、表に出さない人のことを言うんです……!



 今回も、その結果はかわりませんでした。


 点数上では私の勝利。

 私は歴代一位という点をとりましたが、兄さんはどれもほぼ平均です。


 相変わらず兄さんは、私に華を持たせてくれる。



「できるようになったな」


 ゲームをプレイしていた時、兄さんにそんなことを言われました。


 兄さんに褒められた。

 それは、とても嬉しいことです。


 その一言だけで、私は天にも上る夢心地になってしまいます。


 だって、あの兄さんに認められ、褒められたんですよ。


 それってとんでもないことなんなんですから!



 でも、それってやっぱり兄さんは気づいてます。



 私に変化があったことに。

 士力のことを知り、そのコントロールを手にしようとしていることに。


 でなければ、無口な兄さんがあんな優しい目をして、あんなことは言いません。

 兄さんは言葉少なめだけど、発する言葉は一つ一つにとても重要な意味がこもっているのだから……!



 一通り、兄さんと一緒に体感ゲームを回り終えました。


 今回予想外に褒められたりしましたが、今回の目的はそれとは違います。

 今回の目的は、兄さんが隠す士力をつまびらかにるすこと!


 亜凛亜さん。指示通り、兄さんにテストを受けさせましたよ。


 結果、どうでした!?



 一緒にサムライになれる。

 そう信じ、私は亜凛亜さんが見ているだろうカメラに視線をむけます!




──亜凛亜──




 アミューズメント施設兼士力測定施設の管理センターで、私は二人がゲームをはじめるのを待つ。


 そこは、サムライのことを知らない人達がひかえる通常の警備室や事務室ではなく、士力測定の結果を示したり、死士が現われた場合のため指示を出すサムライのことを知る者達がひかえる場所。

 もちろん、サムライである私はそこへ自由に出入りすることが可能です。


「どうしてこんな時期に刀を持つサムライが?」

「なんでも、才能ある人が測定を受けに来るかもしれないそうです」


 男女のオペレーターが、私の存在に気づいてひそひそと話す。


「ああ、だからか。サムライ本人がわざわざこんなところに来るなんてどうかと思ったぜ」


 確かに、自分の目で士力を感じられるサムライが士力の才能を確かめるこの場に来ることは滅多にない。

 サムライであるなら、その才能のある者は自分で見て探せるからだ。


 ここにサムライが来るというのは、士力測定器に反応があり、サムライの卵が見つかったあとであることがほとんどだからだ。


 だから、彼等が今、私がここにいるのを不思議に思ったのも当然でしょう。



「でも、本物のサムライが見れるなんて、私達は本当にラッキーですね」

「まったくだ。刀を具現化できる実力を持つ人なんて死士が現れた時か、御前試合でなけりゃ目にも出来ない雲の上の人だもんな」


「しかも、あの凛とした立ち姿。綺麗で、かっこいい。年下ながらお姉さまと言って慕いたいわ!」

「お、おう(どんびき)」



「……」


 オペレーターの人が私の方をちらちらと見ながらなにかを言っている。

 皆さん、サムライは耳もいいんですから聞こえていますよ。


 恐れられビクビクされるよりはマシとはいえ、ミーハーな目で見られると少し恥ずかしいので止めてください。



 気にしないフリをして監視カメラの映像を見ていると、そこに注目の二人が姿を現しました。


 来た。片梨彼方と、士の兄妹だ。



 二人はなにかに警戒した様子もなく、アミューズメント施設の体感型ゲームをはじめました。


 ついに、この時がきましたね。



 さあ、二人とも。その才能を世に示し、サムライとして、この世界に足を踏み入れるのです。

 共に、この国を護りましょう!



 二人が最初にはじめたのは我々の中で視力検査と呼ばれる士力検査だ。


 双眼鏡のような形をした機器を覗きこみ、そこに現われる三つの色と、指定される色とを機器にある色と同じ位置のボタンを押すという、正確さと反応の速さでハイスコアを狙うシンプルなゲームである。


 ミスがなければないほど指示が早くなり、点数も高くなる。

 反射と目が良い人なら、とても高い点数を出せるゲームだ。


 とはいえ、ここで重要なのは点数の高さではなく、見て、指示を聞いて押した場所が重要になる。


 このゲームは、士力を見える人と見えない人とでは指定された場所の見える位置が違うのです。

 何度も繰り返し、偶然を排除すれば、結果その人が士力を感じられるかいないのかがわかり、サムライの資質があるかどうかわかるのだ!


