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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第六章 襲撃と呪われし姫君
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くちゅん



「おい!! リクどうした!!」


 俺は叫びかけた。

 リクが雁也の作戦の説明の最中にいきなり倒れ、周りは騒然となっているがその中で俺はリクを抱きかかえ、声をかける。

 しかし既に意識はなく、目を閉じたまま動かない。

 そこでマナは何かに気づいて、とんでもないことを言い出した。


「!? キリ! あんた手を今すぐリクちゃんから離して!!」

「はぁ!? てめぇこんな時に何言って――ッ!?」


 俺はすぐにマナの言葉を解釈し、リクをすぐ近くのイスに座らせ手を離す。

 理由は簡単だった。


「――ッ!! ンだよコレ!!」


 手が一瞬にして痛みもなく凍っていた。

 リクからはなんとか離せたが、離せた後から俺の手は痛みが襲い、痛覚から警告を出されていた。

 普通の凍傷じゃないと俺は感じた。

 このまま触れていたらおそらくすぐにでも俺の腕は凍っていただろう。

 マナに言われるまで気づかなかったので、感謝しておく。


「なぜじゃ……」


 そのものの数秒の後。

 リクの体が輝き、ルナが顔を出した。


「なぜこんなにも早く呪いが……」

「呪いだァ? どういうことだルナ! 話せ!」

「ちょっとキリ! おちついて!」


 マナに怒鳴られ、少しだけ冷静を取り戻すがそう簡単に戻るはずもなく、未だに焦りが浮かぶ。


「うむ……。呪い。リクは今その呪いにかかっておる。妾がおるからじゃ」

「ルナちゃんがいるから? どういうこと?」


 マナが聞く。

 元ジーダス組やレナ、白夜はリクが倒れたことに軽くパニックになっていたがルナの一言で一時的に混乱を無理やり収め、ルナの言葉を静かに聞いた。

 焦っていたのは何も俺だけじゃなかったのだ。

 冷静さを少しでも戻せたのはそのためだ。


「妾は呪われた神霊なのじゃ。その昔、おそらく呪いを受けておるのじゃ」

「おそらく? 曖昧にするなよ」

「いや、これは推測なのじゃ。何者かに記憶を消されたようなのじゃ。記憶を消したのはおそらく呪いをかけた者と同じじゃと……」


 ルナは頭を抱えて話すが俺はそれじゃダメだという。

 なぜならその呪いを知っていればどうやって解除すればいいかとかわかるからだ。

 どのような呪いにも解除する方法がある。

 だが、どのような呪いか分からなければ手のだしようがない。

 マナには感謝しよう。

 じゃなければこれだけのことは思いつかない。


「じゃあ確信があるかどうかわからないがこれだけは答えてくれ」

「む……なんじゃ?」

「リクは……」


 俺は消して聞きたくない質問をしたい。

 だが聞きたくないとわかっているからこそ、どうしても口が閉じてしまう。

 だが言わなければわからない。

 だから短い葛藤の中から、言葉を絞り出すかのように外に出した。



「リクは………………………………死ぬのか?」

「…………」


 誰もが見つめる中でルナはそっと口を開き一言。

 噛み締めながら……、




「ああ。このままいけば……死ぬ……であろう」




 苦い顔をしながら苦し紛れに答えた。


『――ッ!!』


 ここにいる誰もが顔を驚愕させる。

 その中、雁也が口を開いた。


「皆様。聞いてください」

「何を……だよ。こんな状況で言えるって事はリクに関係済んだろうなぁ?」


 俺の目は今まで最も獰猛な目をしているだろう。

 俺自身でもわかる。内から出てくる殺気が後を絶たないのだ。

 だけどその殺気は雁也に向いているわけではない。自分が気づいてやれなかったことだ。

 おそらくリク自信は気づいていなかったもかもしれないが、体が冷たいと感じた時にすでに警告は出ていたんじゃないかと思う。

 それ以外に警告がわからない。


「おそらく、私はその症状を知っています」

「どうしたらいい!? 俺達はどうしたらリクを救える!?」


 先ほど、ルナが言っていた言葉を忘れ、どうしても助けようとする俺やマナ。他の者も同じだろう。


「何もしないでください」

「――ッ!?」


 息をのむ。この状況で……何もするな……だと!?


