表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/96

 Intermission 忍び寄る影



「ケ、ケケケ……。マダ……マダオレハシンデナイ……」


 氷を割り、這い出て、向こうで騒がしい人間たちを殺そうと魔法を構築する。

 奴から貰った暗黒魔法〈魔神剣〉を練る。


「シネ――」


 と言った瞬間。


「貴方が死んで」


 ――ドス


 悪魔の頭から魔法で作られた鋭利の物が突き出る。

 あっけなく悪魔は糸の切れた人形ように動かなくなり、やがて朽ちて消えて行った。


 後に残ったのは丸く、黒い紋章。

 悪魔に止めをさした者はそれを拾い上げる。

 その者は「ごくろうさま」とだけ言い、袖を捲る。

 黒い紋章を腕にあてると、溶けて行くように沈んでいき、最終的には刺青(いれずみ)のように残った。

 すると携帯が振動し始めたのでため息と嫌そうな顔で電話に出る。


『こんちゃ~。……とまだ夜だったね。こんばちゃ~』


 「ば」が入っただけで夜のあいさつになるのだろうか?


『あれ? 無視? もしかして嫌がってる?』


 もしかしなくても嫌がっている。今さっきから喋っていないのだから。少しは察してほしい。


『まぁいいや。そろそろ報告の時間だし。聖地と天使の仲間は何人? あと聖地が持ってる神の数』


 何人? そう言われるとかなり多い気がする。

 最低でも十人はいる。神は二体。そう言うと電話の相手は別段気にした様子もなかった。

 ただ、


『それ自分(、、)も入れて無いだろうな~?』


 と調子に乗ったような口調に戻って聞いてきたので、自分は何の反応も示さずに普通に「入れてない」とだけ言った。


『うわ~。マジで返してきちゃったよ。冗談のつもりだったのに』


 無論、知っていて言ったので、そのことを声のトーンを変えずに返す、と、


『マジで傷つくんだけど……』


 しょんぼりする声がした。

 自分はどうでもいい的な表情で「傷つけ」を二回ほど連呼した。


『かなり棒読みだよ!? どうでもいいとか思ってるんでしょ!?』


 肯定する。


『ヒデェ!』


 そろそろ通信をやめなければいけないだろう。

 通信中の携帯を問答無用で切った。

 きっと次会った時、いろいろと言われるだろうが気にしない。


「…………」


 自分は氷の花を一つ摘む。

 すると、月に照らされていて綺麗だった花はどんどん溶けていき、ついには消えてしまった。

 それは今、フェデルと言う一人の男の命が消えてしまったように。



 ――だが、そんなものは、別段気にしない。



 生きていても死んでいても、自分の行動に支障はないからだ。それに……、



 ――人の命なんて簡単に壊れる。


 自分はその団体に戻っていく。

 彼らに見せたことのある表の顔に戻しながら……。



 次のターゲットを見つめたまま……。




 「…………篠桜……マナ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