 これは、士君のように士力を隠す人にも対応した測定器。

 どれだけ士力を隠そうと、士力を見るという行為は無意識に行ってしまう行為。


 力を隠そうとあえて低い得点をとろうとしても無駄なのです!


 実際は、表示されたターゲットがどのように見えているかが問題なのだから!



 このように、ここの測定器は隠そうとしても無意識に行ってしまう行為の中に現われる才能をあぶり出し、隠そうとしても隠し切れないよう配置されているのです!


 これで、彼の才能は間違いなく暴かれる!




 ゲームがはじまり、即座に資質ありとの反応が出た。


 私の方を見ていたオペレーターの方も驚いて仕事に戻る。

 その反応を出したのは、もちろん彼方ちゃんの方だ。


 隠す気のない彼女は、はじまってすぐ、サムライの素質。士力を感じ取っていると判定された。



 ここまでは想定内。


 あとは……



「おー、ホントに出たぜ」

「凄い新人が現われるかもしれんと聞いたが、まさか本当に現われるとはな」


 順調に得点を伸ばす彼方ちゃんの様子を見ていると、部屋の入り口で声が上がった。


 振り返り、そこにいる人達を見て、私はたいそう驚くことになる。



 そこにいたのは、二人のサムライ。


 しかも彼等は……!



「名刀十選……!」



 思わずその名が漏れた。



『名刀十選』

 それは、この国を護るサムライ達の中で、最も優れた十名に与えられる称号。


 いわば、この日ノ本で最も強い十人。

 その十人のうち二人がこの場に現れたんですから、そりゃ驚くってもんです。


 ちなみに、その十選の序列四位。第四刀が私の師匠。刀十郎先生なんですが。



 そんな彼等が、なぜこのようなところに?


