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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第六章 襲撃と呪われし姫君
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……ちっ



 人生ゲームが終わった。


 一位はレナ。48万3千。

 二位はソウナ。32万5千。

 三位はデルタ。30万。

 四位はウチ。17万。

 で、最下位が雑賀だ。金額は…………聞かない方がいいだろう。


「にしてもみんな遅いね~」

「声らしきものが聞こえてから何分ですの?」

「多分10分だと思うわ」

「……よし! 俺達もそろそろ精神集中するか……」

「お、やっと立ち直ったか雑賀」

「ああ。カナちゃんと真陽先生が戻ってき次第カナちゃんは移動するだろうからな」


 ここでちょっと説明すると食前にリクとおばあちゃんとソウナを抜かしたウチ達全員と戦ってみたいらしい。

 カナに勝ったら何か良い物をくれると言っていた。でも多分無理だと思う……。

 どんなに魔力を消費しても、ある程度は回復させてくれるらしい。

 戦っている間に、リクちゃんとおばあちゃんが夕食を作るのだ。

 そして食後におばあちゃんがリクにあった戦い方を見つけると言っていた。


「いーやーでーす!! 何ですかこれは!!」


 っとそこでリクの嫌がる声が聞こえた。

 ウチは頭にハテナを浮かべながらもなんとなく静かになり、その聞こえてきた方を見る。


「何って言われても見ればわかるじゃない♪」


 次に雑賀が動きを止めて、ウチと同じ方向を向いた。

 デルタも声の様子が気になったようで同じようになる。


「おいテメッ、俺までさせる意味があんのか!?」


 聞こえてきたキリの声にレナが反応し、これまで不審に思っていた方を見て固まる。


「リクちゃんとお揃いよ~♪」

「そういう問題じゃねぇ!!」


 ソウナはそんなウチ達の様子を見て同じように顔を向ける。

 ウチたち全員は壁の向こう側で行われている何かが気になり、その場を静かにしてみる。

 一つの物音も立てずに。

 そして――ガチャ。


「「「ゴクリ」」」


 居間の扉が開いた。

 一人の少女が出てくる。


「あら? みんな待ちきれなかったの?」


 何やら左手を扉で隠したまま、カナが楽しそうに言ってきた。


「じゃあ白夜ちゃん♪ せ~の、で出すわよ?」


 おそらく白夜は扉の向こうで首を縦にふっているだろう。


 しかし、今はそんなことはどうでもいい。

 ウチたちが求めているものはその二人ではない。

 別の二人……。


「せ~の♪」

「ちょ」「なにす――」


 カナが手を引いて……。

 白夜が押して……。



 ――二人のメイドさんが目の前に現れた。



「「「「!?」」」」


 肩が膨らんでいるワンピース型の黒い服の上にフリルのついた白いエプロンを着用している。足は黒いニーソックスを履いていて、しまいには頭の上にはエプロンに似合う、フリルのついた白いカチューシャまであった。


 リクが着ていると、大人しめで、清楚な感じが漂っている。

 なぜか金色のブサイクな猫の人形を持たされていて、その姿はまるで守ってあげたい妹系。

 しかも、サイズが少しあっていないのか、手が隠れてしまっている。

 つまり出てるのは指先だけ。

 白銀の髪を揺らすリクと胸元に持っている金色の毛並みの猫の人形はかなりの具合でマッチしていた。


 キリが着ていると、元がすごいプロポーションだったからか、かなりセクシーな格好になっている。

 だけど、ツリ目でその顔は凛々しい。

 なんだかかっこいいお姉さんみたいにも感じる。

 ちなみになぜかミニスカート。

 顔も火照っていて、これはもう誘ってるよね……。

 でも目はキッとしたような目だから一部の人間にはかなり喜んでもらえるよ……キリ。


 片方、可憐で清楚で守ってあげたい妹系。

 片方、セクシーでかっこいいお姉さん系。


 か、可愛いし格好良い!!

 なにこれ!!

 リクちゃんはめちゃくちゃ抱きしめたくて、キリにはめちゃくちゃ甘えたいんだけど!?


「リクちゃん……キリちゃん……。ぜひこの俺に給仕してくれ!!」

「黙れ変態(さいが)!!」「ふごぅ!」


 キリに思いっきり殴られて飛ばされていく雑賀。

 リクは思いっきりスルーしていた。


「リクちゃん! キリちゃん! ぜひこの俺の経営しているメイド喫茶で働いてくれ!!」

「持っているのですか!?」

「んなことするか! このド腐れ変態二号(デルタ)!!」「ごふぅ!」


 デルタ……。

 そんな鼻血出しながら求めても……。

 そして我慢できなかったからなのか、リクはツッコんでしまっている。


「リクさん……。このわたくしの家でわたくし専属メイドとして働きませんか? 仙ちゃん込みで」

「しません! 僕は男の子です! メイドさんなんてやりません!!」

「男?」

「ああ、レナと白夜には言ってなかったな。リクはこれでも男だぜ? ジーダスに見つからない為に女になってんだ。それと俺はゼッテェそんな仕事しねぇ」

「ジーダスに見つからない為? よくわかりませんが、問題ありませんんわ。今は女の子なのでしょう?」

「今、聞いていました!? ボクが好きでこんなかっこしていると思っているのですか!?」


 だめ、レナ戻ってきて……。

 理性が失ったレナを見て祈る。

 だが戻る様子がない。

 どうしたものか。

 でも、ウチはなんとか理性を保ち、さっきの言葉に思ったことは声には出して行かなかった。


 ……でも抱きしめたいのはホントだし、いますぐ家に持ち帰っていきたいのもホントで、

()は今すぐにでも実行に移そうかと思っていた」

「なに勝手にウチが思っていることみたいにモノローグ語ってるの!?」

「……ちっ」

「『ちっ』て言った!? 今『ちっ』て言ったよね!?」

「……気のせい」


 絶対に気のせいじゃない!!

 『……』から普通に言葉が始まるのって白夜しかいないし!!

 ウチの一人称はウチだし!

 『私』じゃないからね!?


 こうして、ウチの中での危険人物リストに白夜の名前が載ったのは言うまでもない。


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