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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第七章 ジーダス攻略戦・前半
64/96

……大丈夫。



「なんでしょう? 今、何か声がインカムから聞こえたのですが……。デルタさん。向こうで何かあったのですか?」

『あ~。その~。なんだ。ま、ただの衛兵だからなんとかなるだろ。ルナちゃんが魔力強化しているから圧倒できるだろうし。してなかったら危なかったけど……』

「はい?」

「……見つかったの?」

『見つかったけど、多分大丈夫……だと思いたいね』


 現在わたくしたちは階段を下り終わったところ。

 デルタ曰く、あと五分ほどでつくそうだ。

 言い忘れていたが、わたくしたちの目指しているソウナは地下一階にいて、仙ちゃんたちが目指しているユウは一階にいるのです。

 でも少し不思議に思います。なぜこういう組み分けになったのか。


 わたくしとしては強さを平均にするためにわたくしと仙ちゃんでどちらかの救出を、ルナと白夜とマナでどちらかの救出の組み分けにすれば力も均衡しいいと思われたのですが……。

 強さ順ではルナ、仙ちゃん、白夜、わたくし、マナだと思いますから……。

 これでは向こうに戦力が片寄ってしまいます。

 ……決して仙ちゃんと一緒にいたいなんて思っていませんわよ!?

 ただ、素直に五人の中でルナと仙ちゃんが強いと思ったからですわ!


「……レナ。……顔が赤いけどどうかしたの?」

「な、なんでもないですわ!」

『止まって』


 デルタの声によりわたくしは一度すべてを忘れ、デルタの声に耳を傾ける。


「どうかしたんですの?」

「……ここ?」


 白夜さんが壁を指差す。


「壁……ですわよ?」


 なんの変哲もない壁だ。

 特になにもないように思える。

 だがデルタさんは肯定した。


『そうだよ。そこが道なんだ。ちょっと待ってて。今、雁也に頼んで開けさせるから。念のため二人はその扉から少し離れていて』

「……了解。……レナ、こっち」

「え、ええ」


 わたくしは開くまで素直に待つことにする。

 無言のままただ待っているのもなんなので、気になっていることを話す。


「白夜さん」

「……なに?」

「作戦を伝えるとき、同時にリクさんの事も話しましたけど……。カナ様は何もおっしゃいませんでしたが大丈夫でしょうか?」


 わたくしの憧れのカナ様なので信用はできますが……リクの話になると話は別です。

 彼(彼女?)は既にわたくしの友達なのですから……。

 心配なのは当然なのです。


「……多分」

「助かりますのよね……」

「……大丈夫。……こんなとこで死んで欲しくない。……リクちゃんには学校のみんなのためにも生きてもらわないと……そして……」

「そして?」


 白夜は何かを言いたかったようだかそれ以上は何も言わず、ただ一点を見つめていた。

 わたくしはその見つめていた方を見ると、そこには別段とくに何も無い壁、今にも消えそうな電球があるだけだった。

 衛兵がそんなところから出てくるはずもない。

 もしかしたら彼女はもっと遠くの景色を見ているのかもしれない。

 わたくしに見えていない景色を見ているのかもしれない。

 それからは会話が続かず、無言のままでただ待っていると壁がひとりでに開く。


『よしっと! 開いたぞ。雁也の行動が気づかれないうちに入ってくれ。すぐに閉めるよう言う』


 わたくしは走り出す。

 しばらくして白夜がついてきていないことに気がついて後ろを見る。


「何をやっているんですの?」

「……なんでもない。……今行く」


 白夜の不思議な行動は今始まったばかりではないので、気にする必用はない。

 そしてわたくしと白夜さんはソウナさんがいるという牢獄に向かっていった。

 今のところ誰にも見つかっていないから心配はない。……のだが。

 もう一つ、気になる事と言われると、わたくしと白夜は衛兵の誰にも会っていない(、、、、、、)ということだった。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「くそッ。まだ出てくんのか」