 先ほど説明したとおり、サムライがここに姿を現すのはとても珍しい。

 いくら期待の新人がくると耳にしたとしても、名刀十選ともなる人達がここに来るなんて普通はありえない。



「おう。亜凛亜。こんなところにいたのか」

 序列第九位。第九刀。『長居ながい 研太郎けんたろう』さんが私を見つけ声をかけてきた。


 身長は百六十にも満たない小柄な方ですが、その剣術の腕は先生にも匹敵すると言われています。

 年齢は私より五つくらい上の24……だったような。


 もう一人は、序列六位。第六刀『叢雲むらくも 雷太らいた』さん。


 同行する長居さんとは対照的に、百八十はある身長と恵まれた体格を持つサムライです。

 年齢は三十手前だったはず。



「刀十郎さんの見舞いに行ったついでだ。アバラが折れているというのに、変わらないな、あの方は」


 やれやれと、第六刀の雷太さんがこの場に来た理由を教えてくれました。


 その言葉に、私も納得します。



 先生の見舞いのついでに、なにやら噂になった新人発掘現場を見に来たということですか。


 士君を探していることは秘密にしていますが、期待の新人がいるというのは今日を待つ間、見舞いがてらに報告していますからね。

 情報源は先生。むしろこちらはおまけ。それなら納得です。



「……」


 修正。

 サムライは三人いました。

 雷太さん達の影に隠れて、もう一人。


 彼女は、名刀十選ではない、私と同じ平サムライ。

 名は『天通てんつう こころ』。長居さんと同じ年齢で、身長は百七十近くある長身の女性です。


 私より、高い。


 彼女はサムライではあるけど戦士ではなく、『伝心』という特性を持ち、知っている人にテレパシーを送り声を出さず会話が出来る力を持っています。


 基本的に喋らず、その意図はフリップや携帯を用いて伝えることで、特性を使用する際の範囲と対応人数を増やし、戦闘中に皆の意志を統一するという役目を持ちます。


 集団戦では非常に重宝されますが、基本単独行動の多いサムライの中では活躍の場はあまりなく、名刀十選には選ばれていません。


 顔を出したのは、この三名。



「ああ、懐かしいな。俺もこれでサムライの才能を見出されたんだっけ」


 モニターを見上げ、彼方ちゃんがプレイしているゲームを見て、長居さんが懐かしそうに呟いた。


「そういえば、現在の最高得点も長居さんでしたっけ」


「マジか。あれからまだ誰も更新してねぇのかよ。まいっちまうなー」



「結果、出ました!」


 話をしていると、オペレーターの方が声をあげました。


 驚きの感情が混じる声に、私達も視線をそちらにむけます。



 結果は……



 それは確かに、驚きの結果でした。



 片梨彼方。

 彼女のサムライとしての素質は当然有。


 驚くべきはその士力の予測値。

 かなり正確に士力判定に成功しているゆえ、かなりの士力を秘めていると予測されたのだ。


 通称視力検査では士力が見えるか見えないかがメインであるため、その士力を正確に測ることは出来ません。


 それでも秘めた才能は高いと予測されるのですから、その才能はすさまじいといえるでしょう。



 名刀十選の方も、この結果に驚きを隠せませんでした。


 なにせ、序列九位、第九刀の長居さんの出した成績をこえ、その時測定された予測値をはるかに超えていたんですから。

 それはつまり、将来性は彼と同等。いえ、それ以上ということになります。



 でも、私が驚いたのはそこじゃありません。


 そっちじゃないんです。



 皆が彼方ちゃんに注目する中、私だけは一人で別のことに動揺していました。



 彼方ちゃんに素質があるのはわかりきっていたことです。

 彼女をここに呼んだのは、その兄にして鎧谷を士力も使わず屠った男。


 その彼が、士力を自由に操ることのできるサムライであることを証明するためなんですから!



 だというのに……



 結果は、彼が士力を見えている可能性はゼロ。サムライの素質はまったくないということでした。


 これは、機械的にミスを測定し観測した結果出された結論。意図的にミスをしていれば逆にそれを観測し才能を暴いてくれるというものであるにもかかわらずだ。

 そうして暴かれた答え。それは、彼はただの一般人であるということだった。


 ありえない。


 士力を意図的に隠していたとしても、視界は無意識に変えることは出来ないはず。

 普通の人に例えるなら、彼は自分の意思で青色だけを見なく出来るようなもの。


 そんなことのできるサムライを。いえ、人間を、私は知らない!


 どんな人間も、見えてしまうモノにはどうしても引っ張られるはず。


 わかっていても避けられないのがあのゲームのキモだというのに……!



 つまり、この機械を信用するなら、彼は士力の見えていないただの一般人ということになる!!



 いえ。落ち着きなさい亜凛亜。


 まだそうと決まったわけではありません。

 ここには視界だけでなく、聴覚、感覚、触覚など、様々な無意識にかたりかけ、士力を感じるかどうかを確かめるゲームがあります。


 妹である彼女にもそれらを回るよう指示してあります。

 どれも無意識的に士力を察知したり感知したりさせるものばかり。いくら彼が士力を隠すのが優れていようと、その全てを回避するのは不可能。


 その中でたった一つでも才能アリの判定が出れば、彼が士力を隠していると証明出来るはず!



 私以外の皆の視線は、次のゲームへむかう彼方ちゃんにむいていた。

 ゲームを行えば行うほど士力の測定が進み、より正確な潜在能力が出せるのだから、その素質の大きさに誰もが興味をひかれているのだ。


 当然、最初の結果で一般人と判断された士君には興味の『き』の字もむいていない。

 才能ある子が現われるのは珍しいことだし、才能ない子はいて当たり前だからだ。



 そして、二人は次のゲームにとりかかる。


 今度は耳。


 才能があればあるほど聞こえない音が聞こえるというものだ。


 これもまた、士力を操れるならば無意識的に耳に入ってくる。

 それに、反応する。


 今度こそ。今度こそ、その隠された士力が暴かれるに違いありません……!



 でも、結果は同じでした。


 妹はハイスコア&素質大。

 兄は凡人。



 なら、次こそは!


 凡人。



 まだまだ!


 凡人!



 次こそ!

 凡人。


 次!

 凡。


 その次も。

 その次も次も次もぉ!


 彼方ちゃんがたたき出す結果に皆が盛り上がる中、私は目の前が真っ暗になったように感じた。



 おかしい。


 彼が本当に一般人なら、あの時見た光景はなんだったというの?


