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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第五章 自由という名の者による襲来
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古書



「ほ、ホントに情報が好きなんですね~」

「ふふん♪ で、リクちゃん。話をそらそうとして説明しないのはナシ♪ だよ?」


 う……。憶えてたんだ。

 どうしよ。

 ボクじゃ考えつかないよ~!!


「リク」

「?」


 ルナが立ってる。

 マナはいつの間にかルナから手を離し、手を額にやってため息をついていた。


「そなたら。妾がなぜここにいるか、という話じゃったな」

「え!? 言うの!?」

「正確にはあなたが何者かわかればいいんだけど……。そういうことにしてあげる」

「うむ。妾はリクの……」

「リクの?」

「家に住んでいる居候じゃ!!」

「「ええ!?」」「そうでしたの!?」

「家に居候をしておるのじゃからここにいるのは当然じゃ!」


 お得意様というように腰に手を当てて胸を張っている。

 ルナ……。それはいくらなんでもおかしいでしょ……。

 どうして……。


「……で? ……本当は?」


 居候がこんなところに居るのって話になるから!


「え!? 違うの!?」

「白夜ちゃんよくわかったのね!? 私はわかんなかったのね!」

「わ、わたくしはわかっておりましたわ」


 ……え?

 白夜以外わからなかったの?


「むぅ……。仕方あるまい。妾はリクと契約した精霊じゃ。ゆえにリクの側に居ると言うのは道理というものじゃ」


 見破られてしまって、少しションボリしているルナ。

 ……ここまで人間らしい精霊はいないんじゃないかな?

 実際精霊じゃないけどね。

 確か……神霊……だったよね。


 ここでみんなの反応を見る。



 アキの場合。


「へ~。こんな精霊いるんだ~。珍しい……。メモメモっと」


 とカメラでルナを撮ったり、メモをとりながら感心している。

 ルナは別段嫌がっているようには見えなかった。



 ハナの場合。


「この精霊って他の人でも見えるのね!」


 とやや興奮気味に、ルナをいろんな角度から見る。

 その目は物珍しそうに見る目だ。

 興奮しているのだから当り前かな……?



 白夜の場合。


「……リクちゃんって意外とすごい人?」


 とボクを見てくる。「いえ、ボクはすごくないです」と返しておいた。



 レナは何か考えているようだ。


(人型の精霊? そんな精霊がいるのでしょうか? しかも呪文を唱えて、()んだそぶりも、ないですし……。あ! 【自由な白銀(フリーダムシルバー)】の娘だから? ありえそうで怖いですわ……)


 と、レナは考えていたが、結局はよくわからないで片づけてしまった。


 リクはレナがそんなことを考えているとは、露知らず。

 そろそろ魔法の練習をしようと思ったので準備を始めた。


「ルナ。お願い」

「今回は練習か?」

「うん。……ダメ……かな?」

「そんなことはないぞ? 練習に精を出す事は、よいことじゃ。――χαρι――」


 不思議な言葉を使い、ルナの姿が変化する。

 それは一つの刀となる。

 ボクは左手で鞘を、右手で柄を握って少し抜く。そして戻す。


 この行動は昨夜、気になっていたのを確かめるためだ。

 昨夜は刀身が淡く輝いていたように感じたのに、今は感じない。

 どういうことだろ……? 〝ヘカテ〟に何か関係があるのかな?


「はわ~。刀になっちゃった! これはスクープとして書けるよ!? 『リクちゃんの精霊は……』みたいな感じに書こ!!」

「リクちゃんすごいのね! 私、こんな精霊、見たこと無いなのね!」


 書かないでください、アキ。

 そして、見てたら逆に怖いです、ハナ。


 レナは相変わらず考え込んでいる。

 ただ……白夜だけが、反応が違った。



「……その精霊。……武器精霊?」



「「「「「え?」」」」」


 みんなして丸くした目で、白夜を見つめた。


「えっと……知ってるの? 白夜さん」


 ボクの質問にたいし、白夜さんは、コクンと頷く。


「……家にある、古書に書いてあった」


 古書?

 なんでそんなものが白夜の家に?


「……家といっても実家の事。……両親が読書家でどんな本でも持っているの。……その中に今、私が言った古書があった」


 その古書がまさか武器精霊とやらの事だけについて書いてあるとは思わなかったので他にどんなことが書いてあるか聞くと、いろいろな名前が出てきた。



「……私が憶えているのは……、


 武器精霊の使い手。


 使役精霊の使い手。


 史書の使い手。


 言霊の使い手。


 幻獣の使い手。


 飛翔剣の使い手。


 龍の使い手。


 神の使い手。


 邪神の使い手。


……他は忘れちゃった。……あ。……でももう一つ、せ……せ……。……『せ』から始まるのがあった気がするんだけど……」


 それだけであれば十分だと思います。

 そしてその本にボクは興味を持った。


「その本、見せてもらえませんか?」


 白夜は少し迷った素振りをした後で、ボクにコクンと頷いてくれた。


「……そのかわり」


 条件ありですか……。

 でも相手は本を見せてくれるのにボクが何もしないというのはおかしいよね。


「なんですか? ボクにできる範囲だったらします」

「……放課後、私も連れてって」


 …………え?


 表情が固まる。

 だってまさかこんな条件が来るとは思わなかったもん。

 どうしよ……。

 これはボクだけでは決めることができない。


 だけど、興味を持ったからだが今思えばルナの事が何か分かるかもしれない古書をみすみす逃すわけには行けないし……。

 よし!

 ボクは白夜もついてきてもいいかレナに聞いた。


「レナさん。白夜さんも一緒でもいいでしょうか?」

「白夜さんですの? 別に彼女はよろしいのでしょうか……とは言い切れませんわ」

「え? どういうことでしょう?」


「それがですの。実はわたくしも、白夜さんの事はよくわからないんですわ。これまで入学してから一緒におりましたけど、他のアキさんやハナさんはわかってきましたのに白夜さんだけがまったくわからないんですの。まぁ別に危ないことも無いし、連れてきてもいいと思いますわ。これをきっかけにして白夜さんの少しでも知ると言うことも含めるとよろしいだけですから」


 なんか長かったけど。よし、問題解決。

 白夜も連れて行く事とする。

 ちなみにレナとの会話は小声です。

 え!? これいらないですか?

 ……わざわざ言わなくてもいいですかね……? ってボクはどこに向かって言っているんだろ……。


「……だめ?」


 白夜が確認をしてくる。

 ボクはレナとの会話で大丈夫な事がわかったので、


「ううん。いいですよ。あとで場所を伝えます」


 と伝えた。すると白夜はなぜか首を振って、言った。


「……今。……後だと忘れそう」

「え!? 今ですか!?」

(アキさんとハナさんが居るのですが!?)


 アキとハナを見る。

 二人してこちらをじっと見ていて、万全な聞く態勢に入っているようだ。

 これは何としてでも! と思った矢先。

 白夜が近づいてきて、言葉を放った。


「……我が名は白夜。……潜む刃をその身に宿し。……〝影の銃槍〟は静かに訪れる」


 彼女の影から音もなく、何かが出てくる。


「〝影の銃槍〟よ。力を解放し、静かなる空間を作り、許可する者のみを連れていけ。〈密会の夜〉は影の向こう側」


 歌うような旋律の呪文によってフィールド魔法が発動された。


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