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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第六章 襲撃と呪われし姫君
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キリの災難



「クソッ。今日は厄日だ……」


 可愛らしい唇と凛々しい声で言葉を吐き捨てるように言い放つキリ。

 黒色の髪。それは変わらない。長さは腰に届く程度だが……。

 瞳の色も変わらないと思っていたのだが、瞳は鮮やかな紫色になっていた。

 体系だが……。


「ふむ。雑賀。この子のスリーサイズはすごいぞ!? おそらくバストサイズは87は超えている!!」

「ああ、デルタ。この年でここまで育っていると将来90は超えるんじゃないか!?」


 と、変態二人が言うように、胸が、かなり大きく(真陽よりも大きいと思う)ほっそりとしたくびれに、ヒップサイズ(ってデルタが言っていたような……)は胸と同じぐらいに大きい。

 三つをデルタが簡単な言葉で言ってくれた。


「ボンッ、キュ、ボンッだな!! そうだろう雑賀!!」

「ああ!! ナイスボディ!!」

「黙れこの変態どもがぁぁあああああああ!!!! 〈雷迅〉ユニオン〈雷剛拳〉=〈轟崩拳〉!!」

「「グハッ!!」」


 ズドーンと音をたてながら豪快に吹っ飛ぶ変態さん(二人)をよそに白夜が素直に驚いていた。


「……すごい。……今、魔力解放と喚び出す呪文をいつしたのかわからなかった……」


 ……壁……大丈夫かな?

 穴あいちゃったけど……。

 ボクが白夜さんの台詞をスルーしながら壁の事を考えているとキリが、


「チッ。テメェらのせいで疲れた。にしてもコレ邪魔だな。動きずれぇ。さっさと元に……?」


 胸を腕で持ちながら言っていると何かに気づいたようだ。

 女性陣(白夜を除く)……いちお、言っておきますがボクは男の子ですからね?

 指輪を取れば……。

 ――閑話休題。


 女性陣が沈黙していて、ずっと一点を見つめている。

 母さんも、マナも、レナも……妃鈴も。

 ただ……その一点。

 キリの『そびえ立つ山脈』を見て……。


「キリ……あんた殺されたいの?」

「ハァ!? 何言ってんだテメェ!?」

「仙ちゃん……。水に溺れるのと、水に切り裂かれるのと、水に押しつぶされるのと、どれがよろしいんですの?」

「俺を殺す気満々だろ!?」

「他の三人ほど憎んでいるわけではありませんが……。キリさん。私も思うところがありますので射殺してもよろしいですか?」

「お前もかよ!? なんだよ! なんで俺が狙われなきゃいけないんだよ!?」

「ニッコリ♪」

「怖ぇよ!! 目が笑ってねぇし! それだけなのが逆に怖ぇンだよ!!」


 キリがかなり強く怒鳴っても(ツッコムともいう)四人は全く動じない。

 と言うより四人ともキリの『そびえ立つ山脈』に目が釘付けになっている。

 ……殺気だった目で……。


「なぁデルタ。あの怒って言つつも、たじろいでいる姿、可愛くね?」

「だな。あの豊満な娘にならナニされてもいいな」

「……二人の言うことには同意。……でも私はナニをされてもよりも、ナニかしたい方」


 おかしいな。白夜が雑賀とデルタと一緒に居るような絵が見えている。

 幻覚だろうか? 今日は早く寝た方がよさそうだ……。


「おお、白夜嬢もそう思うか。おおっと写真、写真……」

「デルタ。カメラならお前の首にかかっているぞ?」

「そうだった。さて……。いい……いいよキリちゃん!! 男性用の制服を着た凛々しいお姉さま系美少女だ!! 宝塚出れるぞ!!」

「デルタ。一枚五千円で売れ」

「……だったら私は一万」

「む……流石にこれは譲れん。一万五千でどうだ?」

「……二万」

「何を言っている二人共!! もちろんタダで焼きまわししてやるよ!!」

「さすがデルタ!! 俺の親友!!」

「……ふとっぱら。……デルタはいい人」


 あれだけの強烈な攻撃をくらったのに早くも復活した二人はキリさんの姿を見て、好きなように言った。

 その話になぜか白夜が同意しているのはかなり気になるのだが……。

 そしてパシャパシャとっているデルタをまたもやキリは殴り飛ばした。

 顔を赤くしながらも。


「あっ。キリさんが襲われそうよ? リク君、助けてあげないの?」

「ボクに死ねと……?」


 あんな顔を殺気だった顔をしている三人からキリ一人を助けることなんて100%無理だろう。

 妃鈴はなんとかこらえているようだが、マナとレナと母さんは我慢の限界なのか、キリに襲い掛かった。

 目で語っている三人。


『その山脈。潰してあげる♪』


 と……。それを本能で感じたのか、キリは無意識だろう、男子制服の上から豊満な山脈を手で庇うようにして逃げる。

 目尻には普段にキリからはまず、見られないだろう涙をいっぱいに詰めて、逃げ回った。

 もちろんそれには限度があり、追い込まれたところで――ガチャ


 扉が開く音。

 一斉にそちらを向く一同。


「……? 仕事が終わって来てみたらぁ、何やってんだぃ? あんたらわぁ」


 救世主、桜花魔法学校校長、篠桜真陽登場。


「ナイスタイミングだ、ババア!!」

「誰がババアだ! ……って誰だぃ? 君はぁ? 誰かに似ているようなぁ……」


 真陽は顎に手をやって首をかしげる。

 キリは急いで襲われていたところから脱出し、真陽の後ろに回った。


「ンな事はどうでもいい! とりあえず助けてくれ! 絶対殺される!」

「よくわからないんだがぁ……」


 全く意味がわかっていない真陽。

 それでも黒剣を出しているあたり、助ける気はあるのだろう。

 恐ろしく怖い笑顔の三人に対抗できるなら、助けることができると思うけど……。

 ボクは絶対に無理。


「真陽ちゃん、どいて! キリちゃんを許してはおけないの!」

「キリぃ? キリなんてどこに……? ま、まさか……あんたがあの、仙道キリかぃ!?」

「ンだよ……。わりぃかよ」

「いや……」

「だったらなんだよ」


 キリは嘆息をしながらも答えると真陽は真剣な表情で聞いてきた。


「リクを見て目覚めたのかぃ?」

「ンな訳あるかぁ!! こいつにムリヤリ、女にされたんだよ!!」

「しかしぃ……ここまで変わるもんなんだねぇ」


 キリの言い訳は聞いてはいなかった。もしかしたら真陽はわかっていたのかも知れない。


「面影はなんとなくあるんだけどねぇ。……なるほどぉ。三人が狂気な目で見るわけだぁ」


 ある一点を見つめて感心している真陽。

 ところでいつまでこうやって遊んでいるんだろ。

 別に何かあるわけではないのだが――と。

 パンパンッと手の鳴る音。


「……そろそろ自己紹介をしない? ……キリはそのままでいいから」


 白夜が止めてくれたことにより、その場がシーンとなる。


「仕方ないな~。初めてキリをここまで追い込めたのに~」

「わたくしも白夜さんに一票ですわね。何事も、まず自己紹介からですからね」


 マナや、レナ、みんながこの案にのるけど、やはりと言うべきか……。


「いいわけねぇだろ!? も・ど・せ!!」


キリだけはのらなかった。


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