「作戦の話を続けます。約不足ですが……なんとかなるかもしれません」

「おい……誰が話を続けていいっつったよ……」


 雁也は冷めた目で俺を見る。


「わかりました。聞きましょう」

「俺はどうしたらいいっつったんだよ……。どうして何もするななんだ?」

「それは……知りません。逆に、何かできるかと言われれば何もできないとしか言いようがありませんし、これはカナ様の命令です」

「カナが……言ったのか……?」


 昔を思い出す。

 俺の両親がまだこの世にいた時代を……。

 頭に血が上り、自然と手や腕に力が入る。

 俺は睨むようにして雁也を見る。


「カナ様からの言葉ですが……。リクちゃんをあまり舐めないで、とのことでした」

「な――ッ! 何が舐めないでだよ!」


 落胆していた。俺はさらに頭に血が上る。

 リクを舐めないでだと……? この状況で?


「あいつは……親としてどうかしてるぞ……」


 俺の中のカナの認識が、どんどん悪くなっていくのは仕方がないと思った。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「くちゅん」


 可愛らしいくしゃみと共に、書類が飛ぶ。


「どうしたんだぃ?」

「ん~。なんか誰かが噂してるのかな……?」


 なんて面白そうなことを言ってみるけど、これって結構当たるのよね~♪

 部下が持ってきた書類に目を通すけど……全てルーガに渡している。


「ってこれじゃあお前が職場に戻ってきた意味ないじゃん! ふざけてんの!?」

「いやぁ。私もまさか職場まで戻ってきて書類に目を通せだなんて思っていなくって♪」

「どれだけ溜めてると思ってんだ!」


 まさか戻ってきて早々ルーガの説教を受けるとは思ってもみなかった。

 今日も昨日もさぼっていたから言い訳することもできないが……。

 そうしていると、部屋のドアが勢いよく開け放たれる。


「カナ様! 大変です!」

「? 何?」

「リク様が……我らのリクちゃんが凍え死にしそうだと雁也から報告を受けています! どうするんですか!?」


 ……とうとうそんな日が来てしまったのね……。我らのって言うところが気になるけど。

 私は座っていためんどくさいイスから立ち、机の前に立つ。


「どうするも何も、何もしなくていいし、何かをできる訳でもないわ。あとはリクちゃん次第よ。私たちはただ……信じて待つだけで良い」


 そう言い残して、部屋の外へ向かっていく。


「えっと、それはどういう……? 何もできないなんて……」


 部下が悲しそうな顔をする。「はぁ」と息を漏らした。


「正直に言うと、できることはもうしつくしたのよ。私は。なんのために16年間育ててきたと思ってるのよ。どんな状況でも生きていけるように……。いつでもヒスティマにこれるように……。暮せるように向こうの世界で育ててきたわ。これ以上リクちゃんを助けるためにできることなんて何もありゃしないわ」


