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人馬 episode.1&side

 種は、小さな鉢に植えてあげた。エレメントで育つわけだから肥料は必要ないだろうけど、裸のままにしておくのは忍びなかったので、卵を温めるように、柔らかい土で覆ってあげたかったのだ。

 シュテルと、今後の方針について話し合う。

「最後の十二柱達と会って、溜まっていたエレメントも大分消費されたからな。十二柱との縁を深めるにも、エレメントが足りない。一先ずは、採取と合成と依頼を繰り返して、エレメントを溜めるか」

 そんな訳で、翌日はシュテルと一緒に採取に出かけることにした。


 到着したのは、砂漠。

「人馬宮のシュッツェとの縁で生まれた、ハイス砂漠だ。あまり遠くに行かないように気をつけろ。迷うぞ」

「こわい事言うなあ……。気をつけるよ」


【採取アイテム】

・《砂漠の砂:細かくて、結構硬い》

・《サボテン:オアシスに生えていた。物によっては食べられる》

・《蜃気楼:逃げ水を生じるにくい奴》

・《砂漠の凍夜:夜の砂漠は意外と寒い。尋常じゃなく寒い》

・《サソリのしっぽ:毒がある。危険》


【合成アイテム】

・きれいな水+砂漠の凍夜=《氷:夏場にはありがたい》

・コウモリの羽+サソリのしっぽ=《怪しい薬:効果は不明》

・蜃気楼+先人の足跡=

 《危うい道標:道しるべとしての効果は五分五分》

・光る石+砂漠の砂=

 《もっと光る石:光る石を砂で磨いたもの。とても綺麗》


【酒場の依頼】

・氷:酒場で使ってもらえた

・もっと光る石:宝飾品・珍重品の入手依頼達成


【現在の保有エレメント】

・火:0

・気:0

・水:50

・土:97


「そういえば」

 と、思い出したようにシュテルが切り出した。

「あんたのおかげで、街も徐々に発展してきてるみたいでな。最近、学校……というか研究所が出来たみたいだぞ。なんでも、『大いなる技術』について研究しているそうだ」

「大いなる技術?」

「ああ。神の御業(みわざ)に近づこうとする研究だそうだ。あんたが教えに行ってやったらどうだ?」

「ええ!? やだよ。こんな半人前以下の神様じゃ皆もがっかりでしょ」

 もちろんシュテルも冗談で言っているのだ。私もほどほどにあしらう。

「でも、そうか。そんな風に、地上の人たちも知識の探求をしているんだね……。私ももっと頑張らないとな」

「そんな風に思うのは、いいことだな。無闇に焦る必要はないが、着実に、やっていこうぜ」

「――うん!」

「そろそろ、エレメントも溜まってきたことだし、十二柱を誰か連れて採取に行くか。火のエレメントが不足気味だから、採取地は火の加護を受けた場所にしよう。獅子宮のレーヴェとの縁で生まれた採取地、ヘフティ火山だ」

「今日は、誰と一緒に採取に行くの?」

「ああ……、今回は向こうから立候補があったんでな。そいつに来てもらう」

「立候補??」

「ああ。主神と話がしてみたいんだとさ。――人馬宮を司る、シュッツェだ」


「よ、主神。初日ぶりだな。元気にしてたか?」

「シュッツェさん。うん、大丈夫です。ありがとう。そちらこそ」

「俺? 俺は元気じゃないときなんかないって」

「あはは、そんな感じするかも」

「てか、俺にさん付けなんてしなくていいよ。シュッツェって呼んでくれ。敬語もなしなし。俺の態度もこんな感じだしさ。あー、もし気悪くさせてたら、ごめんな」

「……そう? うん、じゃあそうさせてもらうね、シュッツェ。気悪くなんてとんでもない。これからもそんな感じでいいよー」

「そ? じゃあお言葉に甘えて」

 そう言って、にっ、と笑う。爽やかお兄ちゃんって感じのシュッツェ。最初に会ったときから、すごくフランクに私と接してくれる。私も久しぶりに会うのに、シュッツェにはなんだかすごく接しやすく、つい友達感覚で話してしまう。

 なんだか、不思議と近しい気分を感じさせる人だ。

 しばらく採取を進めてから、私はふと今朝のシュテルの言葉を思い出し、シュッツェに聞いてみた。

「そういえば、今日はシュッツェの方から、同行に立候補してくれたって聞いた。何か用事があったの?」

「んー? ……ああ、そうそう。まあ、用事って程のもんじゃないんだ。ちょっと主神と話がしてみてーなって思っただけ」

「話? なんだろう」

「そうだな。ちょうど採取のキリもいいところだし、その辺で座って休みながら、世間話でもするか」


 私達は適当な岩場を見つけ、そこに腰掛けた。

「シュテルから聞いたんだけどさ、主神って、日本の出身なんだって? どう? 最近の日本って。また何か新しい技術とか発明された?」

「どう、って言われても……。景気はちょっとずつ上向いてるけど、あんまり良くはないかな。ロボットは、すごく進化してて、ちょっとした会話もできる女の人とか発明されてる。後は、今度PS4が出るんだって。PS3もまだソフトが充実してないっていうのに――」

