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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第六章 襲撃と呪われし姫君
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残酷な人生ゲーム



「…………? 今何か聞こえなかった~?」

「そうですわね。とても小さくて、どなたのものかはわかりませんでしたが……」

「? 私は聞こえなかったけど……。次、雑賀さんよ」

「いや、リクちゃんの声だ。なぁ、デルタ」


 雑賀はルーレットを回しながらデルタに話を振る。

 なぜか最初からトップだったカナと中の中だった白夜が途中で抜けてしまって現在は五人でやっている。


 現在トップはレナで27万3千。

 次がデルタの16万だったりする。

 最下位は雑賀の5万2千。

 ウチは10万7千でソウナは12万8千だ。


 ……一人だけケタ違いがいる事がわかるだろう。

 現在はまだ中盤である。こう言うともう万いってるの!? とか思うけど違う。普通の人生ゲームの大きさ分はもう終わってる。


「ああ。あの可愛らしい声はリクちゃんだな、そして……」


 デルタは右足を力強く前に叩きつけ、右手を力強く握り、ガッツポーズをとるような感じに前に出している。

 そして、背景も目も、まるで燃え上がっているように見える。


「元凶はおそらく、天真爛漫でその娘がいれば、たちまち皆笑顔!! 強くて! 可愛らしくて! この中で最大のちっぱいを持つロリ少女!! その娘に協力している娘が普段優しい顔でクールだけど、裏では何を思っているかわからないミステリアスな美少女!! 絶対あれは着やせをしている!! 多分、Dカップはある!!」

「「…………」」


 引くウチとレナ。


「さすがの俺もそこまではいかない……。っと3だな」


 雑賀も引いている。しかもちょっとスルーが入ってる。

 この人が引くぐらいだ。相当なものだろう。

 そしてなんでいきなりテンションが上がったんだろう……。

 心なしか、呼吸も荒い。


「もちろん君たちのことも言えるよ」


 前髪をさっと手で払いながら言い放つデルタ。

 うん。その仕草めちゃくちゃうざいです。

 そしてウチに指をさしながら喋り始めた。


「赤のツインテ美少女! スリーサ――」

「だまれ!!」

「グハァ!」


 ズドーーーーーーーーン!!


「……マナさんって……魔力開放しなくても、強いのではなくて?」


 人型に開けられた穴を見ながらつぶやくレナ。


「……大変ね。この家の修理代って私たちが来てから増えているんじゃないかしら?」


 ソウナもレナ同様、穴を見ながらつぶやいている。

 二人とも顔は少し苦笑いをしている。

 ウチはそんなに強くない。

 今のはただの……怒りのパンチとでも言おうかな?

 だって人を紹介するのに最初にスリーサイズって……。

 しかも人のスリーサイズなんていつの間に……。


「っと。会社が倒産して借金。2万払う。……マジか……」


 いや、あの変態なら見ただけで分かりそう。

 まぁ、成敗したのでもう起きてくることもないだ――


「ふ……。まったく、今のは効いたぜ」

「チッ。なんで死んでないのよ……」


 復活早くない?

 結構本気で殴ったんだけどな~。

 今度は魔法で片付けるかな。


「君の言いたいことはよくわかった。……カモン!」

「……我が名はマナ」

「へ? あれ?」

「我の声に気づいたならば、その姿、具現化し、我が前にいでよ。〝ファイアーバード〟」


 ウチの精霊、〝ファイアーバード〟を出した。

 そして、ウチが使える中で一番威力が高い魔法を放つ。


「燃え尽きろ! 〈火球〉!」

「ちょっと待って! 流石に魔法は――」


 本日二回目。

 凝縮された火の魔力球が衝突し、〈火球〉は爆ぜて、デルタは炎に包まれた。

 よし、危険人物は炭になった。


「ふぅ。もう少しで死んでしまうところだったじゃないか」


 チッ。


 なんで生きてんのよ、こいつ。

 黒光りする気持ち悪い〝(ゴキ)〟の名を持つあの害虫のようにしぶといじゃない。


「次デルタだぞ?」

「よし来たぁぁああ!!」


 気合を入れて回して出たのは6。


「1、2……6。何々。雑賀から3万貰う?」

「なッ!?」


 にぃと口端を吊り上げたデルタ。

 ちなみに元々は左隣と書かれていたのだろうが、ゲーム中、それは自動で魔法により書き換えられる。

 つまりウチの右隣にレナ、左隣にソウナがいる場合。マスに停まったところの『右隣』という文字は自動的に『レナ』という文字に書きかえられるのだ。次の人に順番が回ったらまた元に戻るが。


「さぁよこせ雑賀。貴様の約全財産をなぁ!!」

「なん……だと!?」


 雑賀の順位は最下位。所持金2千……。ドンマイ。

 ウチは〝ファイアーバード〟を還して、魔力を納める。

 そういえばリクって魔力開放しているのかな?

 魔法使っているからしていると思うんだけど……。

 魔力を普段から開放していれば魔力が回復しないから必ず魔力を納めないといけないんだけど……。

 おばあちゃんに聞けばわかるかな?

 今はいないけど。


「雑賀さんも大変ですわね」


 そうやってレナがルーレットを回して出たのは4。止まった先では……。





「えっと……。男の子が生まれる。全員から2千円貰う」





…………あ。





「そ、その。雑賀さん? 元気を出して……」

「これが……残酷なゲームだと!?」


 もう笑うしかないよね……。


「つ、次はウチだね……」


 ウチは何番が何のイベントが起きるか見ておいた。


 1が出ると、財産を預けている銀行が襲われる。全員10万払う。

 2が出ると、交通違反! 5千払う。

 3が出ると、作ったゲームが大絶賛! 2万貰う。

 4が出ると、レナのお土産屋さんで指輪を買う。1万2千払う。

 5が出ると、ソウナと一緒に強盗を捕まえた! 二人とも5千貰う。

 6が出ると、雑賀に謝礼き(……え?)と、とにかく雑賀に2万払う。

 7以降ならばストップだ。内容は家をもう一軒買うかどうか。持っていないならば家を半額で買える物だ。


 頼みますからこれ以上雑賀を貶めるような物は……。


 ルーレットを回す。出た目は…………。





「マナさん!? もう一回、回す違反ですわよ!?」

「だって……だってこれ以上は……」

「マナさん。現実を認めるべきだと思うわ」

「あ~。なんだぁ。そう落ち込むなよ雑賀」

「大丈夫だ……これはゲームなんだ。これはゲームなんだ……」


 廃人となってしまった雑賀。手元には……。



 ――借金手形1万円分が合計10枚手渡された……。


みんなでやるとたまにいるんですよね~。

借金地獄に会う人が……。

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