 強く言い放つと、今度こそ部屋の外に出る。その後を追ってくるルーガと真陽と慌てて追ってくる部下。

 その部下が聞いてくる。


「どちらへ? カナ様」

「いつもの集合場所、ロビーへ戦闘部隊全員を連れて来なさい。今から三分後よ。それ以上の延長は許されないわ」

「はっ!」


 敬礼してすぐさま廊下を走っていく部下。耳元にあてているところを見ると連絡しているのだろう。放送室に。

 そして放送室から全員の戦闘部隊の元へ情報が流れる。こう言うところの設備は全てルーガの本来の仕事だ。


「久しぶりだな。カナのちょっと本気の目」

「最近はマンネリ化しちまってるけどねぇ。最大の敵は三十年前のあいつだけかねぇ」

「あら♪ そんなこと言ったらあなた達も少し楽しそうだわ♪ っと言っても私にとっては三十年前じゃなくて二十年前だけどね♪」

「そういえば最近【終焉を知らせる者(ラグナロク)】には会ったのかぃ?」

「ええ。会ったわ♪ 相変わらず大変そうだったけど……」


 そういえば【終焉を知らせる者(ラグナロク)】は今どこに居るんだろう……。一杯話したいことも会ったのに、あの時は逃げられてしまった。


 全く、あの放浪者は……。少しでも……と思ったところでロビーについてしまった。

 ジャスト三分で。

 私はロビー二階のベランダ。

 部下たちは全員ロビー一階の広場に整列して綺麗に並んでいる。

 さすがは軍隊(、、)と言うべきか。ここまでの速度がとても速くて助かる。

 そして私は声を張り上げて、言うべき言葉を言う。


「今から私たちはリクちゃんの貞操を守るため! ジーダスの配下である会社すべてを同時襲撃する!」

「「「「オオオオォォォオオオオオォォォッッッッ!!!!」」」」

「いや、おかしくないか!?」

「散ッ!」

「だからおかしくないか!?」

「ルーちゃん。ツッコンでもだめなことぐらいわかるだろぅ?」

「こいつらがリク君の事で必ず動くのはわかるけどよぉ! リク君の貞操で一つの組織が潰れるのかよ!」


 それがこの国、『ライコウ』の法則なのだ……スパンッ。


「イタッ」

「何が『この国、『ライコウ』の法則なのだ』なのですか? 私もそれはおかしいと思うなのです」


 いつの間にか隣にいる口調は子供だが、かなり大人びている風貌の女性がいた。

 和服を着ていて、手にはハリセン。しかしハリセンは魔法で作った物であり、とても痛い……。


「ティマちゃん……酷い……」


 部下たちは、雄叫びの後、散を聞いたらすぐさま外に向かったので今ここに居るのは四人だけだ。


世界の(、、、)使い手(、、、)の自覚を持ってくださいなのです」


 ため息交じりに答えるティマ……いや、ヒスティマ(、、、、、)はハリセンを霧散させた。


「世界の使い手の自覚なんて持つ気は無いわ♪ だって自覚なんて持っても――あいたっ」


 スパンと豪快な音がまた鳴る。今さっき消えたのをしっかりと目で見て捉えたのに……。


「目で見て消えたのは透明にしただけなのです。カナ様が何を言うか事前に予想、策を練るのは簡単なのです。もう約二十年以上の付き合いなのですよ?」

「まぁね……」


 昔のティマはもっと可愛かったのに……今ではすっかり大人だ。

 別に年で成長したからではない。第一、精霊や神霊などは年は関係が無いのだ。ただ、ティマの場合は年ではなく、信仰心で成長したのだ。


「部下も動かしたし。あとは……」

「本部に乗りこむだけかぃ?」

「俺も同行したいけど……」

「ルーちゃんがここを動いたら後は誰が守るのよ」

「だろうと思ったぜ。了解。存分に遊んでこいよ。……守護十二剣士(、、、、、、)には気をつけろよ?」

「りょ~かい♪」


 それだけ言って、ベランダを蹴る。真陽もそれにならってベランダを蹴り、中に出る。目指すはジーダス本部。今日を持って、ジーダスには解散してもらうために。それが例え、別の者の手のよってでも……。



カナ視点の事が気になる方はヒスティマ~ゼロ~を見て頂ければ、と。

まだ書き途中ですがね。


ちなみにリクの貞操が危ないと言ったのはカナの内では事実です(==


リクを追いまわすジーダス=リクの貞操の危機


とカナは捉えてます。

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