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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第五章 自由という名の者による襲来
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影の銃槍

今回は文字数は二千字と、ちょっと短いです。



 空間が割れ、全てが夜に包まれる。

 空に月が輝く平原だった。


「うわ~。綺麗……」

「……月の事? ……私の事?」

「月ですよね!? 普通!」

「……そう……」


 シュンとなる白夜。

 えっと……悪いこと言ったのかな?


「あれ? 他の人は?」


 話を逸らそうとして周りを見る。


「……私が許可した者しか〈密会の夜〉には呼ばれない。……今回、許可したのはリクちゃんだけ。……これでいろいろ話せる」

「こんな魔法があるんだ……。あ。その右手に持っている物が白夜さんの武器なんですか?」


 コクンと頷く白夜。

 右手に持っている物は、月に照らされていて、なんとなくわかった。

 黒い槍のようなものだ。

 でも先端は槍とちゃんとわかるように矛先がついているのだが、その矛先の上下に小さい、それこそ男の人で大人の親指が入るぐらいの穴が開いている場所がある。

 穴を見るまではただの装飾だと思っていたのだが、そうでもないらしい。


「……これは銃と槍が一体となったガンランス。……遠くにいれば銃を使い、近くにいれば槍を使う。……零距離砲もある。……銃の種類は弾によってかわる。……アサルト、サブマシン、ガトリング、スナイパー……」


 ツッコんじゃ駄目ですか?

 人型銃器ですよね?

 ねぇっ!?


 ボクは思いっきりツッコミたい気分にさらされたが、頑張って我慢をしていた。


「……あと、入れる魔力を変えればロケランとか火炎放射とかいろいろ出せ――」

「人型兵器ですか!? 白夜さんってとても危ない重火器の上に爆弾物も持っているのですか!?」

「……だってそういう武器だし。……でも安心して。……レーザーは使わない」

「使えるの!?」


 どうしても耐えきれなくなった白夜にやむなしにツッコム。

 どう考えても危ない。でも遠くに居るよりは近くに居る方がまだよさそうだ。

 槍の内側に入ってしまえば戦えそう。ってそんなのはどうでもよくて。

 ボクは白夜の武器について、それだけ聞くとちょっとした疑問が浮かんだ。


「重くないのですか?」

「……持ってみる?」

「じ、じゃあ……少しだけ……」


 彼女が手渡しをしようと差し出してきたので、力を入れながら持つと――。


「あれ?」

「……重くないでしょ?」

「はい。どういうことですか?」


 イメージ的にはかなり重く感じたんだけど……。


「……本当のガンランスはとても重いの。……でもこれはガンランスに似て非なる物……って言ったらかっこいいよね」

「いや、それ言いたかっただけですか!?」


 コクンとうなず――。


「頷いちゃダメでしょ!?」

「……リクちゃんにツッコませたかったから……」

「なんで!? なんでツッコませたかったの!?」

「……どんなものか知りたかったでござる。……すまぬ」

「誰!? 武士っぽく言ってもダメだよ!?」

「……わかった。……じゃあ開き直る」

「開き直るの!? って言うかもういいですから説明してくださいよ……」


 そういうと白夜は一言で説明した。


「……影だから」

「へ?」

「……このガンランスは私の影でできているの。……強度は信用してくれていい」


 月にさらされている白夜の影を見る。

 でも、見れなかった。いや、無かった。

 このことにより、彼女の言葉が嘘でない事がわかる。


「……そろそろ放課後の場所教えて。……みんなきっと暇そうにしてる」


 そうだった。みんなを待たせているんだよね。


「えっと、ベクサリア平原の湖のほとりって言ったらわかりますか?」


 コクンと頷く。


「……じゃあもどす。……古書は私が持ってるから今度私の部屋に来てね」


 実家じゃないんだ……。古書あるの。


「わかりました。お願いしますね」


 コクンと白夜は頷き、フィールド魔法を解いた。

 空間に光が差す。次の瞬間には元の場所に戻っていた。


 いきなり明るい所に出たので眩しそうに手で日光を隠す。

 なれてきたところで周りを見渡すと居るのはマナだけだった。


「あれ? 他の人たちは?」

「もうちょっとリクちゃん弄りたかったけど、そろそろ魔法の練習しなきゃって言ってどっか行っちゃったよ~」


 そっか。六時限目にテストがあるんだっけ。


「じゃあボクたちの練習しよっか」


 と、ずっと握ったまま放置していたルナを握り直して魔力を込める。


 ――と、白夜さんが発言したある言葉によりその行動は意味のない行動になってしまった。


「……質問。……リクちゃんは男の人?」


 ピシッ。空気が凍る。魔力が霧散する。


「……どうして黙るの?」


 慌てて言い訳を取り繕った。


「こ、こここれはじ、冗談として受け取ってもいいのかな!? 白夜さん!」

『主はことごとく人にバレるの~』

(う、うるさい! 第一誰も隠せなんて言ってないもん!)

『まぁ……そうであるが……。女として通っておるのだぞ? 少しは隠す努力をしたらどうじゃ? 元々女っぽいからよいが』

(ルナ……。僕を怒らせたいの?)

『な、なんでもないのじゃ……』


 神の断片を黙らせる。しかし、なぜバレたのか?

 白夜とは今朝あったばかりなハ――、


「……昨日。……森の中で見てた。……あそこは私がよく一人で練習をする場所だから」

「…………」


 え~……。

 森の中って……。


「キリの予想当たってたね……リクちゃん」


 予想というよりあれはただのたとえ話だったと思うのだけど……。

 しかし、バレてしまっては仕方がない。


「誰にも言わないでください! これには深い理由が――!!」

「……大丈夫。……言っても私には利益が無いし、友達を売ったりはしない」


 それを聞いたボクはハァと呑んでいた空気を吐き出した。


「よかった~。ありがと、白夜さん」

「……私たちは友達。……気にしない。……その代わり放課後楽しみにしてる」

「はい!」


 コクコクと頷く白夜。

 ボクはそれに笑顔で答えた。


(あ。そういえば雑賀さんに何も言わずに誘っちゃってるけど……まぁいいよね)


 その後、三人で団欒しながらも魔法の練習を始めた。


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