 と、そこまで話したところで、私はふと疑問に思った。

 あれ? なんだかシュッツェの口ぶりが……。

「ねえ、シュッツェ」

「ん?」

「なんだか、不思議な話し方をするね。まるで地球とか日本のことを知ってるみたいな……」

「ああ、それ。主神と話してみたいって思ったのは、それでなんだよなー。実はさ、俺も主人と一緒で、地球の出身なの」

「え……えええっ!!?」

「はは、びっくりした?」

 ……びっくりした! なんとなく、十二柱の人は元から神様だったと思ってたから、皆の昔のこととか、考えたことがなかった。

「俺ら十二柱もさ、元々は普通の人間だったの。それが主神と同じようにある日突然召喚されて、こうやって神様をやってるって訳。もちろん、俺が呼び出された時代は主神よりずっとずっと昔だけどな。昔過ぎて、よく覚えてないくらい。でも、やっぱり出身星のことは興味があって、時々様子をのぞいてたりしたんだよな。特に日本のゲームはすっげー面白いからさ、こっちでも出来たらいいのに、なんて思った。あ、誤解すんなよ。仕事はちゃんとやってるから! はは、説得力ねーかな」

「ふふ、そんなこと、誰も言ってないでしょ。ちゃんと信じてるよ。でも、そうだったんだ……。皆が元々は人間だったなんて、かなりびっくりだよ。そんなこと、考えたことなかった」

 ん? ちょっと待って……?

「ね、ってことは、みんなの外見年齢って、人間だった時の見かけのままってだけで、実際にはすごく長く生きてたり、する……の?」

「ああ。まあ、神になってからの期間は人それぞれだし、神になってからを生きてるっていうのかどうかは微妙だけど、精神年齢で言えば、少なくとも皆主神よりは上なのは確かだぜ」

 がーん! じゃ、じゃあ、あんなに可愛らしいクレイくんも、あんなに子供っぽかったサーマくんも、皆私より年上ってこと!? うわー、完全に年下だと思ってたから、随分馴れ馴れしい態度をとっちゃった……。しまったな。

「あ、その顔は、失礼な態度をとっちゃったーとか考えてるだろ。そんなこと、考える必要はないからな。皆、気分的には人間だった頃とそんなに変わってないと思うし。今までと接し方を変える必要はないだろ。主神はただでさえ丁寧すぎるくらいなんだから、今まで通りでいいと思うぜ」

「そ、そう……なのかな?」

 そう言ってもらえると、ちょっと気が楽になるけれど。

「そうだって。十二柱なんて、一癖も二癖もある奴らばっかなんだから、嫌だと思ってたら遠慮なく言ってくるさ」

「ぷ……それはそうかも」

「よし。笑ったな」

 言って、シュッツェも微笑む。

「主神はそうやって、もっと肩の力抜いて笑ってろ。同郷のよしみ? ってことで、俺には気遣わずに愚痴でも日本の話でも、気軽に話してくれればいいし。一人くらい、役目とか仕事とか考えずに付き合える奴がいてもいいだろ」

「シュッツェ……ありがとう」

 その後私達は、地球の事、日本の事、学校やテレビやゲームの話など、二人でしか通じない話をいっぱいした。故郷の話を出来ることは、とても懐かしく、楽しく、嬉しくて……私は久しぶりに心から笑えた気がした。

 ……ほんとに、シュッツェには感謝しなきゃ。


 ――side:シュッツェ――


 ようやく、歳相応の笑顔が見れた気がするな。最初に会ったときより、少しは肩の力が抜けてきてるみたいで良かった。

 近いうちに、日本の様子でも見に行ってくっかな。あの子との話のネタも仕入れてきたいし。

 しかし、あんな風に無邪気に笑ってる顔は結構かわいらしいじゃん。もっとああやって笑ってればいいのに。……っても、十二柱と渡り合って主神の役目を果たしてるんじゃなかなかそれも難しいかな。

 まあ、なるべく俺が気を紛らわせてやるとするか。


【採取アイテム】

・《火薬のもと:火をつけたら燃える》

・《くさい鉱石:卵が腐ったような臭い。多分硫黄》

・《温泉水:身体に良い。飲むことも出来る》

・《火山岩:マグマが冷えて固まったもの》

・《鳥の卵:何の鳥か分からないけど、結構大きい》


【習得スキル】

・蝋膏化 Lv.1


【合成アイテム】

・火薬のもと+火薬のもと

 =《熱乾マテリア:火のエレメントのかたまり》

・温泉水+鳥の卵=《温泉卵:半熟でおいしい》

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