「雑賀先輩! これじゃあきりがないですよ! どう考えても僕たちの魔力が足りません! 僕はもう魔力切れ寸前です!」

「ほらグレン、魔法薬。これで持たせてください」

「ケルベロス! 蹴散らせ!!」


 俺たちは正面からロビーに入って次々来る衛兵たちを戦闘不能にしている。

 雁也からもらった魔道具のおかげで殺さなくて済むのはありがたい。

 だが衛兵の数が多すぎてなかなか魔道具が使えず、衛兵が倒れた衛兵を回復させているのが腹だたしい。

 おかげでなかなか減らない。

 しかも先程も言ったように次々と来るからシャレにならん。


「早く倒せ! 殺しても構わない!!」

「なんでたった四人なのに殺せないんだよ!!」


 そらあれだ。お前ら逃げ腰だからだよ。

 確かにお前らの魔力はただの衛兵って感じじゃなさそうだ。一人一人魔力が強い。おそらくここに居る衛兵誰もが儀式で強くなったものだろう。

 だが儀式で強くなっても所詮衛兵。

 技術力がない。飛んでくる魔法はどれも中級が限度。

 しかも逃げ腰で命中精度がない。だから倒せない。


 ……といえば俺たちはなんの苦戦もしていないと思うだろう。残念ながら命中精度がなくても当たる『範囲魔法』があるのだ。

 弾丸系はよけれる。

 だが範囲魔法は範囲により、よけれない。

 異常な速さや、範囲魔法が来ると分かっていればよけられるが、残念ながらこれだけの衛兵の数に来ると予想なんてできない。


 だから俺たちにしいられている課題は、


 一つ、常に動き回ること。


 二つ、防御魔法は常にかけておく。


 三つ、魔力切れは許されない、だ。


 一つ目の理由はたまに当たるようなコースで飛んでくる魔法や弾丸のために動き回る。それに関連して二つ目は当たった時にダメージをできるだけ軽減するためだ。

 三つ目はわかるだろう。

 魔力切れとは生命線を失う、ということだ。

 切れていても魔法を使わなければいけないときは命を捧げることになるからだ。だが……、


(これだけの相手に魔力切れは必然……か……)


 俺たち程度の魔力では十中百九魔力切れが起こる。

 現に、グレンなどは魔力切れで妃鈴がら魔法薬をもらう始末だ。

 囮を頼むと言われたが、これはキツすぎる。

 説明していなかったが魔法薬とは魔力をすべて回復できる薬(とは言ってもあまりにも魔力が多いと完全回復しない)で、俺、ガルム、妃鈴、グレンはそれぞれ二十個は用意していた。


 それがグレンはもう魔法薬は無し。

 俺は薬を五個は使った。

 妃鈴は二個ほど。

 ガルムは使っていない。


 それもそうか。

 ガルムは召喚(サモン)だから、魔法を使うときは召喚するときと召喚した召喚獣に魔法をかけて強化するぐらいだ。

 あとは自分自身に強化魔法。

 俺たちの中で一番節約できる戦闘スタイルだ。

 それに比べてグレンは武装(アーマメント)

 魔力消費が半端ない。どの魔法を使おうにも魔力の消費が多すぎる。

 だから俺たちの中で一番早く脱落するだろうと予想はしていた。

 魔力が切れそうになったら俺たちが攻撃して戦闘不能になった衛兵たちを魔道具を使って転送させる専門にしよう。撤退させて魔力を回復させることをさせてもいいが、こっちの方も重要なのでこちらにさせる。そうすれば衛兵の減るスピードが少しでも早くなる。

 と考えていると……。


「おい! 衛兵ども何やってる!!」

「兄貴の言うとおりだ! たった四人に手こずってんじゃねぇよ!」


 奥から見慣れた顔が出てくる。


「マジかよ……」


 それに俺はげんなりとして、倒すか、回避するかの二択を考える。

 相手は俺と同じ幹部……。




 【霧雨兄弟】


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