 でも、何度も何度も確かめた結果、彼に才能がないと出たのは確かだった。


 いや、諦めてはダメよ、亜凛亜。



 ……こうなったら最後の手段!



『ヤタノカガミ』



 人間の感覚以外で対象の士力を正確に測れる唯一の道具。


 とても貴重なシロモノなので、死士に奪われぬよう厳重に警備され、申請してもそう簡単に許可はおりませんが、今回は彼方ちゃんの資質を正確に測りたいということを申請したらあっさりと通りました。


 名刀十選の方も興味を持つほどの稀代の才能ですから、さらに上の方も興味津々だったようです。



 おかげで一緒にいる士君の秘密も暴くことが出来ます。


 さあ、今度こそ。


 今度こそ、君の才能を世に知らしめるんです!



 ヤタノカガミが解禁され、その鏡に彼方ちゃんと士君の二人が映し出された。



 結果は……!



「すげぇ……!」

「まさか、これほどとは……!」


 ヤタノカガミによって記された値を見て、場にいた全員が驚きの声をあげる。


 皆が驚いたのは、さっきとかわらず彼方ちゃんの結果を見たからだった。



 彼女示した才能は、まさに桁外れだった。



 片梨彼方の士力。


 その総量は、『雲客うんかく』という名の位にあった。

 それは、天霊、雲客、頂、高嶺、岳麓、無銘、世人と七階位にわけられたランクのうち、二番目に高い位置にある位。


 わかりやすく、上からS、A、B、C、D、E、Fと表記すればわかりやすいでしょうか。


 最高位であり、人の身では到達するのは不可能と言われている天霊はここ数代誰も到達していないという幻の位であり、実質的な最高位となっているのがこの雲客の位だ。


 ちなみに、天霊とは空よりさらに高いところに存在する者ということで、いわば神を現し、雲客とは雲の上にいる人という意味を持ってつけられた。

 地を離れ、天に最も近い者ということを現している。


 現サムライの中でも、この位にあるのは名刀十選に選ばれた第一刀と第三刀の二人だけなのだから、彼方ちゃんの士力がどれほど驚異な潜在士力を秘めているのかわかってもらえると思います。



 彼女はまさに、稀代の才能を秘めた、サムライの卵!



 もっとも、士力の高さイコールサムライの強さでないのは、先の戦いを見て知っているとは思いますが。

 刀の特性やそこにかけられた制限。対戦相手との相性などで、サムライの強さは相対的に変化します。


 もちろん、基礎となる士力が高ければ高いほどかける制限は少なく、高い威力の特性を使えることにもなるので、士力が高いに越したことはありませんが。


 そんな才能をもつ子が現われたのだから、名刀十選の方が驚くのも当然。


 下手をすれば、この場にいる誰よりも潜在能力が高いかもしれないのだから。



 私以外の全員が、彼方ちゃんの結果を見て唖然とする。



「うそ……」


 一方で私。

 最後の切り札の結果を見て、信じられないと声をあげてしまった。


 他のみんなは、この声は彼方ちゃんの位を見ての声だと思っただろう。

 でも、私が信じられないのは、士君の結果を見てだ。


 ヤタノカガミという正確無比な、神器にも等しい測定器を使ったというのに、結果が変わっていない。


 いや、それどころかもっと絶望的な値が私の前に示された。



 彼の士力は、『無』だった。


 零。無。0。ゼロ。


 どう見直しても結果は変わらない。



 高い数値や平均などの基準がわからなければ、数値の高さや凄さはまったく伝わらないでしょうが、この数値だけは基準などなくともはっきりわかるはずです。


 だって、それ以下はないという数字ないのだから!


 七つの階位どころの話ではありません。

 それ以下。士力を操るどころの話ではない値なのだから。



 だから私は、唖然とする。



 ヤタノカガミという正確無比な道具で測られた結果、現われた数字は無。


 それは、彼には欠片もサムライの才能がないということなのだから……



 この事実に、私は刀十郎先生に破門を言い渡されたかのようなショックを受けた(亜凛亜的最上級ショックの例)



 彼がサムライであると証明するため、いくつも検査をし、さらに最終手段でヤタノカガミまで持ち出したというのに、結果は彼がサムライでない、士力を操る術を持たない、ただの少年であることの証明となってしまった。


 ありえない。

 私が見た川べりのあれも、鎧谷の一件も、監視の時のアレも、すべて士力ともサムライとも関係ないというの?


