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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第五章 自由という名の者による襲来
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実技テスト



「次の人、茄波(なは)先生とテストですよ~。あ、青山先生も開きましたね。次の人は青山先生とテストです」


 六時限目のテスト。

 そのテストの内容が……まさかの先生との決闘だった。

 周りの反応は……。


「ええー!?」

「いやだなぁ」


 と驚いたり、露骨に嫌な顔をする人や、


「おっしゃー!」

「先生をボコれる!!」


 と喜びに満ち溢れた人もいた。

 いや……。後者の人は明らかにおかしいと思うけど……。


 先生はというと……。


「負けてはいけませんよ? みなさん。今月の給料を下げられたくなければ!!」


 ということで、本気で生徒にかかってきている。

 正直、大人気ない。

 でも勝った生徒は戦った先生の給料から一万円持っていかれるらしい。

 それだと納得だよね。

 ちなみにそんな内容にしたのは校長である真陽なんだって。


 いまさらで、どうでもいいのだけど。

 ヒスティマのお金は日本円と同じみたい。

 今日の朝にソウナが雑賀の財布から野口さんを出してボクに渡してきたのはそういう意味なのかと勝手な解釈をする。


「はい、次の人~」

「あ! は~い」


 声が隣から聞こえた。

 言わずもがな、マナである。


「がんばってね」


 エールを送った。


「うん。がんばってくる~」


 先生と対峙するマナ。


「お願いします!」

「ハイ。それではテストを始めます。ルールは簡単。先生を君の魔法で倒してください」

「はい!」

「では……始めます!」


 ちょっと緊張しているのかな?

 マナが先生とテストを始めた。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 結果から言うとマナの負け。

 途中まで押していたのだが魔力が底をつき、限界が来てしまったからだ。

 本人は今、ボクの隣で大の字になって寝転んでる。

 ……その態勢だとパンツが見えてしまいますよ?


「だいじょぶだいじょぶ~。スパッツだし」

「ダメです。恥じらいを持ちましょう。ってか考えを読まないでください」

「三拍子だね~」

「いいから姿勢を直してください!」

「は~い」


 なんとかマナの姿勢を直すことに成功した。


「次の人~。誰ですか~?」


 うん?

 先生が次の人を呼んでる。

 でもあれだけだよね、次の人じゃ誰かわかんないよね……。


「おい」


 にしても先生はすごいな~。

 魔力を連戦で消費しときながらいまだに疲れたと言ったふうな顔をしていない。


「おい。聞いてんのか?」


 やっぱりあれかな?

 経験の差?

 温存するのがうまいんだよね……きっと。

 魔法をあんまり使わないで、体術でせめて。

 先生たちの中でも、精霊使い型がいるけどその人は補助型の先生と一緒にケガ人の治癒してて参加していないし。

 先生たちは近距離が得意な人ばかりなんだよね。

 遠距離の武器持ってる人もいるけど。

 生徒との経験の差が大きすぎてその先生が遠距離から一方的に攻撃するからほとんどの生徒がその先生と当たらないように願っているんだけどね。

 そう考えると近距離が得意な先生の方が生徒にとっては――


「リク!! 聞いてんのか!?」

「は、はひ――ッ!? ~~~~ッ!!」


 し、舌噛んだ~!!

 いった~~~~い!!


 ボクを呼んだ声の主を涙目で見上げる。

 その人はなんと、さっき探しても居なかったキリだった。


「ろ、ろうひはんへふは(どうしたんですか)?」


 舌が痛いので、呂律が回っていなかったが、キリはちゃんと内容が理解できたみたいだ。


「あ~……わりぃ。次、リクの番だ。早く行けよ」

「へ!?」


 次の人を見る。

 いない……。

 いまだに来ていない。

 先生、全員して周りを見回している。

 ということはボク!?

 ボクは転入生でスペ組だから最後と記憶していた。

 舌の痛みが引いてきたので普通に喋る。


「キリさんは先生に勝ちました?」

「あたりめぇだろ。瞬殺だし」

「うわぁ。見たかったです。キリさんが先生倒すとこ!」

「べ、べつに見てもつまんねぇからな! というかさっさといけ!」


 キリにせかされる。

 ボクは仕方ないというように先生のところに走って行った。


「キリはツンデレ決定かな~」

「誰がツンデレだコラァ!」

「あ~。ツンデレって言葉は知ってるんだね~」

「当たり前だろ」

「『べつに見ても……』的な事を言うんだよね~。女の子だと『嬉しくないんだからね!』とかだよね~」

「殺されてぇか? お前」

「ざんね~ん。こんなとこじゃ無理でしょ~」

「……今日の夜覚えてろよ?」

「忘れてるかもね~」

「…………(――ス)」

「!? ちょ、そのボイスレコーダーしまってよ!!」

「押してもいいか?」

「押したって音量が大きくなければ――」

「最大でしかもスピーカーも持ってる」

「どうして!? わ、わかったってば!! ウチが悪かったです!!」


 後ろで何か言い争い始めたが先生を待たしているので先を急いだ。

 もう終わっていると思うけど……。


「遅れてすみません」


 先生のところに着いたボクは、第一声に謝罪の言葉を言う。


「ああ、天童さんでしたか。特別にどの先生と戦うか決めていいですよ? 天童さん以外全てのテストが終了していますから」

「えっと……。いいです。決めてください。ボクだけ決めるのは不公平です」


 実際のところ、まだ先生、全員の名前を覚えていないので適当に決めてもらいたかったからの台詞である。


「そうですか……では――」


 とまで言ったところで一人の体格のいい先生が歩み出てきた。


捕朗(ほろう)先生。俺がやってもよろしいですか? ぜひ、あの厄介者を倒した力を知りたい」


 厄介者?

 ボクが倒したと言ったら……キリと……ってキリしかいないや。


「わかりました。では天童さん。茄波先生とのテストを」

「はい! 茄波先生(だったよね?)。よろしくお願いします」

「おう! 我が名は利光(としみつ)。〝怪訝(かいが)の力〟よ。我に纏え!」


 すると先生から揺らめくオーラのようなものが出てきた。

 おそらくこれが〝怪訝の力〟なのだろう。

 力の増幅かな?

 目で見れそうなのはそこらへん。

 後はルナに聞くとしよう。


「ル――」


 ――ギラン


「――ひッ!?」


 後ろから鋭い視線が刺さる。

 おそらくマナだろう。

 えっと……あれだよね。

 一言呪文(ワンスペル)で呼んじゃダメとかだよね……。


「どうした? 精霊がいないわけではあるまい」

「え、ええ。いま呼びますよ」


 ボクの思いついた策。

 ボクは適当に口を開けてモゴモゴと動かして、小さな声で言っているように見せかける。

 というものだった。

 それゆえ一言呪文(ワンスペル)で呼んでも問題なし。我ながら適当ですね……。

 でもマナはそれで納得したようで、さっきみたいな気配が飛んでは来なかった。

 まぁ呼び方なんて知らないからこれでいいのだ。


「行くよ! ルナ!」


 光がボクの腕から外に放出される。


「うむ」


 光の中から出てくるルナ。





「とはいうものの……妾。少しお腹が空いたぞ」


お腹を押さえるルナに対し、ボクがその場でこけたのは言うまでもない。


次にボイスレコーダーが出てくるのはいつかなぁ(==)



誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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