 それこそありえない。

 わけがわからない。



 でも、結果が全てを物語っていた。


 私がいくら違うと言っても、それは覆らない。

 明確に、結果は出てしまったのだから。


 私はもう、この事実を受け入れるしか……



「ほう。これはまた、奇天烈な位を出した者が現われたようだな」


 また、入り口から誰かの声がした。

 ふらりと、誰かが入り口から姿を現す。


 二十代後半の、体躯のいい男児。


 入ってきた人影を見て、名刀十選をふくめた私達全員が驚いた。



「七太刀さん!?」



 そこに現われたのは、名刀十選の第一位。第一刀。『七支刀』の『七太刀ななたち 桃覇とうは』さんだった。


 今、この国で最強のサムライ。

 そして、彼方ちゃんと同じく雲客の位に位置する士力を持つ二人のサムライのうちの一人。


 その彼が、入り口から二人の素質を見て、感心したような声をあげたのだ。



「七太刀さん。どうしてこんなところに!?」


 第九位の長居さんが驚きつつ、嬉しそうな表情を浮かべる。

 第一刀である七太刀さんを慕う人は多い。


 彼は、その中でもとりわけ七太刀さんを慕うサムライだった。



「もちろん、刀十郎さんの見舞いに行った帰りだ。なにやら予感がしてここによってみれば、こんな場面に出会えるとはな」


「ええ。三人目の雲客の位ですからね。あの若さでこの才能。こちらもうかうかしてはいられないよ」


 第六刀の雷太さんが、同意する。


 だが、七太刀さんはなにを言ってるんだ。といわんばかりに怪訝な表情を浮かべた。



「おいおい。確かにあの娘の才能は飛びぬけているが、それは決して奇天烈なことではない。私がおかしいと言ったのは、その隣にいる男子の方だ」


 七太刀さんが指差した先にいたのは、士君だった。


 皆の視線が、モニターの先にいる士君のもとに集まる。



 この時初めて、私以外のサムライが彼に注目した。

 でも、皆で首をひねる。



「才能がないというだけで、別におかしいことはないと思いますけど……」


 長居さんが首をひねる。

 当然の話です。士力がないというだけで、あとは普通の少年なのだから。


 そして、士力を操る才能がないというのは、ほとんどの人に当てはまることなんですから。



「いや、皆なにか勘違いしていないか? 上ばかり見ていては、その足元にある大岩にも気づかずぶつかってしまうぞ」



 七太刀さんの言葉に、全員が思わず足元を見た。

 もちろん、七太刀さんの言いたいことはそんなことではない。


 七太刀さんはやれやれと肩をすくめた。



「いいか、皆。ヤタノカガミは士力を正確に測る貴重な品だ。正確に士力を読み取り、位を出す。そこに記されるのは、才能の有無だけでなく、どれほどの士力を発しているかということだ。すなわち、『無』というのはありえない」


「っ!」

「そうなんですか!?」


 私があることを思い出し、長居さんが驚きの声をあげた。


 そういえば、そうだ。



 士力。

 それは、すべての存在に宿る、世界の理を司る、すべての神秘の根源と言われている力。


 内に秘めたその士力の門を開き、操る術を身につければ、世界の法則すら覆し、時に神の御業とも呼ばれかねない人知を超えた力を発揮する。


 その力は、士力を纏う者を中心とした新たな世界のルールを響かせると言ってもよく、その旧い法則に縛られ、干渉出来ぬ者には感じることさえかなわない。

 同じ場所にいるはずなのに、違う次元の世界にいることとなるのだ。その資格がなければ、その存在を認識できなくなるのも当然の道理だった。


 しかし、どんな生き物も。いや、無生物さえ、そこに存在する限り、その内に士力はある!


 例え士力をあつかえずとも、この世に存在するモノならば、必ず士力を内包している。

 この世界の理の中で生まれたのだから、どれほど小さく、限りなくゼロに近い微小な量であろうと、士力が存在していなければおかしい!



「そうだ。ヤタノカガミに映し出される『無』とは本来ありえない。0とはすなわち、この世の者ではないということを意味するのだから」


 それは、もののけや幽霊さえ超えた、神霊の類であり、サムライでさえない正体不明の存在ということになる。


「もっとも、実際に士力が無い。この世のものではないというのもおかしな話だ。あの少年はそこにいるのだからな。つまり、あの彼はこの検査をすべて見切り、士力を完全に隠し通したということになる。名刀十選となった君達の目さえ欺いてな」



 ごくりっ。

 七太刀さんの言葉に誰かが息をのんだ。


 今まで誰も注意していなかった存在が、たった一つの事実で得体の知れない存在に変わったのだから当然だろう。

 しかも、はるか高みにいるのでなく、地の底をはいずる、歯牙にもかけないはずの者だったのだから、その驚きはよりいっそう大きい。



「だが、コントロールが完璧すぎたようだな。士力を完全に無にするなど、私にも出来ない芸当だ。無とはすなわち全でもある。これを意図的にやっているとすれば、彼は私以上のサムライなのかもしれない。見事なものだな」


 士君を見て、七太刀さんは笑った。


 アレを見て笑えるなんて、さすが第一刀。私達など、あなたを超えるかもしれないなんて聞いただけで戦慄したほどだというのに!



 笑う七太刀さんを見て、私達は表情をこわばらせるしかできなかった。

 第一刀である七太刀さんが感心するなんてそうあることではない。私ははじめて見た。


 それを、あの士君がやってのけてしまったのだから。



 その事実に、私達は畏怖さえ覚えてしまう。



 同時に、私は安堵も覚えていた。



 七太刀さんの見識のおかげで、私の見こみはやはり間違っていなかったと確信したからだ。


 まさか、本当にすべての検査を見切り、その実力を隠したまま終えていたとは予想だにしなかった。

 だが、鎧谷の弱点を士力を用いず見切り、撃破したその観察力や洞察力があるならば、その可能性も十分にあり得る話じゃないか。


 私はまだまだ未熟だと、思い知らされる。



 だが、彼もまた完璧すぎた。

 これで、彼が士力をコントロールしていたのは明らか。


 ゼロとはすなわち、士力を操るすべを持つという証に他ならない!



 これで、士力を操れることを理由として堂々とスカウトに行けます!



 どうして彼が士力を隠すのかはまだわからない。


 それを明らかにするためにも、接触は細心の注意を払わなければならないだろう。

 私達は、これでやっと、彼の本音を探るための大義名分を手に入れたに過ぎないのだから。


 小さな前進だが、大きな一歩だった。


 あとは、ゆっくりとでもいいから信頼を勝ち取り、彼をサムライの側に引き入れればいい。

 少なくとも、彼は敵対しなければ害はないのだから。


 それは、妹である彼方ちゃんがいい子であることが証明している。


 焦りは禁物。

 ゆっくりと、その真意を確かめ、不信があるのならとりのぞいていけばいい。



 私はそう、心の中でガッツポーズをとり、飄々と去って行く第一刀。七太刀さんに心の中で頭を下げた。



 でもこの時。私は気づいていなかった。


 サムライの中に、この不審な動きをする彼を歓迎していない者がいることに……




────




 ぎりりっ!


 そう、歯がきしむほど歯軋りするのは、名刀十選の序列九位。第九刀、長居研太郎。



 突如として現われた二人もの才能ある若者。


 さらにそのうちの一人は、敬愛する第一刀。七太刀桃覇に感心されるほどの存在。


 彼にとって、ぽっとでの若造が敬愛する人に感心されるなど、あってはならないことだった。



(俺でさえ、感心なんてされたことないってのに!)



「……片梨士。その名、その姿。覚えたぞ! 貴様の化けの皮、俺が必ず暴いてくれる!」



 名刀十選第一刀。七太刀桃覇の言葉により、一瞬にして才能豊かな少女の存在が霞み、路傍の石でしかなかった少年の存在が光り輝いた。


 この場にいた全員が、無能の烙印を押されかけた少年の名と姿を頭に刻みこむこととなったのである。



 そしてこれが、後に刀も士力も見せず敵を倒す、『無刀』と呼ばれる伝説のサムライが初めて世に認識された瞬間だった……



 そう。この時から、伝説のサムライ。『無刀』片梨士の伝説ははじまったのである……!




 おしまい

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